2012年第2回定例会・6月議会(6月12日から6月28日まで)
★★一般質問 2012年6月13日に通告し、6月26日に一般質問した答弁の記録。
●質問-1 震災がれきの受けいれは困難ではないか / 答弁者 市長
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●質問-1 震災がれきの受けいれは困難ではないか 質問と答弁 印刷用 PDF
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●山県市議会6月議会一般質問 2012年6月13日通告 6月26日(火)質問当日
寺町知正
(質問と答弁が分かりやすいように、各問の順に質問・答弁を並べ替えた。重複は適宜略した。ですます調は、である調に換えた)
質問事項 「震災がれきの受けいれは困難ではないか」
東日本大震災に関して、復旧や再興に協力していきたいのは誰しも同じこと。その一つとして提案されている「がれきの広域処理」について、問題がなければ協力したいという人もいれば、いろいろな理由から断るべきという人もいる。各地でも、対応が分かれている。
そこで、市民の疑問や懸念に答えがでるように、諸点について、市長の基本認識を問う。
《問・寺町》1「広域処理」の必要性について
現地のがれき量は推定値でしか出ていない。5月末には木質系がれきや混合可燃物の推定量が大幅に減った。やっかいなのはコンクリートなど不燃物。しかし、これも最近は、再興のために使い道があるといわれてきている。「広域処理」はゼネコンや特定業者に仕事を回すためだという批判は横に置くとして、一言でいえば「広域処理が必要とされた量」が減ってきているが、市はどのように状況認識するか。
《答・市長》 東日本大震災の被災地の一刻も早い復興を、願いながら答弁する。
当初、広域処理を必要としていた岩手県と宮城県のがれきは401万tだったが、実際には取り壊さずに改修で済んだ建物が、当初の推計より多かったことなどから見直しがされ、平成24年5月末で233万と4割ほど減少され、木くずなどはすでに受け入れを決めている他の自治体で処理ができる見通しとなっている。
木くずや混合可燃物を含め、最優先で受け入れを表明する都県への割振りが7月までかかるとされるなど、岐阜県内の自治体としては、受け入れられる、がれきの種類や量も不明であり、当面は情報収集に努めることとしている。
《問・寺町》2.運搬やストックについて
仮に受け入れとなった場合、がれきはどのように山県市まで運ばれるのか。その際の運搬業者は誰でもよいのか。
施設に敷地に搬入したとしてストックする場所と方法は現実的にあるのか。
《答・市長》 仮に受け入れたとした場合は、コンテナによる鉄道輸送とトラック輸送による搬入が想定される。
広域処理により焼却処分を委託されるとすれば、被災市町村との契約となり、協議の上で運送方法等を取り決めることから、運搬業者の選定に至るまで被災市町村が手配することもあり得る。
基本的に廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条及び同法施行規則第2条に基づいて、委託市町村と受託市町村の間の契約によって行う場合の廃棄物処理は、収集運搬に関する許可を要しないとしており、特に、東日本大震災の被害市町村の災害廃棄物の処理を委託する場合には、平成26年3月31日までに限り、再委託基準などの特例措置を設け、受入側の市町村において運搬業者を決めることを可能とされている。
コンテナによる搬入の場合は、ダンピングができないことと、搬入物の性状確認が必要なことから、ごみピットへの直接搬入ができないため、一時保管場所が必要となるので、当市においては、現実的ではないと考えている。
《問・寺町》3.がれきと市の焼却炉について
市の焼却炉は稼働開始したばかりだ。がれきの「塩分」、「泥」、「形状」、「混焼における発熱量の変化」などの影響はどのように予測されるか。
安定運転と不可分な関係にある排出燃焼ガスの有害物質の濃度に対する懸念や影響はどのようか。
《答・市長》 当市が受け入れを可能としているのは可燃廃棄物に限定しており、岩手県と宮城県が受け入れを希望される混合可燃物は、細かく破砕をした2次選別後のもので、ごみの性状は、繊維、プラスチックや少量の金属も含まれるとともに、塩分や洗浄しきれない泥土も多く含まれていると思われる。
このうち、塩分などを含んだ、がれきの燃焼は、腐食性ガスの発生が懸念されるとともに、クリーンセンターの管理受託者の実績デ-タから、焼却施設に影響を与えない塩素イオン濃度が0.4重量パーセント以下とされていることから、施設への負荷を少なくし、安定した燃焼運転を行うには、市の可燃ごみとの混焼処理が必要となる。
また、混焼した焼却灰と飛灰を灰溶融炉にて溶融した場合には、塩素イオン濃度が増加し、溶融温度が高くなる可能性があるので、一般の廃棄物との混合率は5%から10%以内が望ましく、平成23年度の可燃廃棄物の焼却実績が6,785tであることから試算すれば、災害廃棄物は年間339tまでで、1日当たり1tまでの可燃処理量が受入可能ということになる。
《問・寺町》4.焼却灰の放射能(基準値)について
放射性物質は、封じ込め、拡散させないことが原則で、放射性セシウム濃度が1kgあたり100ベクレルを超える場合は、特別な管理下に置かれ、低レベル放射性廃棄物処分場に封じ込めてきた。だから、原子力発電所の事業所内から出た廃棄物は、100ベクレルを超えれば、低レベル放射性廃棄物処分場で厳格に管理されている。
つまり、従来の放射性廃棄物の基準はセシウムで100ベクレル/kgで、それを超えると、一般のゴミ処理場などに廃棄することは許されていなっかたものが、震災後、8000ベクレル/kgまで、埋め立てできることと変更された。これが広域処理の基準にも転用された。
今回のがれき焼却や埋め立ては、基準をかえれば、できなかったことができることとなるという非科学的で不合理な納得しがたい政府の方針が前提になっている。
その結果として、市民や作業員の健康や環境への影響、風評被害の恐れが高まったということに他ならないと私は考えるが、市はどう考えるか。
《答・市長》 「焼却灰の放射能濃度の基準値」について、放射能に含まれる放射性セシウム、1kg当たり100ベクレルとは、「原子炉等規制法」に基づくクリアランス基準で、廃棄物を安全に再利用できる基準である。コンクリ-トや金属などを再生利用製品として使用しても安全とする基準は1kg当たり100ベクレル以下と定められている。
1kg当たり8000ベクレルとは、廃棄物を安全に処理するための基準で、「放射性物質汚染対処特措法」に基づく指定基準である。原子力発電所の事故に伴って環境に放出された廃棄物について、一般的な処理方法を想定し、安全に処理するために定めた基準で、焼却灰の放射能濃度が1kg当たり、8000ベクレル以下となる廃棄物については、従前どおり焼却し埋立処分をすることができるとされている。
なお、広域処理により焼却する場合は、焼却灰が1kg当たり、8000ベクレルを超えないよう、対象とする廃棄物を焼却炉の型式に応じて1kg当たり240ベクレル以下、又は1kg当たり480ベクレル以下のものとされている。
しかしながら、広域処理が思うように進まず、最初に説明した「ガイドライン」についても、災害廃棄物安全評価検討会において、安全性の考え方や搬出側における確認方法等を検討し、新たな実測データを盛り込みながら、繰り返し改定がなされてきたが、4月に、岐阜県が宮城県から持ち帰ったがれきのサンプルから、放射性物質検査の国の基準の上限値が検出されたこともあって、安心・安全がしっかり確保されると判断することは困難である。
《問・寺町》5.焼却灰の最終処分について
特にがれきを焼却すれば、放射性物質の濃度が高まるのは当然のことで、昨年、「現地の木材を焼却した灰」でも社会問題になっている。最終処分場の寿命(=残余量)が心配されている山県市の焼却事業について、放射性物質を含む焼却灰が最終処分場に与える影響はどのようか。
《答・市長》 放射性セシウム濃度が1kg当たり8000ベクレル以下であれば、最終処分場に埋立てることになるが、飛散防止のための覆土も必要であり、受け入れた廃棄物の量に応じて、増えた分だけ最終処分場の容量が減ることになり、残余容量の計画年数の前倒しが必要となる。
《問・寺町》6.焼却後の炉の維持管理について
炉は定期的に点検・清掃・交換等が必要。がれき焼却後に生ずる問題は何が予測されるか。
《答・市長》 定期点検時等で発生した耐火物や炉内清掃物を処理する場合、国の基準値内であっても、産業廃棄物として処理できない可能性がある。
また、土砂が付いたまま焼却を行うと、火格子等の機械類の摩耗が計画以上に進行する。また、土砂に含まれた塩分により移送コンベアや焼却灰の受入ホッパ-等の腐食による、耐用年数の短縮や維持管理コストの増加が懸念される。
《問・寺町》7.トータルコストや契約上の問題
このように見てきたとき、焼却コストは、通常の市の一般ごみの処理コストに対して、どの程度と想定されるのか。広域処理の経費はどこが負担するのか。
そもそも、「処理は自治体間の契約」、という構図に問題はないのか。
《答・市長》 先ほど申し上げたように、広域処理を行う場合は、被災自治体と受入自治体との委託契約により行われ、費用はすべて被災自治体の負担とされており、被災自治体の災害廃棄物に係る処理費用は、国が補助金及び特別交付税により全額負担するとされている。
また、受入自治体の最終処分場への支援として、処分場の容量に対応するための建設費に対し支援措置がとられることとなっている。
がれきの焼却コストについては、まだ、受け入れできるかどうかを検討している段階であり、具体的な受入の想定ができないため、概算にも至っていない。
《問・寺町》8.寄せられている市民の声と意思決定の方法について
市は「住民の理解が得られれば検討」(新聞報道)というが、どのように確認するのか。もし、受け入れの場合、どのようにして意思決定するのか。
《答・市長》 広域処理に関して、新聞等で各自治体の受入可否や問題点を紹介されているので、市民の方からは直接お出かけいただいたり、お電話やメールをいただくが、その時々でご理解をいただいていると考えている。時には、参考資料をご提供いただき感謝もしている。
また、「住民の方の理解をどのように確認していくのか」ということにいては、仮に市として受け入れられると判断した場合には、市内の各地域において説明会を開催して、市民の方々のご意見を伺い、そのご意向を踏まえ、受入の可否を決定していくこととなる。
《問・寺町》9.現時点の基本的な結論
この種の案件は性質上「100%確定した方針」というものはあり得ない、これは当然として、現時点の基本的な結論として、山県市はがれき処理を受け入れるのか、受け入れないのか。
また、その考えは、市民の疑問や懸念に答えるために市のHPや広報で示すべきではないか。
《答・市長》 「現時点での基本的な結論」だが、受入可否の検討は、あくまでも住民の理解を得ること、安全が確認されることを大前提に検討しており、現状では受入の可能性は低いと考えている。
議員ご指摘のとおり、市民の方の疑問や懸念に答えるためにも、今後、受け入れの可否が明らかになるような状況となれば、ホ-ムペ-ジや広報等で情報を提供したい。
●再質問 寺町知正
いろいろと答弁いただいた。時間も限られているので、最後に「現状では受け入れる可能性は低い」とのお答だった。
そこについて確認だが、焼却炉の寿命や発熱量などいろいろな問題についてお聞きしてきた中で、答えをお聞きする限り、実質的には山県市にとってはこれは難しいのではないか、ということがいろんな事情から分かったという答弁の主旨だ。
そういう中で、一応は検討は続けていくということだけど、先ほどの「可能性は低い」ということは、ほぼ実質的に、今の現実、将来のことはともかく、今ここ当分山県市がガレキを受け入れようということはないと受け止めて良いか。
★再答弁 市長
答弁の前に一つ訂正をする。さきほど私の説明の中で、5月末で233トンと話したが233万トンなので訂正する。
受け入れの状況だが、国、県の今の基本的な状況からすると議員のご理解に近い、そういった方向性で今の山県市は進んでいく。
●(再々)寺町知正
実質的にないだろうという趣旨に受け止める。
(一般質問の「質問答弁含めて45分」という時間制限の関係で、次の質問に移った)
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