空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

エチオピア軍の緊張状態続く:北方国境及びソマリア方面

2008-04-11 23:50:44 | ソマリア関連
 そんなわけでエリトリア・エチオピア国境地帯にはもはや国連軍は164名しかおらず,武力衝突への懸念が高まりつつあります:

BBC UN fears new Ethiopia-Eritrea war 11 April 2008

 エリトリアは,国連はエチオピアがエリトリア領(バドメ)を占領するのを助けてていけないんです! と主張。とはいえ,その国連軍も,もとは1700名だそうで。誰かに何かを強制する勢力ではありますまいが(そもそも監視団であるわけだし)。

 これまでの関連記事は「エリトリアはエチオピアの警告を却下する」「エチオピア・エリトリアの緊張は高まりつつあり―ソマリア情勢の行方は」「エチオピアは戦争に備えつつあり」あたりをご参照。

 わが外務省頁によれば,兵力はエチオピア18万ほど,エリトリアは20万ほど。

 そんなわけで,エチオピアは対エリトリア用に相当数の兵力を北方に張り付けておかねばならないのです(「エチオピア・エリトリア戦争再開間近か」)。ですから他所の戦線に,過大な兵力を配備するわけには行きません。ただでさえエチオピアは,オガデン地方で兵力を必要とするのです。

 だからなのですよ,イラン・メディアの,「14000が新規にソマリアに侵入!」などという報道に疑問を持つのは(「ソマリア事情:イランの目から」)。

 既にソマリア(南部)に展開してる分を含め,ソマリア派遣軍を2万以上の大軍としては,エチオピア軍全体の予備・余裕が失われます。…後方支援部隊ってものも必要なんでしてね…表の華々しい「14000もの機甲兵力を含む部隊!」なんて数字の背後には…。

 しかし9000 + 4000という数字には余りに具体性がありそうで,恐らくはソマリア問題対処のために,国境地帯に集積したのがそれなんだろうと私は解釈したのでした(「ソマリア問題におけるエチオピア軍配置転換記事について:14000人規模の侵攻?」)。

 で結局,「Ethiopia + Somalia + 14000」でどんなニュースが引っかかるかっていえば:

 なんですよね。
 これは現地情報に基づく記事なんでしょうけど,この際,「カードを上手く使う人」の可能性を考慮に入れるべきではないかな(見事に行った例:「Dobley始末記:ソマリア,米軍巡航ミサイル攻撃問題」)。
 Hassan Turkiが指摘するように。
 外国メディアを,上手く利用している人物の存在にも―或いは,情報を上手く利用している外国メディアの存在にも,注意深く我々はあるべきでしょう。ソマリアをアメリカによるテロ戦争第三の前線に育て上げようとする人々もある様子です。

 ソマリア領内へエチオピア軍が増派されたのはまず間違いないことかと思われます。しかし,プントランドへの展開さえも考慮せねばならぬ昨今,その規模はある程度の限定がつくはずです。
 もし本当に14000もの規模であった場合―それはアルシャバブ根絶を意図する大作戦である可能性があり,ソマリ青年人口の相当な損失を結果しかねません。

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