日本のリベラル派大きな錯誤のひとつに、若者への根拠なき信頼があるのです。選挙権を与えたのは大きな間違いです。政治や経済、そして状況について、日本の若者はほとんど知りません。教師も話しません。右翼的な部活の顧問が、どうしろといえば、その通りに投票します。https://t.co/V8cVQCtqKy
— 兵頭正俊 (@hyodo_masatoshi) 2018年2月5日
「右翼的な部活の顧問が、どうしろといえば、その通りに投票します」とあるが、その伝でいけば左翼的な教科担当がどうこうと云えばそのとおりに投票することになる。ところで教職にある者たちは、より年長者が多いであろうところ、従って左右二分法でいえば左派が多いであろうところ、若年者の投票行動が右派寄りになっているという現実があり、こうして兵頭氏の断言は破綻する。右派左派の二分法と教師の行動・学生のリアクションの対応という仮説からのみ言えば、現実は「左派の先生が教えると、学生は右派に投票する」になるからだ。
10秒で破綻が見えるのだが、大丈夫なのだろうか。いろいろと。
こーゆー作文はさておき、データを見る:
名護市長選。出口調査の年齢別投票先は、最近の各種選挙と同様の傾向。50代以下は与党系への支持が強く、60代以上は野党系への支持が強い。世代間闘争の様相。今回は投票率が高く、若い世代が投票に行ったので勝利。勤労世代は、経済を良くして欲しい、国防もしっかり、との意識から自民への支持が高い pic.twitter.com/dNpAzU7IES
— 和田 政宗 (@wadamasamune) 2018年2月5日
50代―60代のところであからさまな世代差が発生しているようだ。このデータが正しいなら、兵頭氏的には1) 60代以上による教育の失敗、という仮説を出すことが出来る。また、40-50代の教師が若年者を…って、現に部活をしているような子たちは、基本的に選挙権、ないわな。18歳~50歳代まではばひろく反基地候補を避けた傾向が見えているわけで、12-18歳時の部活・教科担当者の影響だけでは説明しかねるのではないか。
また、2) 引退した世代と現役世代の差とも見える。基地をつくるのなんのはさておき、食い扶持かせがにゃならんというひとが与党系候補に投票しがちで、他方年金でそこそこの保障だけはある世代は理念的な闘争を重視している、ともいえそう。これは和田氏の分析の前半部分(「経済を良くして欲しい」)。
沖縄タイムス <渡具知氏勝因>「経済停滞」批判へ支持 公明県本の推薦も後押し 2018年(平成30年) 2月9日
「渡具知武豊氏は学校給食費、保育料、高校生までの医療費の無償化など「生活に直結した」子育て支援策、名護湾のロングビーチリゾート形成など大規模な経済振興ビジョンを前面に掲げ、支持拡大に成功した」
「市営球場の建て替えに伴うプロ野球日ハムキャンプの一時移転や、本部町方面に向かうレンタカーの素通りなどを「取り残された名護」の象徴と指摘。同調も広がった」
他方、和田氏のいう「国防もしっかり、との意識」は、勝利者側が選挙戦で基地問題への言及をひたすら避けたとの”ご指摘”もあるなか、些か疑念なしとしない―というのが妥当かと思う。勝利者側は、市民生活に密着した論点を重視した、という評価が高いといえよう:
沖縄タイムス 基地問題より「生活向上」訴え 2018年(平成30年) 2月9日
「選挙戦では基地問題に極力言及せず、保育料の無料化やごみ分別の簡素化など「市民感覚」に響く公約を連呼し、共感を広げた」
…まあ、私はこれこそ市民感覚の大きな部分をしめるものと思うんだが、特段の見識あると自任するひとは別の見解があるようで…。反基地こそ民主主義、反アベこそ民意というらしいんだが…。
「当初は「勝てない候補」とみられていた。昨年7月、選考委員会が渡具知さん擁立を決めたが、自民党本部から見直しを迫られた「屈辱」を家族の励ましで奮起に変えた。市内各地で数えられない回数の演説をこなし、地域や各年代に届く公約を強調。選挙中盤には喉を痛めながらも、声を張り上げ続けた」
他方の候補は、どうだったのだろうねーとか思う。
ともあれ、反基地を強力に指導する一方、日常生活を論じることあまりに少ないと落選することが分った。この結果からすれば、基地移設を強力に指導して、他方で日常生活の改善を策することあまりに少ないとリコールの目がでるだろう。国防問題は、むしろ争点にならなかったのだ:
「報道陣から基地問題への対応を問われた渡具知さんは「国と県の裁判の行方に注視する。行政の長は法律に従う以上のことはできない」と述べた。公約を実現するための予算については「国にお願いする」と話し、振興策を中心とした街づくりを約束した」
この「行政の長は法律に従う以上のことはできない」という、”闘争を放棄した”姿に反基地派は怒るだろう。しかし、イシキタカイひとびとが大所高所から大問題を大上段に語る一方、生活者は生活しているし、生活していかねばならないのだ、それなりの尊厳・信義とともに。
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