私には過ぎたるものを遺品として頂いた。同好会で私より干支で一回り年長な方が亡くなられた時、ご遺族から「使ってください」と高価なカメラ本体とレンズ3本を頂いた。写真も趣味の一つにされていた人で、何度かその作品は見せてもらっていた。写真同好会のHPでも多くの作品を発表されている。
若い時には、今日は写真日和、と奥さんを連れて自家用車で撮影旅行に出かけられていた。驚くほど遠方へ行かれた話も聞いた。そんな撮影秘話の中で、最も印象に残っている一枚がある。それは山口県と広島県の県境を流れる小瀬川上流に弥栄ダムがある。そこにかかる弥栄大橋の明けきらぬ早朝の風景。ローアングルで、橋上を横切る白い霧、濃い赤黒色の橋げた、霞んでいる樹林の不透明な背景、一瞬のチャンスでしか撮れない1枚と、今も目の奥に残っている。
写すことは苦にならず、また、撮影の腕前を省みることもなく頼まれると嬉しくて引き受けていた。失敗もあったが随分多くの場面に出会った。結婚披露宴で写しまくっている間に、気が付けば大方の料理が残り、仲居さんが折りに詰めてくれたこともある。どんな場所へでもカメなら入り込める。
頂いたカメラで何度か試し撮りはしているが、続いていない。今一度、使用説明書を片手にして写してみよう、そう思いバックから取り出した。雨期ではあるが雨に濡れる花を手始めに気長く続け、いつかこの欄でアップできるようになりたい。
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