アンゴラにおける中国の「援助」

　興味深い記事を発見したのでご報告：BBC Africa Jobless Angolans resent Chinese 4 December 2007

　中国のアフリカ援助の実態についての報告記事ですね。以下要点要約：

　確かに中国は多額の援助をアンゴラに与えた。しかしその実，自国の失業人口減らしにこの機会を利用してもいるのである。
　建設ラッシュの首都ばかりでなく，地方においてもそうである。首都から3時間の海に面したSumbeでも，青いジャケットの中国人労働者の一団が見られる。彼らは高いフェンスの中にいて，そこに見られる現地人は門番・野菜洗い婦・掃除婦ほどのものだ。
　足場組のポールもセメントも中国産―単純労働者さえもが中国人である！
　彼らはポルトガル語が話せず，現場から出ることも殆どない。

　長期の内戦で現地人に教育・訓練が足りない（更には産業の基盤もない）のは事実である。しかし，技術者・設計者，医師等々ならさておき，未熟練単純労働者まで「輸出」するのは如何なものか。

　―とまぁ，悪い海外援助の見本である，と言いたいんでしょうね。
　多額の援助にも関わらず，それらは中国企業・中国人労働者の手に渡り，道路，学校，線路ができても，その受益者は誰だろうか？というわけだ。

　長期の内戦でインフラから教育組織など社会的資産，産業が壊滅状態，とくれば，未熟練労働でさえ現地で労働力を組織するのは大変だ―という判断でもあるのかもしれません。
　それでも，現地人に適宜教育，経験を積ませなければ，完成後，道路の補修・維持もままならぬということになりかねない。

　ああほら，『日本の海外援助のなんと無駄な事か。彼らは大型機械を"援助"して満足しているが，修理技術も補修部品もない現地人には，それは継続的使用に耐えず，富を約束しないものなのだ』という旨，昔，良く聞いた気がしますが，それと同じ轍を踏んでるなーという感じですね。

　彼らに必要なのは，恐らく，まずはちょっとした仕事なんだろう。たまにコカコーラを飲む贅沢ができ，気の利いた者ならその分を子供の教育にまわせるような，ささやかな収入なんでしょう。

　そうした現地社会の再建が必要なんでしょう，アンゴラの見事な資源を効率的に輸送する道路や線路と，それは並行して必要なことなんでしょう。

　でもまぁ，それは現地―この場合はアンゴラの人の為になるでしょうけど，とりあえず援助国の得にはあまりならないでしょうね。徳にはなるけど。国際社会は，やっぱりあんまり徳では動いてないなぁという，そんな今日のおべんきょメモなのですよ。