a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

連連影展・終了

2008-03-10 20:07:35 | 芝居小屋企画
先週の日曜日のことなので、
ずいぶん経ってしまいましたが、報告です。
劇団の新企画ブレヒト・カフェにて、
映画会を開きました。

すべてドキュメンタリー映画で、
商業ベースには乗らない、
映画館ではかからないような作品の上映会でした。

10分程度の作品から、
90分くらいの作品までありました。
僕個人として印象的だったのは、
『0メートルの隔たり』と『べてる』という作品。

前者は、イスラエル人とパレスチナ人の女性同士のカップルと、
男性同士のカップルのことを記録したもの。
両国家は決して相容れない。
しかし、それが絶対ではない。
さまざまなところで、この隔たりを乗り越えていたり、
乗り越えようとしている人たちがいる。
この映画では、
セクシャルマイノリティーという視点から、
この隔たりを見つめる。
これまで何度もイスラエル・パレスチナの問題を見てきたけど、
これまでになかったカップルからの視点は、
希望の持てる可能性と、
絶望的な現在の状況を映し出していた。

後者のタイトルの“べてる”というのは、
北海道・浦河町にある精神障害者の活動拠点“べてるの家”のことで、
その活動を撮った作品。
病院、生活、職場という、
障害者にとって、なくてはならないものが渾然一体となって、
共同体を作っている。
当事者だけでなく、行政も含めて、
他に類を見ない、理想的な活動をしている、
と思った。
(他のやり方を知っているわけではないので・・・)
とにかく、明るい。
映し出される人々が明るくて、
生命感にあふれてる気がした。
ともすれば暗くなりがちな精神障害なのだが、
そこを突き抜けて、
それを抱えながらも、生きることをきっちりと選択している。
この活動を見に、人口12000人の町に年間2500人の人がくるという。
傑作なのは年に一度の“幻覚妄想大会”。
そのチャンピオンのエピソードは秀逸。
そのまま芝居になっちゃうくらい。
最後の、最後まで、
その人柄がにじみ出る映像でした。

僕にとって、ドキュメンタリーの映画の魅力の一つに、
知らないことを知る、
ということがある。
そして、そこで大切なのが、
作り手が、どういう目線で、記録しているかということだ。
もちろん、
その意識がないほうが良い、
という意見もあるだろうと思う。
けれども、僕は、
やはりその立つ位置が見え、
そこに何かを発見できることを望む。

今回は、
そういう作品と出会えたことが嬉しいし、
また、
こういう出会いをしたいな、と思った。

終映後の、打ち上げも盛況で、
一緒に取り組んでいただいだFAVのみなみんさま、
どうもありがとうございました。

by 管理人


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