残り10％

聞きたくもないけど年寄りだから昔話をするんだよね。本人は笑い話なんだろうけど。聞いてる皆には笑い話なんだろうか。10％にまつわる話さ。もう何十年も前にやってた喫茶店の話なんだけど。まだ30代の頃だったかな。彼女も若かったね。いまとそんだけ違わない（悪い方の意味で）。若気の至りか突如思い立って喫茶店を開くことにしたんだ。開店に当たって珈琲豆屋さんがアドヴァイスしてくれた話の一つに「奥さんがね喫茶店を開くと90％の確率で男が出来ますから気を付けてくださいね」とあったって。それに期待したのかどうかは言わなかったけど「私は残り10％だった」と自虐ネタ。ここで笑ってあげればいいのに聞いてたみんな、気の毒にと納得してるんだもんな。聞いてる方もみんな年寄だからね。人のこと慮らんのだ。また傷ついたね。誰のことかは武士の情けで言わないでおこう。残りものには福があると信じて明日も元気で参りましょう。