
裏通りにある家の垣根越しに百日紅の花を見あげることが出来る。手前の家が紅、数軒となりが白、申し合わされたのか1度に楽しめる。
子どものころ、隣の庭に植えられていた。この幹の皮はつるつるでよく滑る。猿も滑って登れないので猿滑と、口伝えに覚えていた。幹の途中に硬いキノコに似た物がついていた。滑るので猿が腰掛ける椅子、とも信じていた。
さるすべりは「猿滑」でなく「百日紅」と書くことは知っていたが、その意味までは気にしたことはなかった。「夏から秋にかけておよそ100日の間、花を咲かせる。その花の色がピンク色、だから百日紅と書くのだ」と教えられた。
100日も続けて咲くかどうか知らないが、確かに長い間咲いているように思う。裏通りの2本のそれも夏の入りくらいには咲き始めていたかも知れない。100日も咲き続けるとはすごい。今年の異常な暑さは大変だったろう。
朝夕は秋を感じ、昼間も少ししのぎやすい陽射しに変わった。百日紅はほっとしながらも花の終りが近づくのを寂しがっているかも知れない、そんな思いで見上げたら、気持ちよさそうに青い空と会話をしていた。
(写真:しばらくは楽しめそうな百日紅のピンクの花)