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てらまち・ねっと



 4月7日に私に初めて処方された分子標的薬「リムパーザ」。
 服用開始してちょうど一か月が過ぎた。吐き気の副作用もおおむね通り越したと思える。

 ともかく、リムパーザという薬剤の箱の中の解説書には、「卵巣がん、乳がん」のことしか書いてなくて、前立腺がんの「ぜ」の字もない。「去勢抵抗性前立腺がん」に対して保険適用になったのが、今年の1月1日からだから仕方ない。
 なお、遺伝子検査をして「BRCA遺伝子変異」と確認。認定された患者だけが使える、とか・・・
 (BRCA1/2の遺伝子変異は、去勢抵抗性前立腺癌患者・前立腺癌においては約10%~18%程度、とか)

 ともかく、私は、保険適用されるハードルを越えたので使える(言葉をかえれば、「従来の薬が何も効かなかったからやっと使える」、もしくは、これしか使う薬がない・・・)という前提を頭に置いて、「乳がん」など先行する癌の治療薬としての解説の中で、「薬が人体の中でどのように効くかという作用機序」を確認しよう。 

 次の幾つかを抜粋して、興味はあるけどまったくわからないという人に、少しでも分かるようにしたい。
 なぜなら、「前立腺がん」の人のうちで5%~10%は従来の薬が効かない、ともいわれる。
つまり(以前なら、そのまま悪化の一途・・・)という人がいるのだから。
 ということで、今日は、次にリンクし、抜粋し、メモ的に残しておく。(詳しくは後半を見て)

● がん細胞に対するリムパーザのはたらき/リムパーザ - 静岡市立清水病院/紫外線や化学物質などの刺激によって細胞の中にある DNA(遺伝子)に傷がつくと、そのままでは細胞は生存できなくなる。しかし、通常細胞は傷ついた DNA は修復される。
リムパーザは、卵巣がん細胞における DNA の修復に関わる酵素の働きを邪魔することでがん細胞の生存や増殖を阻止する薬。

●再発した卵巣がんに新薬「リムパーザ」…がん細胞の修復妨げ死滅促進/読売 2018年6月4日/ 再発後、1年以上使えた患者は40%に上り、5年以上使えた患者も13%いた。BRCAはDNAの修復に関わる遺伝子の代表格で、らせん状のDNAの鎖が2本とも切れている時に働く。
しかし変異があると修復できなくなる。卵巣がんでは二本鎖の修復が行われないままだと、細胞分裂ができず、がん細胞が死滅する。通常の細胞はDNAの正常な修復機構があり、薬の影響は少ない。

● 卵巣がんへのリムパーザを理解する為の作用機序/【とある癌認定薬剤師のまじめな勉強ブログ】 04 /29 2019 
★【正常細胞が癌化する理由「2HIT理論」】2HIT理論 変異がなければ、発がんはしません。

★【DNAの修復方法~その1~】DNAの修復方法は2本鎖修復方法と1本鎖修復方法がある。正常細胞も癌細胞もDNAが傷つけば、この2種類の方法を使用。
しかし卵巣がん細胞では、※約半分の割合で(1本鎖修復方法)でしかDNAを修復できません。

★【DNAの修復方法~その2~】PARP阻害剤を飲むと…、正常細胞は2本鎖修復方法が行えるので、理論的には細胞ダメージはありません。2本鎖修復方法が行えない癌細胞(プラチナ感受性卵巣がん細胞とBRCA変異陽性卵巣がん細胞)はPARP阻害剤が加わると、DNA修復が出来なくなり死滅してしまう。
リムパーザには吐き気の副作用があるので、そのマネジメントも重要。

●リムパーザ・オラパリブ BRCA1/2をはじめとするDNA修復遺伝子が変異欠損している例に限ると,88%の奏効率/泌尿器科系領域がんのゲノム医療
※ 奏効率(そうこうりつ) 製薬業界 用語辞典 | Answers(アンサーズ)

 なお、昨日5月9日の私のブログへのアクセスは「閲覧数1,793 訪問者数1,041」。

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● がん細胞に対するリムパーザのはたらき
    リムパーザ - 静岡市立清水病院
紫外線や化学物質などの刺激によって細胞の中にある DNA(遺伝子)に傷がつくと、そのままでは細胞は生存できなくなります。しかし、通常細胞には「DNA の傷を修復する仕組み」が備わっているため、傷ついた DNA は修復されます
リムパーザは、卵巣がん細胞における DNA の修復に関わる酵素の働きを邪魔することでがん細胞の生存や増殖を阻止する薬で、PARPパ ー プ阻害薬と呼ばれています ( PARP とは DNA の一本鎖修復酵素の名称です )。
・・・(以下、略)・・・

●再発した卵巣がんに新薬「リムパーザ」…がん細胞の修復妨げ死滅促進
   読売 2018年6月4日
 海外での臨床試験では、病状が悪化せずに生活できる期間が、8・4か月(中央値)に延び、従来の抗がん剤の約2倍になった。再発後、1年以上使えた患者は40%に上り、5年以上使えた患者も13%いた。

遺伝子変異に対応
 この薬は元々、BRCAという遺伝子に変異がある遺伝性乳がん・卵巣がんの患者の治療を念頭に開発された。BRCAはDNAの修復に関わる遺伝子の代表格で、らせん状のDNAの鎖が2本とも切れている時に働く。しかし変異があると修復できなくなる。

 リムパーザは、DNAの1本の鎖が切れた時に修復するよう働く酵素PARP(パープ)の働きを邪魔する。PARPが機能しないと、DNAが複製する過程で結果的に二本鎖の切断が起きる。


 卵巣がんではBRCA以外にも二本鎖切断の修復に関わる遺伝子変異が多く、二本鎖の修復が行われないままだと、細胞分裂ができず、がん細胞が死滅する。
通常の細胞はDNAの正常な修復機構があり、薬の影響は少ないとみられる。
・・・(以下、略)・・・

● 卵巣がんへのリムパーザを理解する為の作用機序
 【とある癌認定薬剤師のまじめな勉強ブログ】 04 /29 2019 ≪癌治療に関わる薬剤師の為にがん領域のポイントを分かりやすくまとめたblog≫ 
リムパーザの作用機序を理解するには少し難しいです。
そこで、まずは3つのキーポイントを理解して下さい。(出来れば、自分でも調べてみて下さいね。)
また、「卵巣がん」は他の癌腫と少し違う性質があるので、その部分も理解すると分かりやすいと思います。

は「DNAの2つの修復方法」と「2Hit理論」です。
★【正常細胞が癌化する理由「2HIT理論」】
正常細胞が癌化する仕組みはいくつも解明されています。
特に分かりやすくて、リムパーザの理解にもつながるのが、「2HIT理論」です。
(2HIT理論以外にもありますが、今回は省略します。)

これは、細胞が癌化しない様に調整している遺伝子(何種類もあります)が、機能しなくなり、癌化する過程を上手く説明している理論です。
2HIT理論

図をみてもらえれば分かると思いますが、「遺伝子変異がある」という事は真ん中の状態を意味しています。

遺伝性の変異がある人が、変異がない人よりも癌化するリスクが高い理由は、「1ヶ所の変異が出来た場合、変異がある人は即、発癌につながるが、変異がない人は発癌には繋がらない」という事になります。

この理論の大切な所は、変異があれば必ず発がんするという誤解を説明出来る点です。
変異がなければ、発がんはしません。(1個ですが、機能しているので。)
その為、遺伝子変異を持っていても、生涯発がんしない人がいる事の根拠となります。
これは発がん過程の理解に大切になりますし、リムパーザの理解にも大切になります。

★【DNAの修復方法~その1~】
DNAの修復方法は主に2種類あります。(2本鎖修復方法と1本鎖修復方法)
正常細胞もDNAが傷つけば、この2種類の方法を使用します。
癌細胞もDNAが傷つけば、この2種類の方法でDANを修復します。

しかし卵巣がん細胞では、※約半分の割合で2種類のDNA修復方法の内、「1種類(1本鎖修復方法)でしか」DNAを修復できません。

★相同性組換え修復
(上記の2HIT理論で説明すると、がん細胞の2本ある染色体のうち、2本とも「2本鎖修復方法の遺伝子」が機能していない状態です。1本鎖修復方法は機能しています)
この2本鎖修復方法を「相同性組換え修復」とも言います。

相同性組換えについては、この論文を読んでみると分かりやすいと思います。
つまり、約半分の卵巣がん細胞は遺伝子の修復方法が限定されている。という事になります。

★【DNAの修復方法~その2~】
1本鎖修復方法はPARP(パープ)蛋白で行います。
  ※PARP:Poly ( ADP-ribose) polymerase ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ
PARP阻害剤ってどこかで聞いた事ないですか?
そうです。リムパーザです。
つまり、遺伝子の修復方法の1つを阻害する薬剤です。

つまり、PARP阻害剤を飲むと…、
正常細胞は2本鎖修復方法が行えるので、理論的には細胞ダメージはありません。
(実際は貧血の副作用があるので、赤血球の分化の過程である程度の影響を受けていると想像できますが…)

また、2本鎖修復方法が行える癌細胞にも効きません。(当たり前ですね…。)
しかし、2本鎖修復方法が行えない癌細胞(プラチナ感受性卵巣がん細胞とBRCA変異陽性卵巣がん細胞)には効きます。
何故なら、元々2本鎖修復方法を行えない癌細胞は1本鎖修復方法のみで生きながらえているからです。
ここに、PARP阻害剤が加わると、DNA修復が出来なくなり死滅してしまうのです。
何故回復出来ないのか?というと、DNAの2本鎖修復(相同性組換え修復)が機能していないからだと考えられています。

・・・(略)・・・リムパーザには吐き気の副作用があるので、そのマネジメントも重要になってきます。

●このブログの3月11日のエントリー ⇒ ◆リムパーザ・オラパリブ BRCA1/2をはじめとするDNA修復遺伝子が変異欠損している例に限ると,88%の奏効率/泌尿器科系領域がんのゲノム医療(日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌)
●泌尿器科系領域がんのゲノム医療・precision medicine
    日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 2020 年 37 巻 2 号 p. 122-125 2020/09/02 永田 政義 
 キーワード: 前立腺がん, 去勢抵抗性前立腺がん(CRPC), リキッドバイオプシー, 循環腫瘍細胞(CTC), DNA修復遺伝子変異
・・・(略)・・・
DNA修復遺伝子変異前立腺がんに対するゲノム医療・・・・(略)・・・
 実際に海外で行われたCRPCに対する第Ⅱ相試験では良好な成績が示されており[16],タキサン系化学療法など既存の治療後のCRPC患者へOlaparibを投与したところ,全体の奏効率は33%であったが,BRCA1/2をはじめとするDNA修復遺伝子が変異欠損している例に限ると,88%の奏効率を示した。また全生存期間も,変異欠損あり群では,変異なし群と比べて有意に延長した(図2)。

・・・(略)・・・おわりに 前立腺がん領域におけるprecision medicineの普及は,ガイドラインのみでは予後を延長できなかった少数集団の予後延長にも寄与できる可能性がある。ゲノム情報解析手技としては,低侵襲であり,かつ治療経過で刻々と変化する遺伝子プロファイルを継時的にモニタリング可能となるLiquid biopsyが有効である。近い将来,実臨床でも,採取した末梢血採血サンプルから病院の検査室にて短時間で遺伝子プロファイル解析ができ,その結果により最も有効な薬剤をすぐに選択できるようなゲノム医療が,様々ながん治療の現場で実現可能になることが期待される。
・・・・・・・・・・・・・・
※ 奏効率(そうこうりつ) 製薬業界 用語辞典 | Answers(アンサーズ)
奏効率とは、あるがん治療法を患者に用いた際、その治療を実施した後にがん細胞が縮小もしくは消滅した患者の割合を示したもの。治療法の評価の基準として用いられ、奏効率20%以上の場合に効果があるとされる。
臨床試験後のがん細胞の状態は、以下の4段階に分けることが出来る。
CR(Complete Response):完全に腫瘍が消失している。完全奏効ともいう。
PR(Partial Response):腫瘍が全体の30%以上消失した状態。部分奏効ともいう。
SD(Stable Disease):腫瘍の大きさが、治療前とまったく変わらない。
PD(Progressive Disease):治療前と比べて腫瘍が20%以上大きくなった状態、もしくは新病変が出現した。
奏効率の算出方法は以下の通り。
(CRの患者数+PRの患者数/治療患者総数)×100=奏効率(%)


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