空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

だからあんまり少ない情報で陰謀論を展開するのは愚者の楽園の話だと

2008-08-26 18:09:35 | Weblog
 某2chのアフリカの軍事情勢スレでも話題になったりしたことだが。
 Two Ethiopian troops, six civilians killed in Somaliaを誰かが訳して2chに載せたのだな。表題に補足すれば,路肩爆弾でエチオピア兵2名及び民間人6名が死亡したという事件。
 これの2ch紹介が,偶々別件の,『エチオピア軍車列が地雷攻撃を被り,直後周辺へ無差別乱射を行い,合計50名以上の民間人死者が発生』な事件とほぼ同時だったわけだ(ソマリア・民間人大量殺害事件の件メモ:18 Aug 2008)。
 そしたら『50人殺された事件をスルーするとはけしからん』とヒートアップしたかたがいらっしゃいまして。この50名以上死亡事件をホスト氏が扱わなかった件をもって不公正な態度だとお怒りの様子ですが…

 …いや,そこのホスト氏がアフリカ各国の重要ニュースを全てチェックしなきゃいけない法はないんであって,適宜各人が得意分野で貢献すればいいだけじゃないかなと思うのが私の立場。このヒートアップした方は,エチオピア軍の残虐行為の告発に力を入れたい模様なので,そこは彼が自分の担当とすれば宜しかろう。

 …アルシャバブの残虐行為はスルーですかそうですかという話でもありますが。

 ともあれ,私のよーなアフリカ・アジア趣味者はしばしば日本国内ニュースに頼らず適宜外国ソースに当たるのであったりします。この際,注意すべき事は国内ニュースチェックの時と基本的に同様。

 単純な誤解とか,記者の知識不足とかもありますし。定型句的に「少年兵を含む」だとかとある国の軍について言ったりする「現地取材ニュース」みたいなのとかありますし。つまり『記事を書く意図』『記事を掲載する意図』『記者の(報道機関の)意志・能力』などを勘案せねばならないのはいつも同様。
 そしてその分析・考察をしたか否かと,それを表明するか否かは,実は別問題であったりもする。

 いや,私は割りと主張してると思いますけどね? 見れば分かるかと思いますが,私はARSのエリトリア派(過激派)不支持です。ジブチ派(穏健派)をむしろ支持します。ソマリア暫定政府には,消極的支持というのが精一杯好意的なところ。その中でも,敢えてまだしも支持しておくべきかと思うのはNur首相(や,その流れでGhedi前首相)であって,Yusuf暫定大統領にはむしろ不支持の方向。
 ではあってもエリトリア派の主張もそこそこ紹介してはいるのであったり。

 つまりここはソマリア中心のニュース紹介がメインのblogなのであって,基本的には日本国内の政治等々については知ったことではないのであったり。

 最近,ソマリア沖の海賊事件について,驚くほど(一ヶ月前を思えば!)多数の日本語報道があります。これについて,対テロ法云々に絡めて発言する政府与党の人物を他人の不幸を出汁に自派の利益を図ろうとする卑劣な人物と非難するのは,まぁそれはそれなりに尤もな意見ですが,ほらアイツって卑劣だよねと言い立てる人物にはとりあえず 鏡 を 見 ろ と思いもする。やってることは(自己の思想とは)対立する党派の非難に過ぎないよね? 他人の不幸を出汁に自派の利益を図ろうとしてるのは同じじゃーん。

 ちなみにマスコミ報道については,右派左派自民党支持者民主党支持者,各々,自分が気に食わない敵方の支持に回っててけしからんとしばしば言うようですので,今回の件についてもとりわけ強く何かしらの政治的意図を意識するのは些か危険かと考えます。なお報道の配信/背信についての所感は「自動機械」。

 敢えて政治的意図の存在,世論誘導の意図を―政治家個々の折に触れた発言は無論,その意図がありましょうが,それを報道する各報道機関に―認めるには,些か,弱いかと思う―Googleニュース検索で,「ソマリア」と「エチオピア」「パキスタン」とは,ヒット件数2桁違うよ?

 …むしろ,『日本所有の船が海賊被害に遭った』ことが報道される方が正しいあり方だと思いますけどねー…。

 状況証拠といいたいんだろうけど…個人の感覚は…最近はすごいらしいからー…。どっかの大学の先生が,学生さんからかな,『岩波などと言う右翼出版社は信用ならん』云々言われてめまいがしたとか…。
 …僅かであれ,匂いを嗅ぎ取る事ができれば―ということか。微細な点に目を向けるのは重要な視点で,是非とも必要な資質ですが,さて全体をも同時に見なければならんのだ。木を見て森を見ずともいうものだ。

 さてその森―ソマリア問題については,日本語で最近順に追っているところとしては,当方はそこそこ量のある,また十分な情報へと至る門ともなろうものと自負するところだが,まぁそーいう使い方をするひとはあまりいないのだろうなと思いもするところ。

 まーそんなわけで。

 このたび,うっかり日本国内政治に主張のあるblogを見て,トラックバックを送ってみたりしたらなにやら拒絶のお返事を頂いたようなので,再び外籠もりに戻ろうかと思った次第。


 まーあれだー。多面的なものの見方云々いうなら,『与党政治家が対テロ法に絡めてソマリア海賊事件を扱った』ことを報じることには,2つの相反する反応を考えることもできるわけだ,

『なるほど対テロ法は必要なものである』又は『対テロ法を必要なものと誤解させる世論誘導である』,ここから

『与党案を支持すべきである』又は『卑劣な与党を許してはならない』。

 ソヴィエト式の,『反クーデター派はエリツィン氏の下に集まっている模様』な報道ってのもあるわけだ。

 ものっそ単純に言ってこんなパターンがあるわけだけどー。
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