
27歳のころ会社員から大工の道に転進し、それから20年以上が過ぎた今は一級建築士として工務店を営むかつての同僚がいる。そんな工務店に高校を卒業した18歳が仲間に入った、という棟梁のブログを読んだ。2年くらい前から休みには顔を見せていたが「どうしても大工になりたい」という希望を受けいれたとある。地元の木を使った手仕事の家づくりを旨とする棟梁の基で修行が始まる。
大工の門をたたいて見習い入門までの自分の紆余曲折の経験が、18歳の希望を断り切れず受け入れることになったという。厳しい業界や仕事の現状を説明し納得の上での入門に至ったようだ。この20年間で大工は半減して30万人、20歳未満は2千人程度という中での大工希望、前を歩く者として出来る限り指導すると棟梁は書いている。
修行の始まり。大工仕事をするには、刃物が切れないと仕事は出来ないし面白くない。ということで、カンナやノミなどの古道具を使えるように手入れすることから始まる。「平らに、真っすぐに、顔が歪まずに写るように、刃が丸くならないよう」研ぐことからはじまる。刃と一緒に指も研いでいるようで、指はテーピングだらけという。
大工見習から独立するまでの修業は何度か聞いており、新築中の工事現場も複数見学している。最後は「土に返る家」を建てることを目指す棟梁は木と土を使っている。鎹(かすがい)を使って強度を保つなど小さなことにも配慮している。目標に向かって進む18歳の成長が楽しみだ。
(今日の575) 研ぎ面に写る顔見て進歩知る