狭い通りを散歩していた。私を追い越した軽トラックが少し先で慌てたように左へ車を寄せて通り過ぎた。「なに?」と思いながらそのあたりへ近づいて分かった。そこにはアスファルトの裂け目から一株のセイヨウタンポポが葉を広げ大小二つの黄色の花を咲かせていた。
軽トラの運転者の姿は見ていないが、花に気づきそれを避けるため左に寄った、その優しい心遣いに何ともいえない爽やかさを感じた。ここは生活道路で児童の通学路にもなっているし、小型の車は通る。それでも人に踏まれず車に轢かれずに花を咲かせたド根性タンポポが喜んでいる様に思える。
こうした心優しい人らに守られたタンポポの姿をスマホで撮りながら、報道で知るガザやウクライナの残忍な殺戮をおもうと、花を轢かず踏まない人らの心を持てばこうした争いが即刻止められなくても抑制できるのではなかろうか、そんなことを思った。
最近の外交は安全保障の視点から防衛力強化や連帯連携ばかりが聞こえてくる。主義主張の異な世界情勢ではあるが、武力なしで達成できる平和や安全の方策はどこかで語られているのだろうか。2度の被爆を受けた我が国にはその先頭に立てる資格があると思う。何とかして欲しい。
(今日の575) 野の花も踏まぬ心根明日を見る