a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

未必の故意のゆくえ~その8

2015-05-16 01:20:46 | 芝居小屋企画
お陰様で完売御礼となりました、
「未必の故意」本日で最後のブログ更新となります!

チーム紹介の最後を締めくくりは演出家・尾崎太郎です。



東京演劇アンサンブルの俳優として16年目、
今回の公演で念願叶っての人生初演出を務めます。
普段は(若干行き過ぎた)おちゃめでちょっと変でかなり天邪鬼で、
私達後輩ズとお友達のようにはしゃいでくれる愉快な人。
めちゃくちゃ読書家。
忙しいのに隙あらば至る所に芝居を観に出かけています。

企画立案から今日まで、並々ならぬ情熱を注いできた太郎さん。
そんな情熱が爆発して、演出家自ら大道具を作り小道具を作り塗装をし買い出しに行き、
なんと衣裳まで全て一人で準備してしまうという力の入れよう!
(今回で縫い物を習得し女性服にめちゃめちゃ詳しくなったとか…笑)

演出席に座っている太郎さんは大体いつも手がペンキまみれで、
こんな演出家もなかなかいないなぁとおかしくなったり嬉しくなったり。
太郎さんのそんな熱をひしひしと感じ、
チームの士気がぐんぐんと上っていくのを感じる稽古場でした。

そんな尾崎太郎より、メッセージを書いてもらいました。
以下ご紹介します。

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安部公房と『未必の故意』のこと

安部公房は太平洋戦争中を医学生として過ごし、終戦はお父様の病院のあった満州で迎えます。
翌年、満州から引き上げ、1948年に処女作『終りし道の標べに』を発表し作家活動をはじめました。
1951年に僕の大好きな『壁』で芥川賞受章。1955年には戯曲『制服』で劇作をスタートします。
1973年には自分の劇団「安部公房スタジオ」を立ち上げ演出家としても活動しました。
1993年に68歳で死去。91年の小説『カンガルーノート』が遺作です。
僕が公房さんの作品に出会ったのは高校生の頃です。
最初に読んだ『水中都市』の不思議な筋立てのなかにある途方もない淋しさと、
奇妙な明るさに惹かれて公房さんの作品を読み始めました。
初期の、公房さんが共産党に所属して社会運動と芸術を模索していた時期の作品も好きですが、
実験的な作品も好きですし、
後期の作品、特に『方舟さくら丸』は僕の最も大切な小説の一つです。
戯曲も勿論好きです。
公房さんの作品から、僕は一環して流浪する根無し草の不安と、だからこその突き抜けた希望を感じるのです。
『未必の故意』をやるに当たって公房さんの作品を読み返したのですが、
以前は感じられなかった社会に対する視点というか、
公房さんの問題意識を身近に感じられる気がしました。
『未必の故意』は、閉鎖的なコミュニティーで差別意識と同調圧力が暴力に進行する話です。
きつい物語ですが、登場人物達にはこうありたいという欲求=希望があります。
だから彼らをエネルギッシュで魅力的に舞台にのせたいのです。
その登場人物達の帰結点が何故こうなるのか? という事がドラマでテーマです。
キャスト紹介にあるように役にふさわしい魅力的なキャスト陣です。
きっと、よい舞台をつくります。


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完売にはなりましたが、
キャンセルなどで当日チケットが出る可能性もありますので、ご了承いただける方はご連絡下さい。

それでは、当日をお楽しみに♪

文責・永野愛理


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東京演劇アンサンブル スープ劇場Ⅷ
未必の故意

作=安部公房
上演台本・演出=尾崎太郎
照明=真壁知恵子
美術=三木元太
制作=太田昭
  

2015年5月17日(日) 14時 開演

ブレヒトの芝居小屋 全席自由

一般 1500円
ケンタウルスの会会員 1000円


出演
竹口範顕
本多弘典
雨宮大夢
和田響き
山崎智子
坂本勇樹
大多和民樹
浅井純彦
熊谷宏平
洪美玉
永野愛理
正木ひかり
篠原祐哉


『未必の故意』HP