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てらまち・ねっと



 「市議の不正を暴いた『地方テレビ局』記者の活躍ぶりが映画化」というニュースが数日前に流れた。
  議会、議員の政務活動費の不正が今でも明らかになり続けているという極めて異例の富山市議会。
 そこを発掘した記者だという。
 興味深い映画だ。

 私も、富山市議会の政務活動費の不正のことでは、依頼原稿を書いた(視標「政務活動費」2016年10月20日 共同通信・全国に配信)。
 そんなこともあって、両方を載せておく。

 なお、昨日8月19日の私のブログへのアクセスは「閲覧数4,187 訪問者数1,825」。

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●市議の不正を暴いた「地方テレビ局」記者の活躍ぶりが映画化
     Smart FLASH 2020.08.13
 有権者に占める自民党員の割合が10年連続日本一という富山県で、2016年8月、地元局「チューリップテレビ」(1990年開局)が痛快なスクープを飛ばした。
 自民会派に所属する富山市議の多くが政務活動費について事実と異なる報告をしている実態を暴き、当該議員たちを次々と辞職に追い込んだのだ。

 この富山市議会の腐敗と、議員たちの開き直りを描いたドキュメンタリー映画『はりぼて』で監督を務めたのが、五百旗頭(いおきべ)幸男氏と砂沢智史氏だ。事件当時、五百旗頭氏はチューリップテレビの報道番組のキャスター、砂沢氏は記者だった。

「議員報酬の改定問題が大前提にあったんです。月額60万円だったものが、たった2回の審議で10万円引き上げることが決まりました。それを奇妙に思い、取材を始めたんです」(五百旗頭氏)

 映画の冒頭、砂沢氏は、“富山市議会のドン” と呼ばれた、自民会派の会長・中川勇氏を直撃するが、「会社の役員だとか、そういう(収入の)後ろ盾がない人しか議員になれないようでは、この市がよくなるとは思えない」と手玉に取られてしまう。

 しかし、老練な議員らとやり合ううち、砂沢氏も記者として鍛えられていく。
「議会は3カ月に一度しか開かれず、議員の日常も見えない。県内には議員報酬が月15万円だった村(=舟橋村。現在は月20万円)もあるんです。この格差はどこで生まれるのか? 彼らは議員報酬に見合う仕事をしているのか? いろいろ疑問が出てきて追ううちに、政務活動費の問題が浮上してきたのです」(砂沢氏)

 政務活動費とは、地方議員に支給される、調査研究などの活動のための経費。砂沢氏がおこなった富山市への情報公開請求や、地道な取材活動の結果、中川氏は馬脚を露わした。

「市政報告会の資料の印刷代として政務活動費を支出していたのですが、その報告会が実際には開かれていなかったことが判明したのです」(砂沢氏)

 その後も、各議員のカラ出張や印刷代の水増しなどの不正が次々と発覚。“議会改革の旗手” との期待を背負って議長に就任した議員にも疑惑が生じ、ついには14人もの議員が辞職した。中川氏ほか3名の議員が詐欺罪で有罪判決を受け、不正の総額は、じつに4000万円を超えていた。

不正の総額は、じつに4000万円を超えていた

 一方で森雅志富山市長は、自身の責任を問われると、ときとして烈火のごとく怒る。そして、議会と首長がそれぞれ直接選挙で選ばれるという「地方自治の二元代表制」を建前にして、報道陣を煙に巻くのだ。

「口癖のように『制度論』を繰り返し、二元代表制を盾にして言い逃れる様子は、菅義偉官房長官が『その指摘は当たりません』と記者団の質問をシャットアウトする “否定話法” と相通じます。トップが、自分の負うべき責任や役割を怠っていれば、それが市議にも伝わってしまうのです」(五百旗頭氏)

 人口約42万人の地方都市での出来事が、国政の縮図に見えてくる映画だ。

取材/文・鈴木隆祐
※映画『はりぼて』は、8月16日より東京・ユーロスペースほか全国で順次ロードショー。作品の原型となった番組『はりぼて 腐敗議会と記者たちの攻防』は、2017年の第43回放送文化基金賞「テレビドキュメンタリー番組」部門で優秀賞を受賞しています。

●◆共同通信配信「識者評論」で各紙が掲載した原稿 「『政務活動費』 ◎使途を限定すべきだ 大都市議会では不要/元岐阜県山県市議 寺町知正」
          2017年4月5日 ブログ てらまち・ねっと
 自治体の議会の「政務活動費の不正」の問題は絶えない。昨年は、富山市議会が深刻な現状を自ら表明することになった。辞職者も相次ぎ、補欠選挙もあった。

 ここ山県市の議会でも、かつて、「選挙ポスターの公費負担」に関しての不正請求が発覚。私たちは、自主解散すべ旨の請願も出したりした。世論の高まりに、「議会運営委員会で解散請願の採択を決定」した。ところが・・・本会議では多数決できわどく否決された、という緊迫した状況だった。結局、議員は何人も辞職した。
 (参考 2007年12月19日⇒ ◆速報/山県市議会本会議で、議運の決定を覆して自主解散請願を不採択

 富山市では、来る4月9日告示で16日の定例市議選が待っている。
 ところで、昨年の富山市議会の「政務活動費」問題に関連して、共同通信から「識者評論」というカテゴリーへの寄稿を依頼された。
 原稿は2016年10月20日に全国に配信されて、その後、加盟の各地の新聞社が「掲載」したら、その「掲載紙」がある程度は送られてくる。
 ともかく、配信原稿を各新聞社の掲載前に「私的なブログ」などに載せたらまずいから、ネットには載せていなかったし、そのことにも触れていなかった。

 1カ月も過ぎればネットに載せてもいいだろうと思っていたけれど、今日は、富山の定例市議選を前にその配信原稿を載せることにする。
 配信記事の写真の基本はカラー。ここでは、「10月21日」の北日本新聞の記事を白黒の画像で掲載しておく。
 新聞社によって、タイトルや配置も異なっていて、それ自体、面白かった。例えば、「他の学者の意見と並置して掲載した新聞」とか、「オピニオン」的に大きな紙面にした新聞とか、社説などのページに、とか・・・

視標「政務活動費」 
◎使途を限定すべきだ 大都市議会では不要/元岐阜県山県市議 寺町知正  2016年10月20日 共同通信・全国に配信

 政務活動費をめぐる富山市議らの相次ぐ不正には、あきれる。でも、詳しく調べれば、どこにでもありそうだ。不正の原因の第一は、議会の構造的問題だと思う。

 ほとんどの地方議会には、自治体の仕事の分野ごとに、議員が分かれて所属する委員会がある。委員会は必要に応じ、議会の予算を用いて視察や研修を行う。議会全体として、講師を招いて勉強会を開くこともできる。こうした調査研究を活発にしたいなら、予算額を増やすことも可能だ。これがオモテの話。

 だが現実には、オモテの活動は少ない。なぜなら、一部の議員たちは「堅苦しいことは嫌」「仲間と好きにしたい」との思いが強いから。それがまかり通るのは、古参議員の求めや多数派の意見で方向性が決まる、議会のウラの構図による。

 正式な予算と違って細かく縛られない、議員報酬以外の金が欲しい。個人や、会派という有志の集まりの、自主的活動の経費を出してくれ―。それが政活費の由来ではないか。政活費の支給は実質的に報酬の引き上げである。

 実は、日本の議員報酬は外国に比べて多い。しかも、大きな議会ほど高額だ。例えば、富山市議の報酬は月万円、政活費は月万円。これに対し、今春まで私が議員を務めた岐阜県山県市の場合、報酬が月万5千円で、2008年まであった政活費は月1万円。違いは大きい。

 都道府県や大都市の議員報酬は十分高額だから、政活費は必要ない。実際、政活費を支給している議会は全自治体の半数ほどだ。いったん制度化した政活費を廃止した議会もある。

 政活費がない自治体では、先に述べたように、議会の公費で研修するという、本来の姿を充実させることが不可欠だ。また、私は政党や組織に属さない無党派・市民派の議員として、各地の議員仲間と視察や研修などを自腹でも行ってきた。

 一方、中小の市町村の議員報酬は必ずしも高額ではないので、政活費の支給が合理的な面もある。とはいえ、政活費の使い道は、現在より範囲を限定すべきだ。

 議員は政治活動をする。しかし、所属政党に関する活動にまで政活費の使途を広げたら、際限がない。自治体の公金だから、その自治体に直接関係のない活動に使ってはならない。政党活動が自費なのは当然だ。

 自治体の政策や事業の展開は多様なので、議員が勉強すべき課題も多様である。先進的な自治体の視察などは役に立つ。ただし、視察に伴う宿泊費や飲食費は、交流と称した遊興、ごまかしの温床になっているため、政活費を充てるのは交通費に限るべきだ。
 勉強会の参加費や資料代、有権者向けの議会ニュース発行や報告会開催の費用なども、有用な使途といえる。

 不正の原因のもう一つは、明らかに倫理観の欠如だ。この対策としては、政治家が有権者に責任を負う立場であることを自覚させる、極めて有効な方法がある。

 私は、議員ごとの議会での発言数や公費の使途などを表にまとめ、市全域に配ってきた。このようなことは、議会や行政なら容易にできる。

 議員も首長も選挙で当選して職務に就く。制度として選挙前に、議員と首長の公金の使途や額、日ごろの活動などの基礎情報を公表し、有権者に配布することが重要だ。
   ×   ×
 てらまち・ともまさ。1953年岐阜県生まれ。岡山大卒。85年に岐阜県高富町(現山県市)議員に初当選。市民団体「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」代表。共著に「市民派議員になるための本」。



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