城下町には史跡や名勝や文化財などに指定などされていなくてもその時代の名残を偲ばせるものがあちこちにある。それは門扉や土塀であったり蔵であったり、狭くて迷路のような道、道しるべのような大きな樹木など、何かありそうだと思わせる。
土塀、かっては通学の道筋では当たり前の町の様子だった。上等なそれには石灰で白い化粧がされているのはちょっと金持ちの家だった。古くなって崩れ掛けたり、白壁がはげたりするとそれはそれで趣がある。今でもそう思う。
その趣も最近は少なくなった。代わりにコンクリートやブロック塀が登場した。ブロック塀は工法が簡単で安さが受けている。左官職の人に「最近は土塀を作れる職人がいない」と聞いた。家の壁もかっては土壁だった。日本の風土によく合うという土壁は、工法の変化で見る機会がなくなった。
散策の道沿いに武家屋敷跡のような長いが風化された土塀ある。その向こう側は雑木雑草が覆い茂り足を踏み入れるには躊躇する。隣接の屋敷には近代的な2棟のアパートが建った。天然石の石垣と土塀、この変わりようにどんな思いをしているだろう。
(写真:ツル科の植物がはびこる風化した土塀)
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