ススキを求めて川面に並行する道へ向かった。その道は川沿いの土手から緩やかな坂を下ると川下に向かって伸びる。その先には広場があり、ゲートボールが盛んなころには大勢の人が楽しまれていた。スケボーを楽しむ設備もあったが最近は見かけない。川沿いの道の岸側には川面が見えないほど伸びた雑草や小木が茂っている。
そんな茂みの途中に、以前は犬の散歩道くらいに思っていた当たりに広い道が出来ている。その入り口に白い板に赤い文字の立札が立っていて「これより先の道は魚釣り等するため同志で作った道です、ゴミ捨て不法行為 立ち入ることを禁止」と書いてある。その文字は肉太で何か威嚇するような書体、興味あっても入りづらい感じにさせる。だが、道の軽自動車の通行跡が書体のいかめしさを和らげる。
犬の散歩道と思うころには何度も通って水際の様子を眺めた。どんなに変わったか進んだ。背丈以上の雑草が壁のように切り取られた先には背の低い雑草が茂る。そのあちこちに赤い彼岸花が背伸びしてその存在を教えるように咲いている。数日の花の命を思えば何かいとおしい姿に見える。
わずかな勾配を上ったところで、水鳥も川舟も見えない静かな川面が見えた。今日は魚の楽天日のようだ。道の終わりは軽自動車なら転回できる広場が備わっている。魚釣りの同志が川洲に作った立派な道、さぞよい釣果に繋がっているだろうと思いながら引き返した。目的のススキ、カメラを向ける景色には出合えなかった。