
ツバメが巣に止まるとその頭は天井にくっつくほどの高い位置にに作っている。何もそんなに窮屈な位置にしなくてもと思っていたが、他の野鳥、天敵のカラスなどなどから子ツバメを守るための知恵と聞いた。家の軒下で天井すれすれ、確かに襲われにくい場所だ。自然界に生きる本能だろうか。そのお返しか、子育てから巣立ちまでを見せてくれる鳥は他にいないように思う。
今年の1番子だろうか、親の運ぶ餌をねだり巣から身を乗り出す子ツバメは親の大きさほどに育っている。まもなくの巣立ちを予想させる。餌を運んだ親は平等に餌を与えている。それは一瞬の早業、親が飛び去ると静かになる。見上げている巣から1メートルほどのところに、同じように子ツバメが餌を待っている。そちらの親の方が餌取りはうまいのか給餌回数が多い。この差はどこに現れるのだろう。
ツバメは空が白み始めると鳴きはじめるが、その文字化は難しい。ツバメ、といえば佐々木小次郎の剣法「燕返し」。周防の国は岩国の錦帯橋畔であみだした、と吉川英治作の宮本武蔵にある。その柳とする立札も錦帯橋畔に立っており、写真におさめる人も多い。また、懐かしいところでは旧国鉄バスの車体に大きなツバメのマークがつていた。終戦後、そのバスに乗って母の実家へ何度か行った。プロ野球に国鉄スワローズというチームもあった。
雨になると餌となる虫を求めて低空、時には路面すれすれに飛ぶ。あのスピードでよく捕えるといつも感心する。稲作農家の人が「しっかり虫を捕ってくれると助かるよ」とツバメに話しかけた。子育てに勤しむツバメへの期待は大きい。それにしてもあの飛ぶスピードで虫を口で捕る、燕返しはツバメの早業に敵うのだろうか。