堺市の特定図書排除の住民監査請求、その監査結果は、12月28日付け配達証明郵便で昨夜届いた。
25ページ。その核心部は5ページほど。
それら結果を紹介し整理する。
「3 結 論
以上のとおり、請求人が住民監査請求の対象とした事実は存在しなくなったと判断される以上、本件の住民監査請求は主張の前提を欠くこととなり、請求人の主張を検討するまでもなく理由がないものと判断される。」
平たく言えば、住民監査請求のときには市民が心配した状況は存在した、
でも、それら懸念される事態は、その後、なくなったので請求は「棄却」する、ということ。
裏返せば、住民監査請求しなければ、「特定図書の排除、廃棄」という懸念された事態がんどん進行していったという可能性が極めて高い。
なぜなら館長会議などで「BL図書に該当すると思われるものについて、閉架(書庫入れ)し、今後は収集しない、18歳未満の者には貸出ししない」と正式に意思決定したから。
しかも、司書らの主観による極めて曖昧な「BL図書に該当すると思われるもの」とした5千数百冊、これらをその扱いにしていくことも固まっていたと思われる。
図書館は「点検するために書庫にいれただけ」ということを口実にして、「館長会議において、これまで書庫内の一定の書棚にまとめていた図書は、一般図書として取り扱うことを確認」ということ収まった。
ともかく、見事に、予想どおりに的確に決まった住民監査請求だった。
この予想通りの「棄却」。当初の期待通りの内容。
つまり、「(監査の)結果は負け」だけど「(全体の)結論では勝った」。
監査委員のまとめは
「特定分野の図書であることを理由とした除籍及び廃棄は、行われていないし、監査請求の対象とされている図書が廃棄されていないことは監査委員においてもこの事実を確認している。」
「本件図書は9月3日以降、18歳末満の者への閲覧及び貸し出しが制限されていたが、11月14日にはこれらの制限が解除された。」
「以上のことから、請求人が住民監査請求の対象とした事実は、存在しなくなったものと認められる。」。
監査委員がまとめた経過(監査結果の24ページにある)の要点を抜き出せば次だ。
1.2. 平成20年7月24日北図書館書、25日南図書館に対し、市民から電話でBL図書の所蔵等についての問題提起があった。
3. 7月25日第2回図書館事業調整会議で、昨日からの経過報告とともに、BL図書の取り扱いについて各図書館の状況と見解を聴取し、今後の取り扱い方 針等を検討。
4. 7月30日 本市HP「市民の声」Q&Aに、BL図書を公費で購入した趣旨、日的、購入冊数、購入費用に関する市民からの質問。
5. 7月31日 中央図書館から各図書館に、BL図書を特定し、開架されているものを書庫等に集めることを指示。
(BL図書かどうかの判断基準は明確ではなかったが、書店などで分類されている著者、シリーズ名、出版社などを参考に、BL図書に該当すると思われるものを各図書館の複数の司書が判断することとした)
6. 8月8日 館長会議で、BL図書に該当すると思われるものについて、
すべて閉架(書庫入れ)とすること、
今後は収集しないこと、
18歳未満の者には貸出ししないこと、 を決定。
7. 8月13日 中央図書館は各図書館に、BL図書に該当すると思われるものについて、表紙及び本文のイラスト・文章表現で性描写の表現が激しいものがないかどうかの内容確認を指示した。
8. 8月20日 第3回図書館事業調整会議において、8月8日の館長会議で決定された事項について確認し、書庫入れの作業手順等を検討した。
9. 8月22日 中央図書館総務課は7月30日受付「市民の声」Q&Aに回答、9月2日本市HPに掲載。
10. 8月29日 館長会議において、BL図書に該当すると思われるものについて、18歳末満の者へ閲覧・貸出しをしないことや書庫内の一定の書棚にまとめて保管すること等を内容とする「BL資料の取扱いについて」を決定。
11. 9月3日 8月29日の館長会議の決定内容の文書を中央図書館総務課長から各図書館長あてに通知。
12. 11月4日 本件住民監査請求が提出された。
13. 11月14日 館長会議において、9月3日付けの「BL資料の取扱いについて」を変更し,18歳末満の者への閲覧・貸出しは制限しないことを決定。同日、中央図書館総務課長から各図書館長あてに、変更を11月14日から実施することを通知。
14. 11月28日 館長会議において、これまで書庫内の一定の書棚にまとめていた図書は、一般図書として取り扱うことを確認。 |
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監査結果の 冒頭のページ と 25ページ の 写真
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●今回の監査結果は、19ページまでが住民監査請求書の転記。
だから 住民監査請求書 は ← このリンクにあるので省く
それに続くデータは以下のとおり
◎ 監査結果 ワード版 80KB
◎ 監査結果 印刷用 PDF版 170KB
(この問題に関連する情報は以下でリンク)
2008.11.05ブログ⇒ ◆堺市図書排除問題で住民監査請求/上野千鶴子「日本中、どこで同じようなことがあっても、闘うだろう」
2008.11.18ブログ⇒ ◆堺の図書排除、その後のこと/大阪市立図書館は排除要求を拒絶したらしい/住民監査請求陳述/市の回答
2008.12.29ブログ ⇒ ◆堺市の図書排除リストを公開/出版社別、著者別、文庫別各社データも/排除候補に指定された割合も
●図書館「ボーイズラブ」に揺れる 堺市、市民の不信感募る 2008/12/23 18:08 【共同通信】
「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男性同士の恋愛をテーマにした小説に、堺市の図書館が揺れている。市民の声を受けて貸し出しを制限したところ、反対に「特定の本を排除するのは問題」と非難が集中し、制限を撤回。「また突然、対応を変えるかも」と市民の不信感は募っている。
一般的にBL小説は、1冊に数ページのイラストがある。堺市立の7つの図書館が所蔵する計約5500冊のうち、100冊程度には男性同士が裸で絡み合うような過激な描写があった。 盗難も多いため、申請があれば貸し出す閉架書庫に置いていた。
しかし、ひっきりなしに貸し出されるため、4つの図書館では誰でも閲覧できる棚に配置。7月、「子どもが見るのにふさわしくない」との声が利用者から出た。
図書館側は、閉架書庫に戻した上で、18歳未満への貸し出し禁止を決定。これに、住民グループが「特定の本を排除したり廃棄したりするのは、図書館ではあってはならない。政治的圧力もある」と反発。有識者も賛同し、11月に廃棄差し止めの住民監査請求が申し立てられると、図書館側は一転、18歳未満への貸し出しも認めた。
堺市は「拙速で、判断を誤った」としている。
●公立図書館のBL本(1)過激な性描写に驚き、抗議 3年越しで動いた堺市 世界日報 20.12.19 から 大阪・堺市に住む梅村秀樹さんは、地元の図書館を愛用して十数年になる。学校の講師をする関係で、よく図書館を利用するという。歴史小説などを読むのも趣味の一つだ。
今から三年前のこと。小説のコーナーで梅村さんが何気なく本を手にして驚いた。
表紙に、裸の男性同士がキスをしているイラストが目に飛び込んできた。裏表紙や中のイラストを見て目を剥いた。男性の下半身に顔をうずめる構図など、もっと過激な男性同士の性行為のものがあったからだ。
それが、少女向けに男性同性愛を描いたBL本だった。BLとは、「ボーイズラブ」の略語だ。書棚を注意深く見ていくと、BL本が数十冊、いやもっと多くの数が、書棚を占めているではないか。
――何で、子供からお年寄りまでが利用する公立の図書館に、こんな本をわざわざ購入して並べる必要があるのか!?
市のホームページを通じて、梅村さんは図書館に改善を申し入れた。だが、彼の要望は黙殺され、図書館は動かなかった。
三年前のこの出来事を、梅村さんが強く後悔したのは今年の夏だった。親戚(しんせき)の娘を伴い、近くの図書館を訪れた時のこと。偶然にも、その娘がBL本を手に取り、中を開いて驚き、梅村さんに「この本はなあに?」と聞いてきたからだ。彼の顔がこわばった。
BL本をこのまま放置しておくわけにはいかない。そう考えた梅村さんは根気強く図書館側に、改善を申し入れた。「おたくの図書館ではこんなポルノ小説を子供に貸し出して何とも思わないのか! わが子に『勉強しに行っておいで』と言って、子供がこんな本を図書館で読んでいたら、あんたが親ならどう思うんですか?」
三年前と同様、黙殺されてはたまらない、と考えた彼は、地元の市会議員に実情を話した。
梅村さんの抗議と、市会議員が図書館サイドに問い合わせをしたタイミングが合って、七月末に堺市のホームページで梅村さんの意見が載った。
「このような破廉恥な表紙の本を一般図書と同じ書棚に並べて大量開架するとは、セクハラ以外のなにものでもなく、子どもに対する影響を心配する親のことをまったく考えていないという他ありません。
また、限られた予算の中において、図書館としては他に買い揃えるべき有益な本が他にもたくさんあります。『表現の自由』ということもありますが、だからといって文化・教養の場である図書館にこのような本を置くこと、子どもに悪影響をを与えかねない本を市民の血税により大量購入し、公共の場である図書館に開架することを正当化できるのでしょうか」
◇ ◇
堺市図書館で起きたBL本騒動。果たして、教育機関である公共の図書館にBL本は適切かどうか、を追跡した。(鴨野 守)
>>この続きは連載をご覧ください
1. 過激な性描写に驚き、抗議 3年越しで動いた堺市 08.12.19無料公開中
2. 「青少年に見せず」と堺市図書館 「今後、収集・保存せず」 08.12.20
3. 図書館「要望に応えた結果」 市議「ポルノと同類、処分を」 08.12.22
4. 「特定図書排除は検閲」 外の議員を動員し抗議 08.12.22
5. 「書庫保管で一定の配慮」と堺市 青少年への貸出を再開 08.12.23
・・・・・・・・・・・・
(まだまだ続いているらしい)
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環境省は12月25日、昨年度中の不法投棄は「過去最少」だったと発表。
しかし、同じ日のある新聞には「ゴミにお金かけたくない?」と不法投棄の増加の特集。そのあたり、どう捉えるか。
「“不心得者”が後を絶たない」のは全国、官民や個人団体問わず同じ。
仙台地検刑事部長は「プラスチックの容器や段ボールなど計約1キロを自宅の敷地内で野焼きしたケースでも罰金10万円が科されている。廃棄物処理法違反で立件されて起訴猶予処分になることは極めて少なく、ほぼすべての案件で略式命令や懲役刑を受けることになる」。
にもかかわらず、不起訴好きの津地検は、処分場を運営し、廃棄物処理法違反(措置命令違反)容疑で書類送検されていた「シーマコーポレーション」と元同社社長の男性(44)を不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
もう一つは、石原産業の不法投棄事件で注意が注がれる中、他県の他社に関して
「本年8月、他県所在の特定の酸化チタン製造事業場において、廃材の保管場所の一部が電離放射線障害防止規則に規定されている管理区域に該当するにもかかわらず、必要な措置を講じていなかった事案が認められた」として国の指導を受けた事件。
石原産業の反面教師効果か??
国が前向きになった??
一つずつ、じっくりと見比べる必要があるのは当然。
情報に接する人の側が問われる。
そんな情報を並べてみる。
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●放射性物質:堺化学、管理区域明示せず いわき労基署が是正勧告 /福島
毎日新聞 2008年12月12日
いわき労働基準監督署は11日、いわき市泉町下川の化学薬品メーカー「堺化学工業」(本社・堺市)小名浜事業所が、製造工程で基準を超える放射性物質を出しながら、「管理区域」を設けていなかったなどとして、労働安全衛生法などに基づき是正を勧告した。福島労働局は「周辺への影響はない」という。
福島労働局や同事業所によると、指導を受けたのは(1)放射性物質が付着した「ろ布」(ろ過に使用した布)を入れたドラム缶の保管場所(2)鉱石から酸化チタンを製造する「ろ過工程」の2カ所。3カ月間の放射線量の最大値が(1)で4・25ミリシーベルト、(2)で3・96ミリシーベルトだった。基準の約3倍で管理区域の明示が必要だったが、事業所は区域を設定していなかった。
福島労働局は、管理区域の明示や従業員の健康診断などを同事業所に指導し、来年1月16日までに是正報告書の提出を求めた。
同事業所は「放射線量は毎月測定していたが、従業員が浴びる量は基準を下回っていると判断していた」という。廃棄ろ布は既に、工場内に隔離保管施設を設け、立ち入り禁止にしたという。会見した佐渡恵所長は「勧告を重く受け止め、改善措置等をとるべく、真摯(しんし)に対応していく」と話した。
今年8月、大手化学メーカー「石原産業」四日市工場(三重県四日市市)の酸化チタンの製造工程で、管理区域に必要な措置を講じていなかったことが判明し、全国の同種の工場で調査が行われていた。【松本惇、田中英雄】
==============
■ことば
◇管理区域
外部放射線と空気中の放射性物質による実効線量が3カ月間で1・3ミリシーベルトを超える恐れのある区域。電離放射線障害防止規則(旧労働省令)に基づく。事業者には、標識で明示することや月1回の放射線量の測定、常時立ち入る労働者への定期健診などが義務づけられる。
●放射性物質の管理不備で堺化学工業に改善指導
2008年12月12日 福島民友ニュース
福島労働局は11日、いわき市泉町の堺化学工業小名浜事業所に対し、酸化チタンの製造工程で使用し放射性物質が付着したろ過用布を放射線管理区域内で適切に管理していなかったなどとして、労働安全衛生法に基づき改善を指導した。同局は健康被害の報告はないとしている。
同局によると、同事業所は管理区域を設けず、ろ過用布を12本のドラム缶に入れ、屋外にビニールシートをかぶせた状態で3年以上保管していた。ドラム缶からは、同衛生法で管理区域で管理しなければならない放射線量の数値が出ていたが、線量の測定や放射性物質としての表示なども行っていなかった。
同局は線量について、人体に影響を及ぼさない微量であることを確認したが、外部と遮断した施設での厳重管理や線量の測定などの改善措置を来年1月16日まで実施、報告するよう指示した。
また、従業員や従事していた退職者を対象に健康診断を行うことを求めた。
●堺化学工業株式会社小名浜事業所内の放射性物質が付着した廃棄ろ布等に係る指導について
福島労働局発表 平成20年12月11日
担当 福島労働局労働基準部 安全衛生課
本年8 月、他県所在の特定の酸化チタン製造事業場において、廃材(「ろ過」工程において使用した「ろ布」等)の保管場所の一部が電離放射線障害防止規則( 昭和4 7 年労働省令第4 1 号)( 以下「電離則」という。)に規定されている管理区域に該当するにもかかわらず、必要な措置を講じていなかった事案が認められたところである。
このため、福島労働局管内で酸化チタンを製造している堺化学工業株式会社小名浜事業所( 福島県いわき市泉町下川字田宿1 1 0 )に対し調査を行い、電離則に規定する管理区域に該当する可能性のある場所( 「ろ過」工程及び廃棄のため保管している「ろ布」( 以下、「廃棄ろ布」という。) を入れてあるドラム缶の周辺区域) について、放射性物質に該当する物質の有無等の測定、分析を行い、その結果を報告するよう指導してきたところである。
その結果、平成2 0 年1 2 月5 日、「廃棄ろ布」に付着する物質が、電離則の適用を受ける「放射性物質」に該当することが、堺化学工業株式会社小名浜事業所が行った調査で明らかになったことから、当該事業者に対し、同年1 2 月1 1 日、電離則に基づき、下記1 の事項について改善を指導した。
記
1 指導事項
(1) 管理区域の明示等(労働安全衛生法第22条第2号 電離則第3条第1項、)
3月間につき実効線量が、放射性物質が付着した廃棄ろ布の保管場所において最大4.25ミリシーベルト、ろ過工程において最大3.96ミリシーベルトであり、管理区域(3月間につき1.3ミリシーベルト超)に該当する値があったにもかかわらず、管理区域として標識によって明示していないこと。
また、管理区域内の見やすい場所に放射線による労働者の健康障害の防止に必要な事項を掲示していないこと。
(2) 線量の測定(労働安全衛生法第22条第2号 電離則第8条第1項)管理区域に立ち入る労働者の管理区域内において受ける外部被ばくによる線量を測定していないこと。
(3) 保管廃棄施設(労働安全衛生法第22条第2号 電離則第36条第1項)放射性物質が付着した「廃棄ろ布」を、外部と区画された構造であり、かつ、とびら、ふた等外部に通ずる部分に、かぎその他の閉鎖のための設備又は器具を設けた保管廃棄施設において保管していないこと。
(4) 容器(労働安全衛生法第22条第2号 電離則第37条第3項、第4項)「廃棄ろ布」を保管しているドラム缶に、放射性物質である旨の表示等を行っていないこと。
(5) 線量当量等の測定(労働安全衛生法第65条第1項 電離則第54条第1
項)
管理区域について、1月以内ごとに1回、定期に、外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定していなかったこと。
2 その他
福島労働局としては、今後、上記1 の各事項について、堺化学工業株式会社に対して改善を図らせることとしている。
また、当該事業所において、放射線にばく露する業務に従事している労働者( 退職者を含む。) を対象に、健康診断を実施するよう指導した。
なお、「ろ過工程」については、現時点で電離則適用を受ける放射性物質があるとの結果が出ていないため、更に調査を継続することにしている。
(以下、略。リンク先をどうぞ)
資料1.
資料2 「(参考)
○ 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
○ 電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)」 |
●労働基準監督署からの是正勧告について
平成20年12月11日 各 位 堺化学工業株式会社
本日、当社は、いわき労働基準監督署より、当社小名浜事業所の酸化チタン工場内で過去に使用していました放射性物質が付着した廃棄ろ布(以下「ろ布」といいます。)等について、下記の通り労働安全衛生法に係る是正勧告書等を受領致しました。
本件につきまして、ご関係の皆様にご迷惑、ご心配をお掛け致しましたことをお詫び申し上げますとともに、本勧告等を重く受け止め、改善措置等をとるべく真摯に対応してまいります。
なお、廃棄物の搬出等につきましては、日本酸化チタン工業会が定めた自主管理基準値に基づき、これまでも適正に管理しております。また、「ろ布」につきましても、すでに構内にて隔離貯蔵措置を施しておりますので、地域の皆様におかれましては、ご安心いただきますよう、お願い申し上げます。
記
(以下、略。リンク先をどうぞ)
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●産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成19年度)について(お知らせ)
⇒ 環境省 発表 平成20年12月25日
⇒ [添付資料] 不法投棄等の状況 データ PDF 2,276KB
●不法投棄量が過去最少、07年度 産業廃棄物 2008/12/25 19:23 【共同通信】
環境省は25日、2007年度に新たに見つかった産業廃棄物の不法投棄は382件、10万2000トンだったと発表した。件数は前年度から172件減少。量は2万9000トン減り、記録の残る1993年度以降で最も少なかった。
環境省は「自治体によるパトロールの成果が出てきているのが要因ではないか」としている。
調査は、1件当たりの投棄量が10トン以上の産廃を対象に、都道府県などからの報告をまとめた。
廃棄物の種類別では、がれき類や木くずなど建設系廃棄物が290件、8万343トン。廃プラスチックや繊維くずなど建設以外の廃棄物が92件、2万1375トンだった。
都道府県別では、山形の2万8000トンが最も多く、次いで茨城の1万5000トン、千葉の1万4000トンなど。秋田や沖縄など10都府県では、10トン以上の不法投棄は確認されなかった。
●【特報 追う・2008年回顧】ゴミにお金かけたくない? 宮城 産経 008.12.25 02:38
ゴミの処理になんてお金をかけたくない-。そんな心理が働いてか、指定外の形式や場所でゴミを捨てる“不心得者”が後を絶たない。仙台市内では10月に始まったゴミ袋の有料化を受け、行政や県警が不法投棄の取り締まりを強化しているが、その“包囲網”をかいくぐるように、河川敷など人目に付きにくい場所に投棄されるゴミの量は増加傾向にある。「モラル低下は顕著だ」と憤る関係者。新年もゴミをめぐる問題は尾を引きそうだ。
(中村翔樹)
「片づいたと思ったらすぐにまた置いていく。先が見えない…」。そうため息をつくのは、仙台河川国道事務所からの業務委託を受けて、河川敷の巡視活動を行っている佐々木照男さん(60)。名取川や広瀬川などの堤防付近を、週3回車で巡視し、発見したゴミを回収している。エアコンや洗濯機、テレビに冷蔵庫、車にタイヤ-。巡視は広範囲に及ぶため1回では周り切れず、前回回収した場所に戻るのは約3週間後になる。加えて、名取川右岸の河川敷には約 500メートルに渡ってゴミの山が広がる通称“ゴミ街道”と呼ばれる一帯もあり「完全に撤去するのは不可能に近い」(同事務所)という。
10月から仙台市内で開始されたゴミ袋有料化以降は、これまで見られなかった家庭ゴミの不法投棄も徐々に増えてきた。同事務所名取川出張所の斉藤ゆみ子事務係長は「年末は大掃除などでゴミを出す機会が増える。今年度がここ数年で最多の回収量になるのはほぼ確実だ」と肩を落とす。
■ ■
そうしたなか、県警は不法投棄取り締まりを強化している。不法投棄が目立つ東部道路周辺を管轄する仙台南署では、廃棄物処理法違反による検挙件数が昨年の9件10人から、21件31人(8月末現在)に増加した。
ただ、検挙に至るまでには大きな難関が立ちはだかっている。ゴミの“所有者”の特定だ。最近は、配送伝票やクリーニングのタグといった個人名の分かるようなものは、不法投棄されたゴミ袋の中から取り除かれているケースがほとんどで、“犯人”特定は困難な場合が多いという。
同署では昨年8月、若林区荒井の東部道路周辺などに約 150袋におよぶ大量の生活ゴミを捨てたとして、廃棄物処理法違反の疑いで岩手県北上市の男=当時(40)=を逮捕したが、その決め手になったのは、ゴミ袋の中にあった紙に付着した体液のDNA鑑定だった。同署生活安全課の佐々木裕之課長は「安易な気持ちで捨てたのだろうが、捨て得は許されない。今後もさまざまな方法を駆使して検挙につなげたい」と力を込める。
■ ■
平成13年の家電リサイクル法の施行で、エアコンなどの「家電4品目」について処理料金がかかるようになったことを契機に増加傾向に拍車がかかったとされる不法投棄。しかし、安易に投棄して立件されれば、その後に厳しい罰則が待っていることも忘れてはならない。
平成19年度に仙台地検が廃棄物処理法違反で起訴した事例のうち、最高で罰金 300万円、最低でも10万円の略式命令が下されている。同地検の千葉雄一郎刑事部長は「プラスチックの容器や段ボールなど計約1キロを自宅の敷地内で野焼きしたケースでも罰金10万円が科されている。廃棄物処理法違反で立件されて起訴猶予処分になることは極めて少なく、ほぼすべての案件で略式命令や懲役刑を受けることになる」と話す。
仙台市廃棄物指導課は、増加傾向が著しい河川敷周辺の不法投棄について、河川事務所の職員らとの合同パトロールを計画するなど、巡視をこれまで以上に強化する方針だ。斉藤事務係長は河川事務所の前に積み上がったゴミの山を見つめながら言った。「ゴミの処分には結局は自分たちの税金が使われる。その場しのぎの考え方では、巡り巡ってしっぺ返しがくることを理解してほしい」
■東北各県の不法投棄対策 山形県では今年度から県内のコンビニやスーパーと不法投棄防止に関する協定を締結。県が指定する5月、10月の不法投棄パトロール強化月間にあわせて、計約 200店舗で啓発ポスターを掲示したり、利用客にチラシを配るなどの広報活動を行った。
福島県は産業廃棄物処理業者の不法投棄が広域化していることを受け、平成13年から関東・甲信越地方などの県や政令指定都市などで組織される広域連絡協議会「産廃スクラム21」に参加。平成15年には郡山市といわき市も加わり、毎年10月に県内の国道などで廃棄物運搬車両の一斉路上検問を実施し、積載物の種類のチェックや廃棄物処理許可証の有無確認などを行っている。
●四日市の産廃不法投棄:処理業者の社長を不起訴 /三重 毎日新聞 2008年12月26日
四日市市内山町の産業廃棄物最終処分場などに投棄された産廃から高濃度の硫化水素ガスが検出された事件で、津地検は25日、処分場を運営し、廃棄物処理法違反(措置命令違反)容疑で書類送検されていた「シーマコーポレーション」(四日市市)と元同社社長の男性(44)を不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
津地検などによると、同社などには、06年3月に県が発生する硫化水素ガスの排除を求める措置命令を出したにもかかわらず、工事完了期限(07年6月13日)までに工事をしなかった疑いが持たれていた。しかし「当時の基準では、必ずしも違法な投棄だったとは言い切れないことが分かった」といい、措置命令違反の罪には問えないと判断したという。【岡大介】〔三重版〕
●じゃぁ 昨夜、google から配信されてきた 次の掲示板・データはどうみる?!
2チャンネル
★三重県フェロシルトで大物政治家逮捕間近
657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 00:00:06 ID:???
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岐阜県知事選挙は新年の1月8日告示25日投票。
そこに「立命館誘致」を市議会で拒否されて辞職の作戦をとった岐阜市長の「任期1年」の選挙がセットされてきた。
ともかく、4年前の夏、当時の梶原知事の声がかりで次の1月の知事選への立候補を表明した古田氏。
強調したのは「梶原後継ではない」「政策は当選してから県政を見直し(て選ぶ)」という風がわりともとれる姿勢。
私は「候補者としていかにも無責任だ」と、訊かれた時はコメントした。
この4年、梶原前知事の後始末として、辞めた梶原氏も相手に含めていくつもの裁判を起こした。
1期目の古田知事に対しては様子を見てきた。
その見切りが先の11月に行った「岐阜県知事等の期末手当の上乗せに関する住民監査請求」。
ボーナスの基本に対してさらに「20%」上乗せしている問題。
住民監査請求したけど、12月県議会に条例改正もせず現状でいく知事。
だから、提訴することにした。
奇しくも、住民訴訟の提訴期限日が1月1日。
記者会見には向かない。
年末ギリギリでは新聞の紙面も小さい。
もちろん、新年早々でも紙面のスペースがない状況あまり変わらないけど・・・
ま、新年の5日なら多少はましだろうし、知事選告示は8日だし・・・
とはいえ、こちらは8日9日と東京の国立市や千代田区の視察、そのまま10日11日は茨城で講師をすることになっているからやや小ぜわしいけど・・・
とはいえ、念のため、提訴の期限日の確認。
こういう場合は、提訴期限日は役所の開く1月5日でしょ、と岐阜地裁に訊く。
「どうなるの?」と訊ねたら
(岐阜地裁)「住民訴訟は個別の内容により判断するしかないから、返事はできない」
(こちら)「住民訴訟の個別の内容で判断することじゃないでしょ」
「名古屋高裁か最高裁に、岐阜地裁がこういってるけど、って訊くしかないけど」
(岐阜地裁)「名古屋高裁にきいても、最高裁にきいても答えは同じだ」
「その日に出したほうがいい」
・・・・東京地裁に確認したら 「住民訴訟は、1月5日」。
ということで、弁護士会館を予約して、記者クラブ幹事さんと調整してから、報道の皆さんに昨日の夕方 FAXを流した。
ところで、岐阜県知事選、1月6日に公開討論会を開くそうだ。
司会は、2002年5月の 自治ネット「無党派・市民派 自治体議員と市民のネットワーク」 の発足の際の講演をお願いしたら快諾して来てくださった三重大学の児玉さん。
そのあたりの関連情報をまとめて掲載。
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岐阜県知事等の期末手当の上乗せに関する
住民訴訟の提訴のご案内
岐阜・各報道機関/司法クラブ担当の皆様
2008年12月25日
くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク
寺町知正
Tel/fax 0581-22-4989
携帯 090-
いつもお世話になります。
標記の件につき、次のように、提訴し、説明させていただきます。
2009年1月5日(月) 午後1時半~ 裁判所に訴状提出
午後2時~ 会見 (県弁護士会館 3階ホール)
2008年11月14日に岐阜県監査委員に標記内容につき住民監査請求しました。しかし、監査委員は内容審査することなく、12月1日に却下しました。住民監査請求の審査期間が60日(以内)と定められているにもかかわらず、たった半月での却下とは驚きました。
県議会議員選挙公営・燃料費に関しての今年の7月の住民監査請求も却下した岐阜県監査委員たち。
古田知事の指名で会計検査院から2人を招請して通常4人の監査委員のところ岐阜県は全国最多の6人で監査しています。今年の10月以来の会計検査院指摘の全国の自治体の不正金も見抜けなかったことや住民監査請求を却下し続けるなど、構造的な深い問題を感じます。
【本件住民訴訟の要点】
1. 岐阜県知事及び副知事の期末手当は、「給与の月額」を基準額とするのでなく、「給与の月額に20%を上乗せした額」を「基準額」として、1年間で「4.45ヶ月」分が支給されています。
この加算は、1990年平成2年度の人事院勧告に準じて措置されています。
2. 同勧告は「職務段階等を基本とした加算措置」としてなされたものですから、知事らの加算は、地方自治法第204条第2項が定める「諸手当」のうちの「管理職手当」に該当します。しかし、知事らが管理職手当ての対象ではないのは明白ですから、本件条例は地方自治法第204条、第204条の2に反した違法な条例です。
3. ところで、岐阜県は、来年度の予算編成方針において、財源不足を理由として政策経費につき20%削減、つまり県民のための予算を20%減らすということです。
他方、職員の大量退職のために起債(将来の県民に負担させること)するとのこと。
いまの県政が県民の実感や願いとかけ離れていることに強く落胆します。
そもそもボーナスさえない県民もいる現実、日増しに強まる県民の生活不安の中、知事らのボーナスを「基本」より20%上乗せする制度は社会通念としても許されません。
4. 本件住民監査請求は「2007年12月及び2008年6月に支給されたボーナスの20%上乗せ分『307万9400円を県に返還』」し、かつ、「将来の上乗せ支出を行わないこと(差し止め)」を求めたものです。それにもかかわらず、このように住民が異議申し立てしている12月1日起算日としての新たなボーナスを知事らは受け取りました。
よって、住民監査請求中の12月1日起算で支給された6か月分のボーナスのうちの加算分「160万8900円」の返還も「返還請求額」に追加します。
今後、訴訟継続中も6月、12月と順次加算して「支給された」部分は、そのつどつど訴訟の中で「差し止め部分」から「返還請求部分」に転換していきます。つまり、訴訟継続中は、毎回の加算分=「6月147万0500円」、「12月160万8900円」、1年間で約300万円ずつが返還分として増加し続けていくことになります。
なお、住民訴訟の訴状については、1月4日中に、記者クラブ幹事(朝日新聞)さんあて、メールの添付ファイルで訴状(提出前なので案)をお送りします。(5日当日ご持参ください)
また、本案内および当日の提訴の事実や内容の報道については
「解禁 1月5日 記者会見後」とさせていただくこと、ご了解ください。
(関連資料の所在)
● インターネットの「てらまち・ねっと」として検索して出てくるブログの
「2008年12月15日」のエントリー では、
「「岐阜県知事等の期末手当の上乗せに関する住民監査請求」の審査結果について」
として、「本件の監査結果」などについてリンクしています。
● 同ブログの「2008年11月15日」 のブログ
「◆住民監査請求/県知事のボーナスの上乗せの廃止/全国都道府県職員の退職金」 では
住民監査請求の書類や提出した書証などのデータにもリンクしています。
※ 12月1日の監査結果の提訴について「30日以内」にあたる期限は1月1日ですが、役所の公休の関係で「1月5日が期限日」となります。
以上、ご案内まで
(C)リンカーン・フォーラム 近日中に開催予定の討論会
岐阜県知事選
開催日時 09/01/06(火) 18:30-20:45
会場 じゅうろくプラザ
主催団体 (社)日本青年会議所岐阜ブロック協議会
代表 池戸 祐芳
問い合わせ先 0577-36-9077 info@09gifu.com
参加費
参加候補数/
呼びかけ数 2人/2人
開催形式 公開討論会
備考 ・後援:リンカーン・フォーラム
・コーディネーター:児玉克哉(リンカーン・フォーラム中部代表)
投票日 09/01/25(日) |
公職選挙法改正プロジェクト
公職選挙法改正プロジェクト
「リンカーン・フォーラム」と「構想日本」は、選挙期間前にしか開催できない公開討論会を
選挙期間でも自由に開催できるように、そして、そのテレビ放映も自由にできるように、
公職選挙法の改正を議員立法によって実現しようと活動しています。
1.公職選挙法改正プロジェクトの発足とその背景
2.目標・方針
3.実現へのステップとスケジュール
構想日本の公職選挙法改正活動に関するページ
構想日本「選挙の規制緩和」
構想日本「公選法改正キャンペーン」 |
●司会をする児玉さんのブログ 児玉克哉のブログ「希望開発」
2008年12月10日 岐阜県知事選、公開討論会
岐阜県知事選、公開討論会
岐阜県知事選を前にして、青年会議所岐阜ブロック協議会が公開討論会を開催します。岐阜県は、2006年7月に県職員や組合、県教委などが組織的に裏金を集めて、使っていたことが発覚しました。第三者による検討委員会は1992年度からの12年間で約17億円の裏金があったと報告しました。2005年に知事となった古田肇氏は、この対応に追われました。この裏金問題は梶原拓前知事時代の問題でありましたが、岐阜県の信頼が揺らぐ大きな問題となりました。今回の選挙は、そうした裏金問題への対応も含めて、古田県政をどう県民が評価するか、という選挙となります。また、不景気の波に岐阜県も大きな影響を受けています。産業政策なども、選挙の焦点の一つとなります。
これまで立候補の表明をしているのは、現職の古田肇氏と県労働者相談センター所長の木下一彦氏です。この二人をパネリストとして2009年1月6日(火)18:30~20:45に青年会議所岐阜ブロック協議会主催の公開討論会が開催される予定です。場所は、JR岐阜駅前のじゅうろくプラザ。岐阜県の今後を考える重要な機会となるのではないかと思います。ぜひ公開討論会を聞きに行ってみてください。
問合せ先:青年会議所岐阜ブロック協議会 0577-30-9077 |
●’09知事選:初の公開討論会 来月6日、岐阜・じゅうろくプラザで開催 /岐阜 毎日新聞 2008年12月10日
◇意見聞き、争点を明確に
日本青年会議所東海地区岐阜ブロック協議会(井上正会長)は来年1月6日午後6時半から、知事選(来年1月25日投開票)の立候補予定者による政策提言型公開討論会を、JR岐阜駅前のじゅうろくプラザで開く。同協議会が知事選で公開討論会を開くのは初めて。
同協議会は「これまでは候補者の選挙カーからの名前の連呼や街頭演説などが多く、複数の候補者の意見を同時に聞く場はなかった。討論会で争点を明確にし、有権者の投票行動に結びつけたい」としている。
立候補を表明している古田肇知事と、県労働者相談センター所長の木下一彦氏は出席を了承しているという。他に立候補予定者が現れた場合は、出席を要請する。
コーディネーターはリンカーン・フォーラム中部代表の児玉克哉・三重大人文学部教授が務める。討論会は入場無料、事前申し込み不要(定員600人)。問い合わせは同協議会高山事務局(0577・36・9077)。【稲垣衆史】
●出直し岐阜市長選、知事とダブル選に 来月25日投開票 中日 2008年12月16日
学校法人立命館(京都市)の中高一貫校誘致計画をめぐり、岐阜市の細江茂光市長(60)が辞職届を提出したことを受け、岐阜県選挙管理委員会は15日、出直し市長選の日程を来年1月18日告示、25日投開票と決めた。県知事選との同日選となった。
再来年2月が任期満了で、細江市長は2期目の途中。今月11日、市岐阜商廃止による立命館誘致の請願を市議会が不採択にしたため、市議会閉会直後に辞職届を市議長に提出。「誘致計画への民意を問う」と出直し市長選への出馬を表明した。今のところ、政党推薦はない。
この請願は退席などを除いた市議41人のうち、27人が反対した。多くの会派は「議決が民意のはず」として、出直し選に踏み切った細江市長の姿勢に批判を強め、対抗馬擁立の動きを進めている。
公職選挙法の規定で、出直し選で細江市長が当選しても、任期は再来年2月まで。細江市長以外が当選すると任期は4年間になる。
◆ダブル選、2陣営は冷静に対応
岐阜市長選が知事選と同日の来年1月25日投開票と決まったことに対し、知事選に出馬を表明している2陣営は15日、ともに「市長選と関係なく準備を進める」と冷静に受け止めた。
再選を目指す古田肇氏は「市長選と知事選はそれぞれ違う次元の選挙」と強調。「私自身は知事の選挙を展開し、県民の審判を仰ぐことに変わりはない」と淡々と語った。
新人の木下一彦氏を擁立した「県民が主人公の県政をつくる会」の松本稔筆頭代表委員も「市長選があるからといって有利とも不利とも考えていない。今まで通り準備を進めていく」と述べた。
一方、ダブル選による有権者の盛り上がりを期待する声も。ある県議は「これで知事選の投票率が少しは上がるだろう」と予測し、投票率の低迷に悩む知事選の活性化につながるとの見方を示した。 (大橋洋一郎)
●自民岐阜市連、挙党態勢困難に 分裂危ぐの声 毎日 2008年12月21日08:58
来月25日の知事選と岐阜市長選の同日選を前に、自民党岐阜市支部(通称・岐阜市連)の総務会が20日開かれ、知事選は挙党態勢で臨むことを確認する一方、細江茂光市長の辞職に伴う出直し市長選では、市立岐阜商業高校移管による立命館誘致問題で市議が対立しており、分裂状態を危ぶむ声も出た。岐阜市連として市議をまとめるのは難しい情勢だ。
総務会には、立命館誘致推進派と市岐阜商高存続派の市議各7人を含む約50人が出席。知事選に向けた岐阜市連の選対本部の構成メンバーなどを決めた。
誘致問題が大きな争点になる出直し市長選について、安田謙三会長は「景気悪化の時期に行われることに大変困っているが、選挙になってしまった以上、避けて通れない」と述べ、澤田栄作常任相談役は「(岐阜市連が分裂した)2002年の市長選の状態に突入するのではないか」と危ぐした。
●’09知事選:福祉、医療、教育中心に 木下氏がマニフェスト公表 /岐阜 毎日新聞 2008年12月25日 地方版
◇「国保保険料引き下げ」
知事選(来年1月25日投開票)に、無所属での立候補を表明している県労働者相談センター所長の木下一彦氏(66)=共産推薦=が24日、マニフェストを公表した。4年間の重点施策として10項目を挙げ、実現に必要な予算額を約115億円と試算。「公共事業費を減らすなど、予算配分の調整で必要額を捻出(ねんしゅつ)する」と説明している。
共産党県委員会などがつくる「県民が主人公の岐阜県政をつくる会」と共同で、福祉、医療、教育を中心に作成したという。
基本姿勢は「憲法をくらしに生かし、県民が主人公の県政をつくる」。▽国民健康保険料を1人平均1万円引き下げ、子どもには無条件に保険証を交付する▽義務教育終了まで、子どもの医療費を無料化▽新規就農者1人に月5万円の青年就農者助成金(年100人)▽妊婦検診(14回)の無料化--などを挙げている。
安全・環境では、徳山ダムの貯水は「危険」としてやめさせ、「導水路建設は認めない」としている。【宮田正和】
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全国の小学6年と中学3年の全員を対象に行われ、昨年は約77億円、今回は約58億円もの費用がかかり、しかも、その結果について情報公開の賛否・可否でゆれる全国学力テスト。
そもそも、各界や教師にも批判があり、マスコミの社説で「もう やめたら」とも指摘される。
それでも、文科省は昨日24日、「来年も学校別公表禁止、実施要領を決定」したという。
●鳥取/「学テ」公開情報、違反利用は学校ランクのネット掲載、学力上位地区PR 鳥取県教委 「お願いするしか」
●埼玉/学力テスト:埼玉県情報公開審が開示答申
●秋田/学力テスト公表めぐり平行線 秋田県教委と市町村教委
●全国学テ、来年も学校別公表禁止 文科省、実施要領を決定
●結果提供時の管理徹底を=学テ実施要領を発表-文科省
●実施要領にデータ制限明記せず 全国学力テストで文科省
●学力テスト もうやめてはどうか
●全国学力テスト 毎年続ける必要あるのか
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ここのところ6位、7位あたり
●「学テ」公開情報、違反利用は学校ランクのネット掲載、学力上位地区PR
鳥取県教委 「お願いするしか」 2008年12月18日 読売新聞
鳥取県が来年度以降の全国学力テスト結果を開示する条件として、改正に取り組んできた情報公開条例。開示情報の使用に「配慮」を求める規定を追加したことには、「何をどう配慮すればいいのか」「どんな指導を受けるのか」などの疑問の声も多い。条例の運用方法は「まだ白紙に近い」(県教委)状態だが、水面下では条例違反のケースを想定した検討が進んでおり、今後、改正条例の是非を巡る議論が再燃しそうだ。
想定される条例違反を挙げると――。2009年のある日、ネット掲示板を主宰する男性が、鳥取県庁を訪れ、学力テストの学校別結果の開示を請求した。動機は興味本位だが、その目的は問われない。問題はその後だ。男性が開示情報を元に学校ランキングをネットに掲載すると、県教委から電話がかかった。「直ちに掲載を中止して下さい」
県教委によると、学校ランキングのネット掲載は理由がどうあれ、条例違反とみなされる。掲示板に下位校を中傷する書き込みが集中し、児童・生徒の動揺が想定されるためだ。
報道目的でも、学校別結果の掲載、放送が、「子どもたちが傷つく」との理由で違反になる可能性がある。県教委幹部は「いじめの件数とテスト結果の両方を並べ、相関を検証する記事などを掲載するのは違反と言えないかもしれない」と話すが、学校別結果を報道した場合は、責任者に事情を聞くこともあるという。
商業利用はどうか。マンション販売業者が、学校別成績を載せたチラシを配り「学力上位の校区に立地」とPRするケースや、学習塾が成績の低い校区内で成績一覧を配って生徒を集中的に募集する場合も、違反になる見込みだ。
県教委の担当者は「配慮規定といっても強制力はなく、お願いにすぎない。表現の自由や知る権利には抵触しない」と強調する。
しかし、鳥取県知事時代に情報公開条例を制定した片山善博・慶応大教授(地方自治論)は「情報の使い道を制限する配慮規定は、住民による情報の共有を阻害し、開示で不都合なことが起きた場合の責任を開示請求者に押し付けるものだ」と批判している。
●学力テスト:埼玉県情報公開審が開示答申 毎日 2008.12.24
全国学力テストの市区町村別と学校別結果について、埼玉県情報公開審査会は24日、県教委に「開示すべきだ」と答申した。開示答申は、都道府県レベルでは鳥取県に次ぎ2番目。答申に拘束力はないが、県教委の対応が注目される。開示を巡る各自治体の動きにも影響を与えそうだ。
埼玉県によると、07年10月、県民から県教委へ07年度全国学力テストの市区町村別と学校別結果の開示請求があった。県教委は「文部科学省の実施要領は、都道府県教委が市区町村別、学校別結果を開示しないよう定めている。開示は序列化や過度の競争につながる恐れがある」などとして不開示を決定した。
異議申し立てを受けた県教委が今年3月、審査会に諮問し、審査会は序列化などの恐れについて「具体的なものになっているといえず認められない」と判断した。
答申を受け、上田清司知事は24日の定例会見で「できるだけ発表すればいい」と述べた。子供たちの名前は公表されず、過度な競争や序列化にならないとしたうえで「むしろ教委や学校長の力(の差)が見えるのを嫌がっている人がいるんじゃないか」と指摘した。
島村和男県教育長は毎日新聞の取材に「対応はこれから検討する」としつつ、「市町村別、学校別結果を発表しない約束で各市町村教委に参加を呼びかけた。県教委には約束を守る責任がある」と話し、開示に否定的な認識を示した。
【和田憲二】
●学力テスト公表めぐり平行線 秋田県教委と市町村教委 2008年12月23日火曜日
秋田県教委は22日、臨時の全県市町村教育委員長・教育長会議を開き、来年度の全国学力テストの成績公表について協議した。県教委は平均正答率の公表を強く迫ったが、市町村教委に理解を示す声はなく、議論は平行線をたどった。
県教委は、公表は市町村教委の判断に任せるとしながらも、(1)数値を示すことで結果が分かりやすく伝わる(2)保護者や地域の関心が高まる―など、平均正答率を明らかにする利点を強調した。
根岸均教育長は「運動会や文化祭だけでなく、学力向上という教育の本丸でも地域、保護者の協力を得るには情報共有が必要。過度な競争につながるとの懸念は、さまつな問題だ」と訴えた。
これに対し、東成瀬村の鶴飼孝教育長は「序列化という副作用を知りながら、なぜ数値公表に固執するのか」と反発。横手市の高橋準一教育長は「2回のテストで秋田県の全国的な位置はもう分かった。来年度からテストに参加しないことも選択肢では」と指摘した。
文部科学省の専門家会議がまとめた実施要領の改善案についても、両者の意見は対立。新たに「調査結果の一層の活用」との言葉が盛り込まれ、数値公表へ流れが変わったと主張する県教委に対し、北秋田市の三沢仁教育長は「『平均正答率にこだわることなく』との文言もある。逆の解釈をしてないか」と応酬した。
県教委は今年10月、市町村別成績の情報公開請求に対し、市町村名を伏せて平均正答率の数値のみを開示している。
●全国学テ、来年も学校別公表禁止 文科省、実施要領を決定 2008/12/24 17:26 【共同通信】
文部科学省は24日、来年4月の全国学力テストの実施要領を決定、各教育委員会に通知した。都道府県教委が市町村別や学校別の結果を、市町村教委が学校別の結果を公表するのは、序列化や過度な競争につながるとし引き続き禁止した。
結果公表では、大阪府の橋下徹知事や秋田県教委が、市町村別結果を部分開示。鳥取県は来年度から市町村別・学校別結果が開示できるよう情報公開条例を改正した。禁止事項への反発も予想されるが、文科省は「テストの趣旨を理解してもらえるよう努力する」としている。
橋下知事は府教委の提供で結果を開示したが、実施要領は、教委が関係機関に結果などを提供する際は「関係機関も実施要領を守ることが前提」と新たに規定した。
文科省の専門家会議は自治体の要望に応じて、一部資料を提供しなくても良いという資料提供の弾力化に言及していたが、同省は「責任回避のためという誤解を招く」として、実施要領に盛り込まなかった。
●結果提供時の管理徹底を=学テ実施要領を発表-文科省 時事 2008/12/24-17:52
結果の取り扱いが各地で議論となっている全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、文部科学省は24日、2009年度の実施要領を発表した。この中で、教育委員会、学校が外部にテストのデータを提供する場合は、要領通りの取り扱いが守られるよう管理徹底を求めた。市町村、学校別の結果公表は従来通り、各市町村教委、学校に委ねるとした。
文科省は外部提供の具体例として、都道府県教委が知事部局にデータを渡したり、研究者に分析を依頼したりする状況を想定。「各教委、学校は、提供先において要領の趣旨に基づいた取り扱いが行われるよう必要な措置を講ずる」と定めた。
●実施要領にデータ制限明記せず 全国学力テストで文科省 サンケイ 2008.12.24 20:31
文部科学省は24日、全国学力テストの来年度の実施要領を決定した。都道府県が市町村名と学校名を明らかにして成績を公表することを引き続き禁止し、調査結果の管理徹底などを求める内容で、同日付で各教育委員会に通知した。
15日の有識者会議で了承された方針に沿ったもの。方針には各教委などへの調査結果提供について、「学力テストの目的に留意しつつ、弾力的な対応を可能とする」とした表現があったが、実施要領には盛り込まれなかった。
この方針で、文科省は都道府県教委の要望に応じて提供データを制限することを検討していたが、大阪府の橋下徹知事らが「データの公表、非公表の判断を教委に丸投げするものだ」として反発。文科省は「地方に責任を押しつけるという誤解を招いた」として明記を見送ったが、「教委から相談を受ければ弾力的な対応は行う」としている。
結果公表では、橋下知事や秋田県教委が市町村別結果を部分開示し、鳥取県は来年度から開示できるよう情報公開条例を改正した。文科省は「テストの趣旨を理解してもらえるよう努力する」としている。
●学力テスト もうやめてはどうか 中日 2008年12月20日
全国学力テストは子供の学力向上に役立っているのか疑わしい。詳細な成績を公表すれば自治体や学校を序列化する懸念も消えない。文部科学省は来年度も続けるというが、もうやめてはどうか。
小学六年と中学三年を対象にした全国一斉学力テストは来年度で復活してから三回目となる。文科省は成績の扱いについて、市町村別や学校別での公表を禁じた現行の実施要領を維持するという。
これには橋下徹大阪府知事が怒っている。橋下知事は十月、市町村別データの一部を実名で公表した。住民の目に触れさせて自治体を奮起させ、学力向上につなげたいとの狙いからだ。
学力テストは全国規模で学力状況を調べ、学校現場や教育委員会の課題を明らかにすることが目的という。しかし、肝心の子供の学力向上に役立っているのか。
昨年と今年で得られた傾向に大きな変化はなかった。データが膨大で分析に時間がかかり、テストを受けた子供に利用しにくいという問題も浮上した。昨年は「授業の中で活用した」学校は小中学校とも半数に至らなかった。
テストを学力向上に結びつけるとしたら、結果を詳細に分析して対策を講じ、そしてあらためて検証していくのが手順だろう。
公立小中学校の設置者は市町村だが、都道府県教委が予算と人事権を握っており、市町村のできることは限られる。都道府県は結果を分析し、成績不振だった市町村に対策をとったのだろうか。
具体的には財政的支援だろう。少人数教育や習熟度別指導を行うには人員がいる。それなのに、市町村別で公表すれば、序列だけが独り歩きする。都道府県別の平均点でさえ“ランキング”化し、都道府県を一喜一憂させている。
かつての全国テストが中止になった要因に、先生が誤答を指さして子供に気づかせ、成績を上げようとした行為があった。東京都足立区の独自テストでも同じような不正が発覚した。そんな愚行が繰り返されるおそれがある。
子供それぞれの学力を測るだけなら、学校ごとに行う試験や自治体独自のテストで十分だ。
日本全体の傾向を把握したいのなら、学習到達度調査(PISA)や国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)といった国際調査の活用で足りるだろう。
教育は自治体が主体となって行うものだ。「全国一斉」にとらわれず、市町村は地域の実情を踏まえて子供と向き合ってほしい。
●全国学力テスト 毎年続ける必要あるのか 山陽 2008年9月2日
文部科学省が昨年に続き今年四月に実施した「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の結果が公表されたが、やはり事前に予想されたような内容になった。
応用力に課題があることや、都道府県ごとの成績など全体の傾向は昨年とほぼ同じだった。学力は短期間で改善するものではあるまい。教育は「国家百年の計」とされ、結果反映には時間がかかる。このまま毎年、全国的な規模で多額の費用を投じ調査を継続する必然性があるのか疑問に感じざるを得ない。
全国学力テストは子どもの学力低下が指摘される中、全国的な状況を把握し、課題を明らかにする目的で昨年、四十三年ぶりに復活した。今年も昨年と同様、一部不参加の学校を除き小学六年と中学三年の全員を対象に行われ、昨年は約七十七億円、今回は約五十八億円の費用がかかった。
国語と算数・数学の二教科で基礎的知識を問うA問題と、知識の活用力をみるB問題が出題された。平均正答率は小中学校ともA問題よりB問題の方が昨年と同じように10ポイント余り低く、文科省は引き続き「知識の活用に課題がある」と分析した。学習状況調査では生活習慣の確立が重要などとしたが、専門家の調査で一般的に知られている内容にとどまった。
全国学力テストを行った以上、データを詳しく解析し、教育指導の改善などに生かす必要がある。同時に昨年の結果がどのように現場に反映されたのかもさらに検証し、全国の教育関係者の間で情報を共有してもらいたい。
全員を対象にした全国学力テストについては、昨年行われた時から毎年の継続実施に対し疑問の声が少なくなかった。全体の傾向を知ったり、各学校が全国での位置付けを確認するには、三年から五年ごとの調査で十分とする意見がある。一部の学校で実施する抽出調査だけで対応できるという指摘もある。
文科省は「データを積み重ねることで課題がより浮き彫りになる」と反論し、来年以降も継続する方針を崩そうとしない。しかし、基本的な知識に比べて応用力が低いことなどは既に周知の事実であって、文科省の主張は説得力に欠けよう。
それよりも、指導効果があるとされる習熟度別学習や少人数学級の拡充に向け、教員増加などの環境整備に巨額の費用を回す方が賢明ではないか。現場では市町村別などの成績公表をめぐり、混乱が表面化している。公表の在り方も含め、冷静に議論を深めるべきだろう。
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●第6部 断層からの異議 新潟日報 特集
地盤問題を主な争点に1979年から続く東京電力柏崎刈羽原発1号機設置許可取り消し訴訟。昨年7月の中越沖地震は、国の安全審査を妥当として、取り消しを求める住民側を退けた1、2審の判断の前提を根底から揺さぶった。安全審査が認めた最大地震の揺れの想定を覆し、法廷でほとんど論議されなかった「海底」に震源があったという事実を突き付けたのだ。住民側の上告後に起きた地震。最高裁は海底深くの「断層からの異議」をどう受け止めるのか。提訴から30年目の裁判を検証する。
第1回 法廷の限界 (2008年04月26日掲載)
抜け落ちた「海底」論議 国側の新データ出ず
争点化回避も“戦術”

写真上方に見える信濃川西側の地下には長岡平野西縁断層帯が連なる。柏崎刈羽原発1号機訴訟の控訴審までの法廷では、陸域断層をめぐる論戦が続いたが、海底断層は争点に上らなかった=16日、本社ヘリから
「裁判官は法廷に出された証拠の範囲内でしか判断できないから」。柏崎刈羽原発1号機訴訟で新潟地裁の一審判決を書いた当時の裁判長、太田幸夫(65)は一般論と断りながら語り、もどかしさをにじませた。
中越沖地震は海底にある断層が引き起こしたものだった。しかし1、2審を通じてそれが争点に浮上することはなかった。控訴審が開始から10年目を迎えていた2003年、被告の国側は同原発周辺海域の活断層に関する新たな情報を得ていたにもかかわらずである。
新たな情報とは経済産業省が同年6月に東電から受けた過去の海底調査データの再評価結果の報告だ。複数の断層について、従来の評価を覆し、活断層の疑いが強いと確認した内容だった。その中には、中越沖地震の震源断層とつながる可能性がある「F-B断層」=3面の図参照=も含まれていた。しかし、原発の耐震性に影響はないとして公表されず、法廷に出されることもなかった。
裁判は、住民側が次々と投げ掛ける疑問に国側が反論する構図で展開した。その中で、場合によっては不都合なデータ開示は控えるという戦術も成り立つのが民事裁判だ。
経産省で現在、1号機訴訟を担当する原子力安全・保安院訟務室長の畑野浩朗(44)も「当時の訴訟担当者が(再評価結果を)知っていたかどうかは分からない」とした上で、こう説明した。
「訴訟では戦術がある。ある資料を持っていても相手から問題提起がなければ、すべての情報を出す必要はないという判断もあり得る」
しかし、そうした戦術は放射能漏れの重大事故の危険をはらむ原発の安全性を問う裁判にも適用されるものなのだろうか。
現在の民事訴訟制度は「弁論主義」を取り、事実や証拠を示す責任を当事者に委ねる。訴訟では通常、訴えを起こした原告側が主張の内容を立証しなければならない。しかし、原発をめぐる裁判では、最高裁が四国電力伊方原発訴訟などで、被告となった国や電力会社も立証責任を負うという判例を示しているのである。
住民側代理人を務める弁護士の川上耕(60)は「国が再評価結果を明かさなかったのは不当だ。公表されていれば、海の問題も法廷で議論することができた」と批判する。
控訴審までの法廷論争の盲点を突いた上に、訴訟制度の限界をもあらわにした中越沖地震。判決を出した元裁判長にも重い問い掛けとなっている。
◎「お墨付き与えたのか」 判決下した裁判長自問
柏崎刈羽原発1号機訴訟。その1979年7月の提訴から控訴審までの法廷で、海底を震源とする地震の論議はなきに等しかった。2007年7月16日に発生した中越沖地震は、かつての裁判長にも思いもよらぬ事態だったに違いない。しかし、「裁判官は弁明せず」の不文律を盾にその口は重い。
中越沖地震の約2年前の05年11月22日。2審東京高裁は「(国による)安全審査の判断の過程に看過しがたい過誤、欠落は認められない」として1審判決を支持した。当時の裁判長で内閣府情報公開・個人情報保護審査会委員を務める大喜多啓光(66)は「判決で言い尽くしている。話すことはない」と取材を拒んだ。
一方、一審で裁判長だった太田幸夫は振り返りながら自問する。「判決は(国の安全審査などの)行政判断にお墨付きを与えたことになるのだろうか。私の中で整理がつかない」
今春から駿河台大学(埼玉県)で法学部教授を務める太田。やはり取材には難色を示し、「あくまで一般論」とした上での述懐だ。
太田は1審で計3冊、1150ページにも及ぶ判決文を書いた。15年にわたる膨大な裁判記録を基に、耐震設計で考慮すべき活断層はどこか、長さの評価に誤りはないか。数多くの争点について見解を論じた。しかし、争点には海底断層は入っていなかった。
提訴当時は海底断層の研究が進んでいなかったという事情もある。
中越沖地震に話題が及ぶと太田は言いづらそうに、こう漏らした。「裁判官は神様ではない。判決の後に起きることは分からない」
これまでの訴訟を元裁判長が詳しくは振り返ろうとはしない中で、原告の住民側は、情報量に勝る国に対抗する厳しさをあらためてかみしめている。
「私たちが主張の基にしていたのは陸域の断層ばかりだった。一般市民に海の底まで調べるすべはなかった」。代理人で地盤・地質問題を担当する弁護士の川上耕は、海域の問題が弱点だったことを打ち明ける。
提訴後、国の安全審査で海域調査が十分でないことを追及するため、専門家に相談を持ち掛けた。しかし、具体的に法廷で主張できる材料をそろえることは、ついに実現できなかった。
(文中敬称略)
◎柏崎刈羽原発1号機訴訟
国が1977年9月に東京電力柏崎刈羽原発1号機の設置許可を出したことを受け、同原発に反対する住民らが異議申し立てを申請。国による保留が続いたが、79年3月の米国スリーマイル島原発事故の発生を機に、住民らが同年7月、当時の通商産業相を相手取り提訴した。それまで東電と住民との間で続いていた同原発の地盤論争も、主要な争点となった。新潟地裁の一審は94年3月までの15年間、東京高裁の控訴審は2005年11月までの11年間争われ、いずれも住民側が敗訴した。同年12月に住民側が最高裁に上告している。
◎司法判断と現実に落差 中越沖 地震動想定の2倍強
東京電力柏崎刈羽原発1号機設置許可取り消し訴訟で、1審新潟地裁と2審東京高裁の両判決が認めた国の安全審査の評価と、中越沖地震がもたらした事実とで生じた食い違い。原発が設計時に想定した地震動については特に落差が大きい。
中越沖地震では、1号機の基礎版上で観測された揺れの強さを示す加速度は680ガルだった。一方、1994年の1審判決は「柏崎刈羽原発で将来発生し得る地震による最大加速度が220ガルのところ、耐震設計で300ガルとした。十分余裕がある」として国の審査を妥当と判断した。
2審東京高裁では、2004年に起きた中越地震の際、川口町や小千谷市などで観測された千ガル以上の加速度について法廷で議論になった。住民側は「中越地震と類似の地震が原発の近くで発生すれば(同原発の想定地震動の)300ガルの2-4倍になる」と主張した。
これに対し、東京高裁は05年の判決で「地震の揺れは地盤の種類、性質によって異なる。柏崎刈羽原発における推定最大加速度は220ガルだ」との判断を示した。
地震動のほか、東京高裁が判決で示した「長岡平野西縁断層帯」の評価をめぐる判断も揺らいでいる。
04年、政府の地震調査研究推進本部(推本)が、全長80キロ超の同断層帯が一体として動き、マグニチュード8規模の大地震を起こす可能性を指摘した。しかし、東電は1975年の1号機設置許可申請時から同断層帯が一体として動くことを考慮せず、国の安全審査もそれを妥当と認めていた。
東京高裁は判決で「(推本の評価より)審査の活断層評価がより詳細なデータといえる」と判断。同断層帯の一体としての活動を考慮していない国の審査を合理的だとした。
東電は中越沖地震を受け、柏崎刈羽原発の耐震設計で同断層帯が一体として活動する可能性も考慮することに方針を転換した。 |
連載は続くので、また、紹介したい。
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裁判員制度、辞退の申し出がたくさんあっと昨日報道されていた。
「制度反対」はもちろんいわれている。
そんな中、12月1日から「被害者参加制度が始まった」そうだ。裁判員が心情的に左右される懸念が指摘されている。
裁判員制度にはハードルがたくさんある。
●裁判員候補4割、調査票を返送 辞退希望含む12万人
●裁判員候補者調査票、4割・11万8,500人が辞退希望の回答
●裁判員制度:候補者の3人に1人「辞退したい」
●裁判員候補者が実名明かし制度反対訴え、批判の声も
●被害者参加制度が始まった
●財務省原案、国選弁護関連に158億円 09年5月以降
●裁判員制度 何を省き何を省かないか
●裁判員支援 保育に課題
(関連) 12月1日ブログ ⇒ ◆人を裁く裁判員 /制度はいらない! 大運動 /賛成、反対、全国投票
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ここのところ6位、7位あたり
●裁判員候補4割、調査票を返送 辞退希望含む12万人 2008年12月20日3時3分
裁判員制度の調査票
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最高裁は19日、来年1年間の裁判員候補者として通知を送った約29万5千人のうち、4割にあたる約11万8500人から辞退の希望などを確認する調査票の回答が返送されてきた、と発表した。該当する項目がない場合は返送する必要がないが、最高裁は現時点では内訳を集計しておらず、返送されたすべてが辞退希望かどうかは不明だ。
候補者への通知は11月28日に一斉に発送された。調査票の回答は通知に同封されており、返送の締め切りは今月15日だった。マークシートに記入する方式で(1)病気や高齢など1年を通じて認められる辞退の理由があるか(2)1年間のうち特に忙しいため裁判員になることを避けたい月があるか(3)住所を移転したか――などを書き込む。
最高裁は年明け以降に一括して内訳を集計する方針で、結果は2月下旬ごろに取りまとめる予定。
一方、候補者が転居してあて先不明になっていたり、受け取りを拒否されたりして、届かずに戻ってきた通知は16日朝までに約2700通あったという。(中井大助)
●裁判員候補者調査票、4割・11万8,500人が辞退希望の回答 2008年12月19日 23:37更新
2009年5月から始まる裁判員制度に関して最高裁は19日、調査票を送った約29万5,000人の裁判員候補者のうち、約11万8,500人から辞退を希望する回答票が返送されてきたと発表した。
調査票では、警察官や自衛官など裁判員になれない職業に就いているか、70歳以上の人や学生には辞退を希望するかを確認。また、重要な仕事などで特定の月の辞退を申し出ることもできる。辞退を希望しない人は回答の必要はない。
回答の期限は今月15日までだったが、今後も受け付けるという。回答内容の内訳については、最高裁が09年2月までに集計する。
●裁判員制度:候補者の3人に1人「辞退したい」 毎日新聞 2008年12月20日
最高裁は19日、裁判員候補者に辞退希望などを答えてもらう調査票の回答が、期限の15日までに約10万9000通届いたと発表した。候補者29万5027人の3人に1人が回答した計算になる。
調査票は、11月28日に候補者に郵送された通知に同封され、(1)警察官や自衛官など裁判員になれない職業か(2)70歳以上や学生、重い病気やけがの人で辞退を希望するか(3)仕事や行事などで参加が困難な月はあるか(2カ月まで)--を回答できる。当てはまる項目がなければ返送しなくてもよい。
回答内容は明らかにされていないが、最高裁が候補者向けに設置したコールセンターに寄せられている問い合わせの半数以上は裁判員辞退に関する質問で、「辞退できるか」への関心が高いことがうかがわれる。
一方、発送した候補者通知のうち約2700通があて先不明で候補者の手元に届かなかったり、受け取り拒否で戻ってきたことも明らかになった。【北村和巳】
●裁判員候補者が実名明かし制度反対訴え、批判の声も 2008年12月20日21時19分 読売新聞
あなたも裁判員
裁判員制度に反対する弁護士や学者らの団体「裁判員制度はいらない!大運動」(東京)が20日、東京・日比谷で記者会見を行った。
会見には3人の裁判員候補者が参加、実名を明かしたうえで、「有罪・無罪や量刑の判断は法律の素人にはとても無理」(65歳の男性会社員)、「死刑や無期懲役を言い渡して嫌な気持ちになりたくない」(65歳の無職男性)などと話した。
裁判員法では、罰則はないものの、裁判員や候補者のプライバシーを保護し、不正な働きかけを防ぐために個人情報の公表を禁じている。
呼びかけ人の一人の高山俊吉弁護士は「裁判員裁判は裁判員にとっては苦役。こうした法律に従いたくない市民を支持するのも法律家の務め」と説明しているが、元裁判官の川上拓一・早稲田大教授は、「どのような信念があろうとも、法律を順守するのが法律家の責務。候補者の氏名をあえて公表しなくても反対運動はできるはずで、氏名まで公表するのは問題だ」と批判している。
●被害者参加制度が始まった 2008年12月19日 読売新聞
前回の「裁判員をやってみた(下)」でも触れた「被害者参加制度」が12月1日から始まった。
これまでの刑事裁判では、犯罪被害者(遺家族含む)は、検察側の証人として質問に答える形で加害者への憤りを言葉にするか、心情を訴えるわずかな時間が与えられる以外に、裁判に参加する方法はなかった。
法廷のバー(柵)の外側、つまり傍聴席で一般の人に交じって、裁判の様子を見守るだけで、自分に都合の良いことだけを話す被告の主張に口を挟むことも不可能だった。裁判は、裁判官、検察官、被告・弁護人の3者で行われ、被害者は「蚊帳の外」に置かれていたのだ。
全国犯罪被害者の会(あすの会)の運動が政府・国会を動かし、被害者は「被害者参加人」として法廷の中に入り、裁判に参加できるようになった。検察官の近くに座って、制限付きとはいえ被告人や情状証人に直接質問し、論告求刑も出来るから画期的なことだ。
そのため、この参加制度については今も弁護士や法律専門家の間には「裁判が報復の場になる」「裁判員が被害者の訴えに影響され、刑を重くする恐れがある」とする反対論が根強くあるようだ。
しかし、「報復の場になる」という懸念について、「被害者は法廷へナイフを持って行くわけではない。どうして復讐(ふくしゅう)できるのか」とあすの会代表幹事の岡村勲・元日本弁護士連合会副会長は反論する。同会九州集会の藤田博幹事(福岡県在住)も「被害者や遺族は事件の真相を知るために、直接加害者に問いただすだけだ。もちろん、亡くなった被害者の名誉を傷つけるような被告、証人の発言には、遺族として反論する義務もある。法廷の中に入らなければ、それらは出来ないのです」と語る。
今後、実際の裁判で被害者参加人が被告らに強い口調で質問することはあり得るだろう。その際、感情が激発することもあるかも知れない。しかし、それらは想定内のことだろう。被害者参加は無条件ではない。裁判官が検察、弁護側の意見も聞いて許可する手続きになっており、法廷に入った被害者が審理をストップさせるような混乱を引き起こすというケースは、まれなことではないだろうか。
被害者支援に詳しい弁護士の一人は「事件のショックから立ち直る間もなく、裁判に参加するのは被害者にとって精神的な負担が大きい。『とてもバーの中には入れない』と言う人もいるだろう。そんな時は弁護士が代理人として入ることも出来るし、裁判の途中からの参加も可能というのが今回の制度改革だ。被害者が法廷に混乱を引き起こすという想定は全く現実的でない」と話している。
一方、「裁判員が被害者の訴えに影響され、重罰化の恐れがある」という問題も、参加制度を想定した九州の6地裁の模擬裁判員裁判の判決結果では、量刑への影響はそれほど大きくない、と報じられている。記者は参加した模擬裁判で「懲役6年が妥当」と意見を述べたが、3人のプロ裁判官のうち2人も同じ量刑だった。裁判員2人がより重い「懲役8年」を表明したが、それでも検察側の求刑(懲役10年)を下回っていた。
もちろん、模擬裁判と本裁判は雰囲気も大きく異なるだろうが、そもそも裁判員裁判制度が出来たのは、職業裁判官だけに任せず、一般国民の多様な意見を裁判に反映してこそ良い判決が出せるということだったはずだ。「プロの裁判官は冷静に受け止めるが、素人の裁判員は被害者感情に左右され、信用できない」ということは当初の構想と矛盾することになりはしないか。
ともあれ、「被害者参加制度」は12月から始まった。裁判員裁判の実施(2009年5月21日から)までに、実績と改良を積み重ねていけば、こうした懸念も解消するのではないかと思える。編集委員 小川直人
●財務省原案、国選弁護関連に158億円 09年5月以降 ニッケイ 2008.12.20
2009年度予算の財務省原案が20日内示され、被告や容疑者が国費で弁護人を付けられる「国選弁護」の関連費として、今年度当初比67億円増となる158億円が計上された。
大幅に増えたのは、容疑者の段階で付けられる国選弁護人の費用。現在は殺人などの重大な事件に限られている対象事件が、裁判員制度が始まる来年5月以降は、窃盗や詐欺などの一般事件にも拡大するためで、今年度の2億円から58億円に増えた。
残る100億円のうち14億円は、来年度の対象事件が2000件と見込まれる裁判員制度で、被告に付く国選弁護人の費用。犯罪被害者や遺族が刑事裁判に直接参加し、量刑などについて意見を述べられる制度に伴い、被害者らを支援する国選弁護人の費用は8000万円。 (01:44)
●裁判員制度 何を省き何を省かないか 2008/12/19付 西日本新聞朝刊 社説
一般国民が参加する裁判員制度の実施が来年5月、あと5カ月後に迫った。その中で最近、裁判の使命である「真実の追求」とその「迅速化」を両立させるうえで、忘れてならないことは何なのか-を考えさせる判決があった。
広島市で2005年11月、下校途中だった小学1年の木下あいりちゃんが殺害され、段ボール箱に入れられ屋外に放置された。この事件で殺人の罪などに問われたペルー人被告に対し、広島高裁が言い渡した控訴審判決だ。
無期懲役という一審広島地裁判決の量刑が軽いか重いかについて、広島高裁はどう判断するのか。それが、判決前の主な注目点だった。ところが高裁は、まったく異なる角度から一審判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。
広島高裁はこの判決で、犯行の場所を特定しないまま広島地裁が判決を出したのは「誠に不可解」と、強い表現で一審の訴訟指揮を批判したのである。そこには、司法自身があるべき司法を念頭に置きつつ自らに突きつけた、厳しい問題提起のような響きがあった。
この事件が起きたちょうど同じ時期だった。裁判員制度の実施をにらんで、裁判を迅速化するために証拠や争点をあらかじめ整理する「公判前整理手続き」の制度がスタートしている。あいりちゃん事件の裁判が、この手続きの1つのモデルケースになった。
ここで、憲法の第三七条を思い出しておきたい。刑事被告に「公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利」を認めている条文である。
公判前整理手続きは、裁判官、検察側、弁護側の三者間で、非公開で進められる。公開裁判で審理する証拠や争点はどれとどれを採用し、どれとどれを不採用とするかなど、刑事裁判の骨格を固める重要な手続きである。
地裁はこの手続きで、犯行場所の特定につながる可能性のある検察官調書を証拠採用せず、その場所を判決では「被告のアパートとその付近」とした。
高裁は、ここにクレームを付けた。犯行の場所が屋外を含むかどうかは量刑にも影響する事件の重要な要素だとして、「場所があいまいなまま双方の主張を判断すべきではない」と指摘したのだ。
日本の刑事裁判は従来、検察官の立証責任が十分に尽くされたか否かを細部にわたって審理し慎重に見極めようとする「精密司法」を基本にしてきた。これに対し、法律の専門家でない裁判員制度の導入に伴い、審理と判断の対象を基本的争点に絞って事件の本質に迫る「核心司法」へ脱皮すべきだとする議論がある。
裁判の「迅速」を目指しながら「拙速」に陥らないためには、公判前整理で何を省くことができ、何を省いてはならないのか。今回の高裁判決は、裁判員制度実施までに司法自身が詰めておくべきことがなお多いことを示している。
●裁判員支援 保育に課題 2008年12月20日 読売新聞
市外からも受け入れを 松本 金銭負担カバー十分? 長野
来年5月21日から始まる裁判員制度を前に、長野地裁と地裁松本支部の周辺では、裁判員の子供を預かる保育施設の確保が課題となっている。長野市は「現行制度で対応できる」としているが、松本市は制度の変更や、保育時間の延長などが必要という。
長野地裁の裁判員は東北信地域の居住者が対象で、地裁松本支部には中南信地域の裁判員が集まる。乳幼児のいる親が裁判員になることも考えられるため、市外から来た人も利用でき、午後6時頃まで受け入れてくれる保育施設が必要になる。
しかし、松本市は市外からの乳幼児受け入れは基本的に認めておらず、公立保育園の利用時間も午後5時頃まで。今年3月には、厚生労働省から、受け入れ態勢の整備を求める通知があったという。
市保育課の担当者は「できるだけ早く対応したいが、裁判員だけ特別に受け入れるのか、制度自体を変えるのか検討しなければならない」と話す。
一方、長野市は1996年に、市外からの一時保育受け入れを制度化した。午後6時30分まで利用できる公立保育園もあり、現行制度で対応できるという。
ただ、一時保育を行っている最寄りの保育園から長野地裁までは500メートルほど離れており、市保育課では「タクシーでの移動が必要になるのでは」と心配する。
裁判員制度では距離に応じた交通費と日当は支給されるが、保育料は補償されない。長野市の一時保育費用は3歳未満で1日2300円。さらにタクシー代も加われば、金銭面の負担が増える。
東京都品川区は今月、乳幼児のいる保護者が裁判員に選任された場合、一時保育料を無料化すると発表した。その後、複数の自治体が同様の方針を打ち出している。
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