9月：20～50代男性の自殺数・自殺率、急上昇とのこと

　まあ、せやろな、という。

NHK 働き盛り男性自殺 コロナ影響か 11月21日　20時19分，2020年

「２０代から５０代でことし９月に自殺した男性は７００人余りで、去年の同じ時期を２か月連続で上回りました。
自殺の防止に取り組む団体は新型コロナウイルスの影響と見ています」

　GoTo事業などでそこそこ底支えがあったにせよ、届ききらない会社さんなんてのも山とあろうし。届ききらない労働者も山とあろうし。先行きの見えない不安状態などなどに、遂に耐え切れなくなった人々が、そりゃあまあ…出てくることだろう。

「厚生労働省によりますと、ことし９月の１か月間に全国で自殺した女性は６４０人で、４か月連続で去年の同じ時期を上回った」

　女性の生きにくさ！なんて話題に、ちょっとなったようだけど。

「一方２０代から５０代の男性も７０５人と去年を５６人、率にして８.６％上回りました。
８月に自殺した同じ年代の男性は７０６人で、去年を６.６％上回っていましたが、１か月間でさらに２ポイント悪化しています」

　男も結構、すぱすぱ死ぬのである。分析も何もなしで言ってしまえば、女性側とだいたい同じような理由に分類されるようにも思うが、さてそこはどうだろう。バブル経済時には、死亡保険金で妻子を田舎に引っ越させ、しばらく食っていけるようなスタートアップ資金を作るために死ぬ男性が相当いただろうけど―今回は当時に比して非婚化が進んでいるだろうしなあ。

NHK 働き盛り男性 自殺増加 新型コロナによる雇用情勢の悪化影響か 2020年11月21日 19時35分

「働き盛りの男性の自殺が増えています。20代から50代でことし9月に自殺した男性は700人余りで、去年の同じ時期を2か月連続で上回りました」

「新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、雇用情勢は徐々に悪化しています。

総務省や厚生労働省によりますと、全国の「完全失業率」は2.2％だった去年11月以降右肩上がりに上昇し、ことし9月の時点で3.0％に上っています。

有効求人倍率も9か月連続で低下して、1.03倍にまで落ち込みました」

　と、一般的情勢を概説したのち、妻子ある男性の苦悩について詳しく例示している記事。

「NPO法人 「働く男性の支援強化を」」

「「ライフリンク」の清水康之代表は「自殺の増加率だけを見ると女性のほうが顕著だが、男性の自殺も依然として多い。特に非正規で働く人や経営が安定していない自営業者が、新型コロナウイルスの直接的な打撃を受けている」と指摘しています」

「「雇用情勢がさらに悪化すれば、人間関係や心の健康の悪化を引き起こし、自殺のリスクが高まりかねない。日本では依然として男性が一家の収入を支えている世帯が多く、働き盛りの男性の仕事を守ることは、家族の暮らしや命を守っていくことにもつながる。働く男性への支援を強化することが必要だ」」

　ゆるく景気が下降していたなか、非正規雇用の夫の収入一本でやらざるを得なかった家庭なんてのはクリティカルヒットになりかねないわけだ。まさしくこうした危機的状況では、差し当たり、こうした働く男性（一家の「大黒柱」）を支援するべき理由が多分にある。
　それは差し当たり、「女性の社会進出」に資さない可能性は大いにあるが―せやから緊急避難だとさっさと理解しろという気は流石にする。具体的には

「都内の20代の男性は、ことし2月、勤務先の会社から突然、解雇を告げられ、その日のうちに寮からも退去させられました。

妊娠中の妻を連れてウイークリーマンションに引っ越しましたが、家賃が払えなくなり、友人から借りた車で夫婦で寝泊まりをするようになりました」

　ここんちに、妊娠中の女性の生活を保護するための法制度のセットアップのための運動は、とりあえず今は役に立たない。この旦那に六畳一間＋キッチン＋風呂トイレの貸間（月3万5千円）と時給800円×8時間×週6の仕事を提供する人があれば、それは法制度整備を志すだけのフェミニズム運動家の一個連隊より有益だろう。いや「それでは足りない！」というにせよ、差し当たりの自転車操業を許すだけの資源さえないのが問題なのであって。

「男性によりますと、1日に口にできたのはおにぎり1個と水だけで、それでも所持金は僅か500円になり、ついには自殺が頭をよぎったと言います」

「「妻につらい思いをさせてしまっているという重圧がのしかかり、『どうにかしないといけない』と、それだけを考える毎日でした。でも、どうしようもできず、家族だけでも守ろうと思い、自分が死ねば保険で守れるのではないかと考えるようになりました」」

　…なのである。