
いつの間にか芒の穂が我が頭髪に似てきた。秋を満喫したであろう彼らも字のように草かんむりが消えていくようだ。枯れ落ちて土に還っても来春には芽ぶき夏には一面緑の絨毯に変わる。肌寒く感じる風を彼らはどんなに感じているだろうか。
そんな芒の向こうに川舟が一隻。乗っている人は何をされているのか、立ったり座ったりを繰り返し繰り返しされている。釣り竿が見えないので川魚を獲っている風でもない。と言って網を使っているでもない。舟の周囲に波も起きていない。
錨をおろしているあたり、子どものころは淵と呼んで川遊びは禁じられていた。崖が落ち込んだあたりは大人でも底まで潜れないと聞いていた。人が近づけないからか、そこ付近には大きな鯉が沢山いると教わっているが、その姿を見たことはない。流れからしてアユを狙う場所ではない。
無心に見える舟の上の人の動きが何か分からないまま中断していた散歩を上流へ向かって始めた。
(写真:川舟の人は何をしているのだろう)