長年、散歩でその家の傍は通る。そこには高齢のご夫婦がお住いで離れの茶室と四季の花が咲く庭がある。散歩では出合うとすれ違いの挨拶をする。花の手入れをされていると道から声をかけるが長話をしたことは無い。息子一家なのか大型の車がよく止まっている。そんなお宅に、ネコが最近新しく住まいする様になったらしい。
黒猫と呼ぶにふさわしい外見をしている。見かけた当初は私と目が合うと何となく身構えるようにしていたが、何度かそうするうちに無害の人間と分かってくれたらしく、足を投げ出しひだまりに寝そべったままでいる。
今のところへ20数年前引っ越して来てから数年間、猫の糞害に悩まされた。。当時、家の近くに野良猫用の餌を置く人がいた。その姿を見たことがないが、早朝に置いていた。そんな餌を求め何処からともなくやって来る猫、夜な夜な徘徊する。歩き回るだけならいいが、きついに臭いの土産があちこち、ということで猫嫌いになった。
犬は犬嫌いの人間が分ると愛犬家に聞いたが猫はどうなのだろう。黒猫が住まいの庭に止まっている車のボンネットで、昼下がりの陽ざしを浴びて寝ている。撮ってやろうとカメラを向けたらヒョイと起き上がり顔を向けた。撮ってと言わんばかりの姿勢に、苦笑しながらシャッターを押した。もしかしたら猫嫌いの私を懐柔しようとしているのではなかろうかと思いながら散歩を続ける。