先日のアメリカでの裁判の報道。
「アップルが米で勝訴=連邦地裁評決-サムスンに830億円賠償命じる・スマホ特許」(朝日)。
どういう事件かというと、
(時事)「米アップルと韓国サムスン電子が互いにスマートフォン(多機能携帯電話)の特許技術を侵害されたなどとして争っていた訴訟」
(朝日)「陪審団は、アップルが特許を侵害されたとしていたタッチパネルの操作技術など7件のうち、6件の侵害を認め、うち5件はサムスンが故意に侵害したと認定」
これからの業界やユーザーに影響しそうな裁判。
しかも、「アップルvsサムスン、31日に東京地裁で判決」ともされる。 (中間判決らしい)
それと、830億円という額。
ちょうど、私たち(3人)は6月に、石原産業がらみの株主代表訴訟で485億円の賠償命令を大阪地裁でもらったところ(もちろん、弁護団のおかげ)。
これは、日本では2番目の高額だという。
そんなことで、額にあまり驚きはないが、サムスンは実際に払わなければいけないので、ダメージは大。
2012年6月30日ブログ⇒◆旧経営陣らに485億円賠償命令/3人の原告の一人は私/石原産業フェロシルト問題/株主代表訴訟
ともかく、興味深い裁判の関連情報をとどめておく。
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●アップルが米で勝訴=連邦地裁評決-サムスンに830億円賠償命じる・スマホ特許
時事 (2012/08/25-12:25)
【シリコンバレー時事】米カリフォルニア州北部連邦地裁の陪審は24日、
米アップルと韓国サムスン電子が互いにスマートフォン(多機能携帯電話)の特許技術を侵害されたなどとして争っていた訴訟で、
アップル側の主張をほぼ全面的に認め、サムスンに対し10億5100万ドル(約830億円)の賠償支払いを命じる評決を下した。
裁判所によると、陪審はアップル側が侵害を主張した特許7件のうち、タッチパネルに関連する一部の操作手法や四隅を丸めた長方形の本体形状など6件の侵害を認定。
アップルは25億ドル以上を主張した賠償請求の4割強を勝ち取った形。
一方、サムスンは高速無線通信技術などの侵害を訴え4億2200万ドルの賠償を求めたが、棄却された。
●特許、米ではアップル完勝 サムスンの賠償額830億円
朝日
スマートフォン(多機能携帯電話)などの特許をめぐり、米アップルと韓国サムスン電子が争っている裁判で、米カリフォルニア州連邦地裁の陪審団は24日、サムスンがアップルの一部特許を侵害したとして、サムスンに10億5千万ドル(約830億円)の損害賠償の支払いを命じた。
陪審団は、アップルが特許を侵害されたとしていたタッチパネルの操作技術など7件のうち、6件の侵害を認め、うち5件はサムスンが故意に侵害したと認定。一方、「アップルが特許を侵害した」とするサムスンの主張は退けられた。当初、アップルは約25億ドルの損害賠償を求めていた。評決を受け、地裁の判事が近く判決を言い渡す。
スマホ市場では、首位のサムスンと2位のアップルで世界シェアの約半分を占めている。サムスンは携帯端末に米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載し、アップルとグーグルの大手IT2社の「代理戦争」とも言われ注目された。米メディアによると、アップル側は一部のサムスン製品の米国での販売差し止めを改めて請求するという。今後、サムスン製品の米国販売が差し止められるなどの事態になれば、サムスンの経営戦略に影響が出そうだ。
●アップルVS.サムスン、陪審員室の中で起こっていたこと
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2012年 8月 27日 14:05 JST
【サンノゼ(米カリフォルニア州)】米連邦地裁で争われた米アップルと韓国のサムスン電子による特許権侵害訴訟で、9人で構成される陪審団は22日の議論開始直後、最初の論点でさっそく行き詰まった。「イエス」が7人、「ノー」が2人となったためだ。最初の論点とは、サムスンは画面が端で跳ね返って戻る「バウンスバック」技術でアップルの特許を侵害したか、というものだ。
ホワイトボードにタリー(数を数えるための線)を書いて「イエス」と「ノー」のそれぞれの票数を確認した陪審員らは証拠をあらためて調べることを決めた、と陪審員の1人だったマニュエル・イラガン氏(59)は取材で明かした。陪審員らは三菱によって開発されたタッチスクリーンのタブレット端末に電源を入れ、証拠のビデオを見た。このタッチスクリーンのタブレット端末は、こうした端末を最初に考案したのはアップルではないとするサムスンの主張を裏付ける証拠として提示されたものだ。
陪審員らは連邦地裁の会議室にある大きな楕円(だえん)形のテーブルの回りに集まった。部屋の片側には大きなホワイトボードが置かれ、反対側には冷蔵庫とコーヒーメーカーが設置されている。
陪審員らはビデオを「それは、それは注意深く」見たが、「ノー」の2人が翻意しなかったため、先に進むことにした、とイラガン氏は言う。「われわれは、ここに留まりたくなかった」と、回路基板を作る会社でマーケティングを担当するイラガン氏は話す。
「バウンスバック」の特許技術について、陪審団は最終的に全会一致でサムスンによる特許の侵害があったと判断している。イラガン氏によると、「バウンスバック」技術は陪審員らの意見が分かれた少ない争点のうちの1つで、ほかの点については異論なく評議が進み、開始から22時間という驚くべき早さで評決に至ったという。サイクリング愛好家や技術者、ソーシャルワーカーを含む、男性7人・女性2人の陪審団はアップルが訴えていた特許侵害のうち1つを除くすべてでサムスンが特許を侵害しているとの評決を出した。一方、アップル側はサムスンの特許をひとつも侵害していないとした。
陪審団はサムスンがアップルに10億5000万ドル(約827億円)の賠償金を支払うよう要求した。これは特許侵害訴訟で史上最高の賠償額だ。サムスンは控訴する構えだ。
陪審団は評議の開始当初から、目の前の困難な課題に取り組むための方法を考案した。課題に集中し、ほかの陪審員が別の話題にそれるのを防いだ、とイラガン氏は話す。陪審員らは評議内容に関すること以外、ほとんど何も話さなかったという。
陪審団の任務は、38のサムスン製携帯機器がアップルの7件の特許を侵害しているかどうか、またアップルのスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone(アイフォーン)」、タブレット型端末「iPad(アイパッド)」、携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)タッチ」がサムスンの5件の特許を侵害しているかどうかについて、300項目・20ページに及ぶ評決をまとめることだった。
動画圧縮技術の専門家で陪審員らから「ベル」と呼ばれていた陪審員長のベルビン・ホーガン氏は、評議事項の1つひとつで陪審員らが脇道へそれないように話し合いを進めたほか、米電話大手AT&Tの製品マネジャー、ピーター・キャサーウッド氏は採決をとる役回りと引き受けた、とイラガン氏は話す。
自転車店で働くデイビッド・ダン氏は証拠類を整理してまとめ、数十の機器に符丁をつける作業をした、とイラガン氏は続けた。
ダン、キャサーウッド、ホーガンの3氏は取材の求めに応じていないか、連絡がとれていない。自宅で取材に応じたアーティー・マートゥル氏は「すばらしい体験だった」とし、「クレイジーな裁判」だと述べた。マートゥル氏は以前、新興IT(情報技術)企業で給与支払簿の管理者として働いていた。同氏はそれ以上のコメントは避けた。
IT業界でこの数十年間、最も注目された特許侵害訴訟で出された評決はアップルの圧勝となった。問題となったのはスマホ産業で重要なイノベーションと、競合他社同士がいかに互いのデザインを密接に追随し合えるかといったさらに大きな問題だ。
今回の評決はすでに業界全体に波紋を広げている。損害賠償の負担が消費者に転嫁され、携帯機器の価格が上昇する可能性があるのではないか、また携帯機器の商品数が減るのではないかといった議論が急浮上している。専門家らの間からは、アップルの特許が強く擁護された結果になったため、競合他社は製品のデザインや機能に大きな変更を強いられるのではないかとの声も聞かれる。
この歴史に残る評決がまとめられた経緯をみると、陪審団がいくつかの争点で意見を異にしたことがわかる。その中には複雑な「トレードドレス」(訳注:製品のパッケージなどを含む全体的な視覚的印象)や、フォトギャラリーに関連してサムスンが持っている特許などが含まれていた、とイラガン氏は指摘する。イラガン氏は無線業界での経験があったため、ほかの陪審員らに「ベースステーション」といった用語の説明ができたという。陪審員の中にはテクノロジー産業で働く人が多かったという。
しかし全体としてほとんどの陪審員は、サムスンの幹部がアップルのデザインを称賛しているメールといった証拠や審理内容に動かされ、アップルの主張に理解を示していたと、イラガン氏は言う。
同氏は特に、サムスンが2007年のアイフォーン登場前と後で機器のデザインを変更したことには説得力があったと語った。この点はアップルの弁護士がスライドを使って何度も繰り返し強調した点だ。「何らかの模倣が行われていたことは明らかだ」とイラガン氏は言う。
それとは対照的に、2007年のアイフォーン登場前後の製品の比較は誤解を招くというサムスンの主張は説得力がなかった、とイラガン氏は言う。
イラガン氏によると、陪審員らは、アップルがサムスンのデータ転送に関する2件の特許を侵害したとするサムスンの主張をあっさりと退けたという。サムスンはこの無線通信に関する特許のロイヤルティー(使用料)は3億9900万ドルに及ぶと主張していた。
だが陪審員は全員、半導体世界最大手の米インテルがアップルのチップを製造しており、サムスンはインテルに対してこの技術のライセンスを与えており、アップルが特許を侵害できるわけがないというアップルの反論を支持した。
連邦地裁のルーシー・コー判事は100ページを超える陪審員用の手引書を数時間かけて読み上げた。イラガン氏は、陪審団はこの手引書に根気強く従ったと話す。
アイコンに関する特許については、ダン氏が、アイフォーンとサムスンの端末を掲げ、暗闇でカラフルなアイコンしかみえない状態で、この2つを区別できるだろうかと問い、最後には全員が合意した。
最も意見が分かれた論点の1つはトレードドレスだった。アップルは同社が米特許商標局に「登録済み」のトレードドレスをベースにサムスンが少し変更を加えただけだと主張していた。しかしイラガン氏は、この問題は特許表彰局が判断すべき問題であり陪審員が決めることではないと考えた。
記者: Jessica E. Vascellaro
●焦点:アップルとサムスンの裁判、賠償算定は「錬金術」
ロイター 2012年 08月 23日
[サンノゼ(米カリフォルニア州) 22日 ロイター] 米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)と韓国のサムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)の特許訴訟は22日、米カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁で9人の陪審員による評議が始まった。同評議で白黒が付いた場合、次の焦点は、実際の損害賠償額が一体いくらになるかに移る。
スマートフォン業界に大きな影響を与えるであろう今回の裁判。約3週間にわたった証人尋問などを通じてアップルは、サムスンが「iPhone(アイフォーン)」やタブレット型端末「iPad(アイパッド)」のデザインや一部機能を模倣したとの主張を裏付けようとした。
そうした中、アップル側の証人として法廷に立ったマサチューセッツ工科大学(MIT)のジョン・ハウザー教授の証言は、スマホ特許訴訟の中心部分に切り込んだものだった。スマホに盛り込まれたさまざまな機能の1つが、実際にはいくらの価値があるのかという問題だ。ハウザー教授は、タッチパネル上で2本目の指を認識する機能の値段は、1台当たり39ドルだと証言した。
仮にこうした機能がハウザー教授の指摘通りの価値があるとみなされ、アップル側に有利な評決が出れば、それは巨額な損害賠償金以上の意味を持つことになる。サムスンの携帯端末の販売差し止めという、アップル側が求める判決につながるかもしれない。
損害賠償金は一体いくらになるのか。その答えを出すには、「錬金術」のような複雑な計算が必要になる。前提がわずかに違っただけで、最終的に数十億ドルの違いが生まれる。両社が呼んだ証人の証言をどう判断するか、判事や陪審員それぞれのとらえ方も千差万別だろう。
アップルは、争点となっている一部の機能は消費者の間で大きな需要があるとし、サムスンに少なくとも25億ドルの賠償金支払いと製品の販売停止を求めている。アップル寄りの評決になれば、今後スマホ業界の広い範囲で似たような訴訟のリスクが発生することになるだろう。
<顧客調査の問題点>
一部機能に対する「市場の需要」が大きな価値を生むというアップル側の主張は、MITのハウザー教授がサムスンの顧客に対してネット上で行った調査に凝縮されている。そしてそれは、この裁判でアップル側の主張の柱とも言えるものだ。
ただ、陪審員や判事の一部は、こうした調査に懐疑的でもある。アップルが米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)傘下のモトローラ・モビリティと争っていたスマホ特許裁判では、リチャード・ポスナー判事は、両社とも損害を証明できる十分な証拠がないとして審理を棄却している。
ロイターが先月行ったインタビューでポスナー判事は、企業が製品開発の過程で行う顧客調査と、訴訟のために準備する顧客調査は区別されるべきだと指摘。訴訟用の顧客調査は「信頼性で大きく劣る」と語った。
アップルとサムスンの裁判ではしかし、両社が呼んだ専門家の証言の多くが証拠として採用されている。
特許裁判ではこれまで、知的財産の評価法としていわゆる「25%ルール」が慣例的に使われてきた。敗訴した企業は、該当技術が製品全体に与える影響の大小にかかわらず、特許侵害製品が生み出す利益の25%を支払うというものだ。ただ、このルールは不当に大きな損害賠償金につながるとの批判もあり、昨年にはそれを覆す判決も出ている。
企業の損害賠償問題に詳しいロイ・エプスタイン氏は、最近の特許裁判で「特定の機能」と「消費者の需要」を結び付けようとする調査資料が多く出されるのは、こうした25%ルール否定の動きが背景にあると指摘する。
どの調査資料を陪審員たちの判断材料として使うかは、判事が決定する。ポスナー判事は、ある特定の技術的特徴に対する消費者の関心に焦点を当てた資料は、当該特許の重要性を人為的に誇張しかねないと指摘している。
一方、ハウザー教授は裁判所に提出した資料の中で、調査ではさまざまな機能を持った複数のスマホを消費者に見せたことで、この問題はクリアされていると主張している。
<賠償金算出の根拠>
ハウザー教授は、マルチタッチ機能などアップルが持つ3つの特許にスマホユーザーは100ドル支払うと指摘。また、アップル側の証人として出廷した公認会計士のテリー・ムシカ氏は、サムスンは1台当たり7.14ドルの特許使用料を払うべきだとの見解を示し、争点となっている機種からサムスンが得た利益は約22億ドルと算出している。
アップル側はこの算出額の根拠としてサムスンの利益率を35.5%と見積もっているが、サムスン側は、この数字はマーケティング費用や研究開発費などのコストが考慮されておらず、実際の利益は5億1900万ドルだと反論している。
陪審員は今後、訴訟で争われているアップルの特許7件、サムスンの特許5件について、20ページに及ぶ評決文をまとめる。複雑な法律問題が絡んでおり、評議には数日間かかる見通しだ。
(原文執筆:Dan Levine記者、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)
●韓国サムスン、実質的大勝利と喜びもつかの間、全面敗訴
サーチナ 【経済ニュース】 2012/08/27(月)
韓国のサムスン電子と米アップルによる特許権侵害訴訟が世界各国で展開されています。
24日韓国中央地裁ではサムスンの一部勝訴となり、アップル側がサムスンの特許2件、サムスン側にはアップルの特許1件を侵害したとして、約270万円の損害賠償。またサムスン側に対してはアップルの特許1件を侵害したとして約170万円の賠償を命じています。
韓国メディアはこぞって「サムスン、世紀の訴訟で事実上の勝利」「サムスン-アップル特許戦、2対1でサムスン勝利」などと報じていたようです。どう見ても痛みわけのようにしか感じないのですが、差し引きで100万円の賠償額がサムスン側に入るので韓国側からすれば大勝利なのでしょう。
ところが、米国連邦地裁の判決では、アップル側の約825億円の損賠が認定され、サムスン側に賠償支払いが命じられています。またサムスン側がアップルの特許を意図的に侵害したとも認定されているため、最終的に下される損害賠償額は、その3倍になる可能性もあるようです。
つまり、アップル側の損害賠償額が825億円のままだとしても、韓国での裁判で得られることになった賠償金100万円の8万2500倍の損賠賠償を支払うことになります。
韓国メディアに倣えば「実質的な大勝利」直後の「歴史的全面敗訴」といったところでしょうか。
韓国メディアも米国での裁判を控えているのが分かっていたわけですから、報道の仕方ももう少しやり方もあるのではないか?感じずには得られません。
ちなみに、今月31日はサムスンとアップルの特許侵害訴訟について、日本で中間判決が下される見通しです。
さらに日本、英国、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、オーストラリアでも係争中であることから、今回、両企業の本社のない日本の判決次第で、最終的にサムスンが支払う損害賠償は1000億円、下手すると2000億円近くなるかもしれません。
「実質的な大勝利」の後に続く韓国メディアの報道が気になって仕方ありません。(情報提供:株式会社アイリンクインベストメント)
●アップル勝訴でアンドロイドは失速するか?スマホ業界再編の可能性は
2012年08月28日 10:31 発信地:ワシントンD.C./米国
米カリフォルニア(California)州マウンテンビュー(Mountain View)のグーグル(Google)本社で、スマートフォンのカメラ機能を使って同社の「アンドロイド(Android)」OSを搭載したモトローラ(Motorola)のタブレット型
【8月28日 AFP】米アップル(Apple)は先日、スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型端末の技術をめぐる米国での特許訴訟で韓国サムスン電子(Samsung Electronics)に圧勝した。この結果は、競争が激化するスマホ市場の勢力地図を塗り替えるかもしれない。市場を席巻しつつあった米グーグル(Google)の基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」の勢いが削がれる可能性があると、専門家らは指摘する。
米カリフォルニア(California)州北部連邦地裁の陪審は24日、サムスン電子がアップルの特許を侵害したと認め、10億ドル(約790億円)以上の賠償金を支払うようサムスン側に命じる評決を下した。グーグルは訴訟当事者ではなかったが、裁判の焦点となったのは同社のアンドロイドOSだ。アップルの共同創設者、故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏はかつてアンドロイドを「(アイデアを)盗んだ」製品だと批判している。
アップルとサムスンの一連の特許訴訟合戦で争われている技術の中には、アンドロイド端末に採用されている画面のスクロールや拡大縮小の際の「バウンスバック(跳ね返り)」機能が含まれている。「アップルの特許を侵害しないように再設計が必要になるため、アンドロイド製品は『リセット』を強いられることになるだろう」と、米調査会社エンダール・グループ(Enderle Group)の技術アナリスト兼顧問、ロブ・エンダール(Rob Enderle)氏は分析する。
■マイクロソフトとRIMに追い風か
一方、今回の訴訟で「得をする」企業も多いだろうともエンダール氏は指摘する。たとえば、携帯端末市場で遅れをとった米マイクロソフト(Microsoft、MS)や、アンドロイドの普及で最も打撃を受けたスマートフォン「ブラックベリー(Blackberry)」の製造元リサーチ・イン・モーション(Research In Motion、RIM)などだ。
エンダール氏の見立てでは、米訴訟結果は「特にMSの新プラットホーム『ウィンドウズ8(Windows 8)』と『ウィンドウズフォン8(Windows Phone 8)』にはまたとないチャンスとなるはず」だ。アップルの訴訟対象から外れているため、端末機器メーカーにとって「(アンドロイドより)ずっと安全で、恐らく市場に打って出るのに最短の選択肢」となったからだ。
またRIMについても、「アップルの訴訟を未然に防ぐのに十分な特許を保有していると考えられる。買収対象としての魅力はぐっと増すだろう」という。
ここ数か月の米スマホ市場では、アンドロイド端末がシェア50%以上を獲得する一方、アップルは30%、RIMは12%と後塵を拝していた。
■販売差し止めとなるか、審判の日は9月20日
ただ、サムスン側は控訴する構えで、市場再編のゆくえは今後の裁判次第だ。
ルーシー・コー(Lucy Koh)判事が陪審評決をくつがえしたり修正する可能性はあるのか、賠償金を3倍にする「懲罰的損害賠償」を認めるのか、サムスン製品の販売差し止めを命じるのか――これらを決める審理は9月20日に開かれる。最大のポイントは、アップルが本案的差し止め命令を獲得して、特許違反に該当するサムスン製品を販売中止に追い込めるかどうか、そしてこの差し止め命令が控訴裁判中にも有効と認められるかどうか、の2点になるだろう。
特許法に詳しいミズーリ州立大学(University of Missouri)のデニス・クラウチ(Dennis Crouch)氏は、サムスンの対応についてこう解説する。「サムスンは差し止め命令が出た場合の対策を既に立てている。特許違反とされた製品の販売を中止して、まだ違反と認定されていない製品に置き換える準備は済んでいるに違いない」
仮にそうなれば、新たな法廷闘争が幕を開けるだろう。アップルは、サムスンの新型携帯端末をめぐっても同社を訴えている。そしてサムスン側は米国で歴史的な敗北を喫した後も、「この評決が認められれば選択肢が少なくなり、革新が減り、価格上昇を招きかねない」として、法廷闘争を継続する意志を表明している。(c)AFP/Rob Lever
●アングル:ギャラクシー・タブの販売差し止め、米訴訟評決受け再考も
ibタイムス
米アップル(AAPL.O)は24日、スマートフォン(多機能携帯電話)などの特許侵害をめぐって韓国サムスン電子(005930.KS)と争っていた米カリフォルニア州連邦地裁での訴訟で全面勝利と言える陪審評決を得た。
アップルの「iPad(アイパッド)」
だが、それは、世界で繰り広げられている両社の特許訴訟の焦点の1つ、サムスンのタブレット端末「Galaxy Tab(ギャラクシータブ)10.1」を除いてだった。
米カリフォルニア州連邦地裁の陪審団は、アップルの特許を侵害したとしてサムスンがアップルに10億5000万ドルの賠償を支払うべきとの判断を下した。
しかし、アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」のデザインに関する特許1件についてはアップル側の主張を認めず、2カ月前に、サムスンの「ギャラクシー・タブ10.1」が「アイパッド」のデザインを模倣しているとのアップルの主張を認めたルーシー・コー判事の決定と食い違う評決となった。
コー判事は6月、「ギャラクシータブ10.1」について、米国での販売仮差し止め命令を出した。
関係筋が26日語ったところによると、サムスン電子は数日以内に、この販売差し止め命令の取り消しを求める見通し。アップルおよびサムスン電子の関係者からのコメントは今のところ得られていない。
米グーグル(GOOG.O)の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載するサムスンのギャラクシー・タブレット端末は現在、首位のアップル「アイパッド」に大きな差を開けられているものの、一部の業界専門家は「iPad」の主要なライバル製品と位置付けている。
ノートルダム大学ロースクールのマーク・マッケナ教授は、通常1つの特許に基づく販売仮差し止め命令がその後の評決と一致しなかった場合、当該企業は、販売差し止め命令を取り消すよう裁判所に求めるとの見方を示した。
●〔焦点〕米スマホ特許訴訟、アップル勝利でグーグル陣営に打撃 マイクロソフトには追い風か
ロイター 2012年 08月 27日 13:24 JST
[香港/シアトル 26日 ロイター] 米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)と韓国のサムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)の米カリフォルニア州連邦地裁でのスマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)などの特許侵害をめぐる訴訟は24日、陪審団がアップルの一部特許が侵害されたと判断し、10億ドル超の損害を認定。アップルの全面勝利となった。
これにより、米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)のモバイル用基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用するスマホやタブレット端末を開発したアジアのメーカーなどが戦略の見直しを迫られる一方、モバイル市場への本格参入を狙う米マイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)には追い風が吹く可能性がある。
<ウィンドウズ搭載端末、今後数年でシェア拡大の公算>
マイクロソフトは先月、タッチ操作やクラウドコンピューティングに本格対応した次世代OS「ウィンドウズ8」を採用した、独自開発のタブレット端末「サーフェス」を発表。
ウィンドウズ8がグーグルのアンドロイドやアップルの「iOS」を脅かすライバルとなるかはまだ未知数だが、業界幹部らは今回の米陪審団の評決を受けて、各メーカーのウィンドウズ8への関心が結果的に高まるとみている。
アップルが今後、グーグル陣営の他のメーカーに対しても特許問題で攻勢をかける可能性があるからだ。
サムスンはグーグルのアンドロイド陣営の筆頭格であり、アップルとの特許紛争は、アップル対グーグルの「代理戦争」の色合いが強いとみられていた。
中国のある大手携帯端末メーカー幹部は、匿名を条件に「われわれを含めたアンドロイド陣営のメーカーは、アップルからの訴訟に対する準備を進めている。アップル対サムスンの特許訴訟は、将来のデバイス開発のあり方についての指針となった。わが社が生産する製品の大部分はアンドロイド搭載端末だが、流れとしては、製品群をウィンドウズ採用へと分散させる方向だ」と述べた。
さらに、スマホ市場におけるウィンドウズ搭載端末のシェアは現時点では10%に満たないが、今後数年で市場全体の3分の1程度まで拡大するだろうとの見方を示した。
<訴訟リスクの低さが魅力、課題は消費者へのアピール力>
韓国のLG電子(066570.KS: 株価, 企業情報, レポート)など一部のメーカーでは、スマホのラインアップがアンドロイド端末一辺倒となっており、直面するアップルからの訴訟リスクがとりわけ大きい。
また、台湾の宏達国際電子(HTC)(2498.TW: 株価, 企業情報, レポート)は既にアップルとの特許訴訟を抱えているが、しっかりした独自の特許ポートフォリオを持たないことから、アップルによる一段の法的措置に対して脆弱だ。
一方、マイクロソフトがモバイルユーザーの高い支持を集める製品を生み出せるかどうかを疑問視する向きもいる。
シリコンバレーを拠点とする知的財産と投資銀行業務の専門家で、インフレクション・ポイント・ストラテジーの共同創業者のロン・ローリー氏は「今回の特許訴訟では、非アンドロイドのオプションとして、マイクロソフトが受益者となった」としつつも、「しかし(訴訟リスクの側面での)安全性だけでは十分でない。消費者へのアピールが必要だ」と指摘した。
現在の市場を見る限り、消費者はアップル製品に似た外観のモバイル端末を望んでいるようだとしている。
アナリストによると、各メーカーが、ウィンドウズ以外のモバイルOSに目を向ける可能性も大いにある。
例えば、サムスンは既に、独自のモバイルOS「バダ」を採用した携帯電話を手がけている。
また、中国メーカーも百度公司(BIDU.O: 株価, 企業情報, レポート)やアリババが独自開発したモバイルOSというオプションを有している。ただ、オーバム(北京)のアナリスト、ジェーン・ワン氏は、これらのOSはまだアプリケーションやサービスの収益構造が限定的で、大々的に採用される可能性は低いとみている。
コンサルタント会社フロスト・アンド・サリバン(シンガポール)のバイスプレジデント、アンドリュー・ミルロイ氏は「各メーカーにとってはリスクマネジメントのゲームだ」と述べ、メーカーの間で今後、リスクを分散して損失を最小限に抑える動きが活発化するとの見方を示した。
●アップル株が上昇-韓国サムスンが特許侵害との米陪審評決で
ブルームバーグ
8月27日(ブルームバーグ):27日の米株式市場でアップルの株価は前週末比1.9%高となり、終値ベースで過去最高値を更新した。米連邦地裁陪審は24日、韓国サムスン電子がアップルの特許6件を侵害したと認定した。
アップルの株価は675.68ドルで終了。同社株は今年に入って67%上昇している。
カリフォルニア州サンノゼの連邦陪審はサムスンの特許侵害でアップルが被った損害額を10億5000万ドル(約830億円)超と認定する評決を下した。今回の訴訟は、スマホ市場での両社による主導権争いが、米国の連邦陪審に持ち込まれた初のケース。
●アップルの勝利でパワーバランスに変化も
ビジネスカンパニー 2012年 8月 27日
サムスンのスマホ(右)とアイフォーン4
陪審員や法律の専門家らへの取材を通して明らかになったことは、24日の陪審団の評決はサムスンにアップルへ10億5000万ドル(約827億円)の賠償金を支払うよう求める以上の意味をもたらしたということだ。
9人の陪審団による評決は、企業が電子機器の基本的なデザイン要素を取り入れる際には、特にそれらが機器の見た目と感触に影響する場合は、これまで以上に注意深く取り組む必要があるとのサインを送ることになった。
評決後の27日、韓国の株式市場でサムスン株は6.8%下げて始まった。
アップルが次のスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone(アイフォーン)」を発表する数週間前のタイミングで出された評決は、アップルの市場での支配力とすでに戦っている通信業者との問題をさらに複雑化させる可能性がある。2007年以降、アップルはアイフォーン関連事業から1560億ドルを超える売り上げを計上し、現在は時価総額で世界最大の企業となった。
特許専門の弁護士らは、陪審団の評決がすでに殺到しているテクノロジー分野での特許申請をさらに加速させ、新たな訴訟の素地を作ることになった可能性があると指摘する。裁判所を舞台にした戦争はスマホやタブレット端末のメーカーにとってコスト高につながり、市場に投入される製品の減少、ひいては価格の上昇を招くことになる、と一部弁護士や市場ウォッチャーらは指摘する。
自社製品の形やスタイルを守るため、アップルの司法システムを利用した自己防衛法に倣う企業は増える可能性がある、と弁護士事務所ケイ・スカラーLLPで知的財産関連を担当する弁護士、アラン・フィッシュ氏は指摘する。
サムスンだけではなく、グーグルと、グーグルの基本システム(OS)「アンドロイド」を搭載するほかのスマホのメーカーは特許の衝突を避けるためにスマホの機能を手放すか、または変更することを、自ら選択するかもしくは強いられることになりそうだ。
開発者の一部からは、評決がアンドロイド用ソフトウエア制作のコストを押し上げる可能性があるとの声も聞かれる。「(アンドロイド)システム用に作ったものを変更しなければならないかもしれない」と話すのは、新規事業投資家で自身も起業家であり、個人金融関連アプリメーカーを率いるハワード・リンドゾン氏だ。
スマホの世界シェアの変遷
しかし一部弁護士も同じくらい声高に、エレクトロニクス関連の製造業者が一層多くのオリジナル製品を発案することが可能だと説く。アップルだけが革新的なデザインを思いつく会社であるわけではなく、裁判所での勝利が競合他社のイノベーションを一層鼓舞する可能性があるからだ。
市場調査会社のIDCによると、アンドロイドを搭載したスマホの出荷量で見た第2四半期の市場に占める割合は68%で、アイフォーンは17%だった。大企業の複数の幹部は、今回の評決がこの流れを変える可能性は低いとみている。
アップルは、グーグルを訴えないことに決めたが、理由は明らかにしていない。だが特許専門の弁護士らはハードウエアを消費者に販売するサムスンのような企業に金銭的打撃を与えるほうが容易だとしている。収益のほとんどをオンライン広告から得ているグーグルは、スマホやタブレット端末メーカーに対しソフトウエアの使用料を課してはいない。
グーグルの広報担当者は文書の中で、今回のケースで侵害があったとされたほとんど特許権は「アンドロイドの中核となるオペレーティング・システムに関係がない」としている。
同広報担当者はさらに「モバイル産業は展開が早く、新参者を含むすべてのプレーヤーは数十年来存在し続けているアイデアを形にしている」と述べている。
すでに多額の販売奨励金をアップルに支払っている携帯電話事業者は今回の裁判により携帯機器の販売差し止めや、特許に関連するイノベーションの使用禁止などがあった場合のことを懸念していた。
・・・(略)・・・
●アップルvsサムスン、31日に東京地裁で判決
(2012年8月26日12時55分 読売新聞)
アップルとサムスン電子の特許訴訟の行方は日本の携帯電話各社にとっても対岸の火事ではない。
NTTドコモ広報部では「ただちに影響があるとは考えられないが、情報収集に努めていく」と話している。
31日には東京地裁で、米アップルがサムスン日本法人に対し、スマートフォンの特許侵害を訴えている訴訟の判決が言い渡される予定で、各社とも注目している。
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