a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

未必の故意のゆくえ~その6

2015-05-10 21:50:05 | 芝居小屋企画
キャスト紹介は、今日で最後になります。



「抑圧者あるいは無辜の民」を演じる三人を紹介します。

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永野愛理

昨年9月の公演『無実』で、アプゾルートを演じ、
今年3月の公演『第三帝国の恐怖と貧困』の《白墨の十字》では女中を演じた。
凛とした、美しい俳優だ。
このお芝居では、主に九州の方言が使われている。
その方言のアドバイスを任されたのが、熊本県の出身の彼女である。
とにかく、信じられないくらい耳が良く、感受性が強い。
音のズレなどの指摘はもちろん、
何処が原因でそうなるのかを、一発で言い当てられる。
普段は笑いの多い彼女だが、
その一方で、繊細で壊れていくような「儚さ」を感じさせることがある。
今回、彼女の強い感受性は、歌声にも現れる。
録音された愛理の歌声は、身体の中に優しく入ってくる。
温かくもあり、
切なくもある。
彼女の中に潜んでいる「何か」が溢れ出る。
稽古後、そのメロディーを口ずさむ人は多い。
出演シーンはもちろんだが、彼女の歌にも注目してください。



正木ひかり

4月に行われた公演『はらっぱのおはなし』では、
モンシロチョウ役を、一輪車に乗りながら演じ、
アコーディオンまで弾いた。
終演後は、ちびっこやお母さんが、彼女の周りに集まり、
一緒に写真を撮っている光景、何度見たことか。
しかし、それを手に入れるまでの努力は、並大抵ではなかったはずだ。
努力?
彼女は劇団の公演で、衣裳係を受け持つことが多いが、
その仕事ぶりや否や、朝方まで仕事をしているとか、そういう話ではない。
仕事への向かい方だ。
少ない時間でも、悲観的にならない。
自分で考え、真っ直ぐに突き進む。
その姿は、楽しんでいるようにもみえる。
それが出来るのは、大きな強みだと思う。
ひかりの中で、一輪車に乗るとか、アコーディオンを弾くとかは、努力じゃないんだろうな。
彼女はそんなふうに生きてきて、自分に根拠を持ったんだろうな。
そんな彼女の芯の強さに注目してください。



篠原祐哉

3月の本公演『第三帝国の恐怖と貧困』の《法の発見》で、
彼は「廷吏」という難しい役に挑戦した。
声の出どころに苦戦しているようだったが、
本番の2週間ぐらい前から、祐哉の声がまとまって、よく聞こえるようになった。
凄い変化だと思った。
今回の公演では、祐哉はみんなを支えいる。
演劇は、祐哉たちのような、舞台を支えてくれる人がいないと公演は成り立たない。
道具作り、
チラシの印刷と色ぬり、
音の編集、
他にも、私の知らない所で、祐哉は支えてくれているのだと思う。
彼は、『未必の故意』の稽古が始まる前から率先して、
公演で使う道具を作ってくれていた。
稽古が始まると、共演者に、セリフや動きついて、アドバイスする姿をみる。
集中して稽古に参加しているのだ。
今回、彼は出演するシーンで、象徴的な物を持って登場します。
ぜひ、お楽しみにしてください。
どんどん変化する祐哉に、稽古場も期待しています。


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本番はついに1週間後になります!!!

チケットはあと30枚ほどで完売になります。
お早めにご予約お願いします。

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文責:坂本勇樹

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東京演劇アンサンブル スープ劇場Ⅷ
未必の故意

作=安部公房
上演台本・演出=尾崎太郎
照明=真壁知恵子
美術=三木元太
制作=太田昭
  

2015年5月17日(日) 14時 開演

ブレヒトの芝居小屋 全席自由

一般 1500円
ケンタウルスの会会員 1000円

■チケットのお申込みは、ticiket@tee.co.jp または 03-3920-5232 まで


出演
竹口範顕
本多弘典
雨宮大夢
和田響き
山崎智子
坂本勇樹
大多和民樹
浅井純彦
熊谷宏平
洪美玉
永野愛理
正木ひかり
篠原祐哉


『未必の故意』HP