悩みの無い人はいない
東京都練馬区の自宅で今年6月、当時44才の同居の長男を刺殺したとして殺人罪に問われた
元農林水産事務次官の熊沢英昭被告(76才)に対する裁判員裁判の判決が今日言い渡されました。
何もかも恵まれている、外からは何不自由無いように見えたエリート一家。
事件までの経緯が明らかになればなる程、
日本の教育の格差、熱心な子育て、学校でのイジメ、家庭内暴力、
働き手たちが働き過ぎで家庭崩壊寸前の状況にあること、子供たちの不安や不満、寂しさや本音…
就職出来ないで引きこもりになった若者が、無職の中年男に変遷して行く様子、
現代の日本の抱える闇の部分を象徴する部分が、これでもかこれでもかと次々に出て来て、とても他人事とは思えません。
本当に悲しくて気が滅入る事件です。
私なりの感想
新聞やテレビ等でも、被告人の事を必ず元農水省事務次官と報道します。
普通に、元自営業とか元会社員だったら、テレビも新聞も、一面扱いの取り扱いにしたり、ネットでもみんなこんなに注目するでしょうか?
せいぜい、また無職の引きこもり中年男性が年老いた父親に殺された位の地方社会面扱いの記事で終わります。
タレントや教師、警察官等の不祥事等は、一般的な職業に比べて大きく報道される事が多いです。
特別な職業だと思っている人々が多いからだと思います。
私も、かっては教師や警察官等は社会の規範となる行動を期待される職業だったと言う思いを持っています。
残念なことに、現在では、当事者たちさえも、教職員は聖職だとか、
警察官は正義感溢れる国民の手本となる規律正しさを求められる堅い職業だと思って奉職している方々は少ないと思わざるを得ません。
タレントは昔はスターと呼ばれて華やかで人々の憧れ。星みたいに手の届かない場所でキラキラ輝いていました。
選ばれた一部の運と才能が有る人がなれた職業です。
当然みんなの注目を浴びますので、有名税として在ること無いことゴシップ等を書かれます。
覚醒剤使用での逮捕は、一般人よりは、注目度が高くなります。
東大法学部出身霞ヶ関農水省事務次官の肩書きの重さ
警察なり、相談員等 何処かへ相談すれば良かったと言いますが、当事者にとっては
極めてプライベートな難しい問題を一度外に出してしまうと失うものが大き過ぎて絶対に出来ないと思います。
例え思い切って、相談しても、関係機関などで、係や担当者をあちらこちら回されて、
さんざん待たされた挙げ句、所詮他人事。
引きこもりや家庭内暴力等には全く無縁な担当者に見当違いの話を聞かされて
『甘やかしすぎた』とか『親の育て方が悪い』とか、傷に塩を塗られる様な扱いを受けて、
『結局親の責任』でお終いです。
相談所等とは名ばかりで、法外な金銭を要求する悪質な所も増えているようです。
例え良質な所でも、 相談したことが本人にバレれば、本人の心が傷付いてまた家庭内暴力などが酷くなって、
家庭はまた滅茶苦茶になって行くだけです。
育て方が悪かったと言われても、もう中学生にもなっている子供をお腹の中には戻せません。
ありのままの本人を全部受容して話を聞くしか無いと思います。
見栄も恥も外聞も世間体と言う見えない体も全部捨てて、一人のお父さん、お母さんになるのです。
産まれて来た時嬉しかった事。初めて抱いた時感動したことなど話してあげて…
報道で見聞しているだけですが、熊沢さんはとても真面目そうな方なので、御夫婦揃って、子供さんに
全てに優れていないと駄目だと決め付けていらしたのではないかと思います。
別に東大法学部でなくても構わない!
霞ヶ関の役人でなくても構わない!
大金持ちでなくても結構。
大抵の日本人は、
それでも、殺しも殺されもしないで生きている。
エリートはほんの少数。
富士山の山頂付近みたいなものです。
富士山の山頂からは、裾野の野原に咲く小さな花の美しさや
民家の食卓や居間の明かり、子供部屋は見えませんし、
家族の会話や笑い声は聞こえません。
お金を与えて目白の一軒家で飼い殺しみたいな事をしないで、
『可愛い子には旅をさせよ』
フーテンの寅さんみたいな気ままな生き方もあると腹をくくって自立させ、
『生きているだけで良いよ』と、最低限の旅費を持たせて、息子さんに
自分探し、自由の本当にいたい居場所探しをさせてあげたら良かったのかなぁとか考えます……
息子さんが自分の本当にやりたいことを見つけられたら良かったのにと思います…
亡くなったお嬢さんや息子さんの御冥福と、残された御家族の心の再生を祈ります。