宮本常一はペンの変わりに写真で記録しそれをまとめたという。展示ケースの遺品の中にそのカメラが収めてある。そんなカメラで撮ったりしたこともあったと若い頃のカメラいじりを思い出した。
常一に同行した写真家がこんな話をしている。
「オリンパスペンという1本のフィルムで72枚撮れるハーフ判のカメラ、それで撮って後で文章を書く」
「ネガを眺めながらどこどこの道を通ったときは、タバコ屋の角を曲がってなんて書いている」
「本当にペンというカメラを、ペンと同じように筆記用具として使った」
こうして残した写真は9万枚とも10万枚と言われ、その写真は今だ民族学の貴重な資料という。展示の写真も書籍の写真も記念という概念には当てはまらないことは素人目にも分かる。ではそんな写真が必要だったのか、1つの例がある。
庭先に干してある洗濯物を撮る。この1枚から大体家族がどのくらいで、どんな着物を着て、どういうふうに破れたものを使っているか、家の中を覗かなくても分かる。
宮本常一はこんな目線で各地の暮らしを綴って残した。民俗学とは「1つの民族の生活文化・伝承文化を対象とし、文献以外の伝承を有力な手がかりとする学問」とある。専門的な理論は分からないが、なんとなく民族学とは面白そうだ、おぼろげながらそう感じた。
カメラの側に置かれた大きな水筒が印象に残っている。
(写真:陳列ケースのカメラと水筒など)
民俗展の場所は大島町の東和、星野哲郎記念館の隣です。ドライブがてら良いですよ。
今度場所を教えてください。
場所といえば、昨日「見出しのココロ」で紹介された梅はどこにあるかご存知ですか。