
大正8年11月30日の町民誌「興風時報」に「図書館を寄附 岩国町民の福音」という見出しが載っている。記事は「子爵吉川元光公は図書館を建設し岩国町に寄附されたり」「祖父經幹公50年祭、經健公10年祭を営まれその追遠の意により」とある。
場所は、現在の中公民館と同じ。詳細が図書館50、同80年史に記載されているが、当時の金額で「7万6千416円82銭」とある。その図書館は1923(大正12)年から1971(昭和46)年6月まで図書館として使われた。中高校時代にはお世話になり、思いでもおおい。
起源は「岩国文運の発達人材の輩出今日ある實に我吉川有恪公が治政の初めに於いて養老館を創建し…」と、脈々と続く人の育成への姿が見える。建設完了の翌年度、大正13年から10年間、新図書購入費として毎年500円補助されたという。
場所は岩国小学校の旧木造校舎と向き合っていた。中学生になったら「あそこで本が借りれる」という夢があった。低学年のころと思うが、そこが駐留軍に接収され星条旗のひるがえった時期がある。
吉川家寄贈の同館も老朽化とシロアリ禍に勝てず改築にいたった。今の中央公民館と併設となり1973(昭和48)年4月完成した、図書館80年史にある。読めばいろいろと思い出す。中央図書館が建設されるまで、市内図書館の中心であった。
(写真:吉川家寄贈の図書館、大正ロマンを感じる:岩国図書館50年史より)