
錦帯橋から上流へ続く道は春には桜のトンネルになりに訪れる人を喜ばせる。その桜街道が今は春に備えて散った葉で落葉街道に変わっている。それはそれなりに風情がある。その終わりのあたりにバス停がある。1時間に1本ほどの時刻表を眺めている旅行者から声を掛けられた。
「このあたりは竹林が覆い茂っていて薄暗く感じた記憶があるのですが」。定年後の旅行を楽しむ熊本からのご夫婦という。10年ほど前にも新岩国駅から錦帯橋まで歩いて旅した。その時の竹林の印象が強く残っていると話される。そして、沿線の変化はどこの街でも感じるが、あれほどの竹林が大きく姿を変えているのは驚き、とも話される。
護岸工事で竹林が取り除かれたことを話しながら、自分と同じことを感じる旅行者のあることを知った。竹林の話をされるので竹林の中に作られた遊歩道を紹介した。歩いてみましょう、と答えがかえった。
分かれ際に「橋のたもとの銀杏の木はまだありますか」と聞かれた。前回の訪問の時も黄金色のころだたっという。いい色に変わっていますと答えた。熊本からの旅人に、10年の歳月が過ぎた錦帯橋界隈はどんな印象を与えたのだろうか。
(写真:話しに出た橋のたもとの銀杏、奥へ伸びる道が桜のトンネルになる)