西郷輝彦氏の「緊急渡豪 前立腺がん最先端治療」などと報道されていることで一気に知名度の上がった「去勢抵抗性前立腺がんのPSMA治療」(ルテシウム、アクチニウム)。
しばらく前に、同療法について解説し、治療先との中継もしているらしい「セラノスティクス横浜」の説明などにもリンクし、抜粋した。
(※ 6月29日ブログ ⇒ ◆PSMA標的治療の実際/アクチニウム、ルテチウム-177、転移のある去勢抵抗性前立腺がんに有効/FDAがPSMA標的PET画像診断薬を承認 2020年12月10日)
今日は、放射線治療などを主体に行っていると受け取れる「宇都宮セントラルクリニック」が、現地との連携で患者を治療に送り出しているらしき解説や、現地での写真なども掲載されているので、一部の関連をリンク、抜粋しておく。
同療法が完璧というわけではないが、日本で受けられる治療よりは優れている、との基本的評価があちこちにある。放射線科医が、学会でも注目されている、と話していた。
なお、私の場合は、それにすぐに飛びつくのでなく、今年1月(から2月)に日本で保険適用の治療の対象者として確認されたので、4月から行っているリムパーザという治療を優先させる。
親からの遺伝子異常が原因の前立腺がんであることが1月に判明した私の場合、リムパーザで治せる癌は治す(消えていく癌は消えさせる)という治療のあとで、それでも残った癌があった場合に、それらへの対策としての次の治療を考えることになる。その選択肢の一つ、と見ている。
今日は、まず、西郷氏関連や同氏の2回目の現地報告のページなどにリンク。
次に、先に記した「宇都宮セントラルクリニック」の院長らの説明にリンクし、状況が理解できる程度の一部は抜粋しておく。
私がピンと来る記述をまず列記しておく。
◆標準治療では他に方法がないため、緩和医療を勧められる。
◆最新医療 ルテシウム(Lu-177) PSMA治療
◆1回のLu-PSMA投与で腫瘍サイズが縮小している。これにより、腫瘍溶解症候群が発生し、一過性にPSAの急上昇をもたらし、その後急速にPSAが低下した。
◆PSA値が半分になり、副作用も少なめ。
◆まったく新しい機軸の放射線治療
◆PSMAという分子をターゲット(標的)にしているので、広い意味で分子標的薬の仲間と言える
◆ トレミフェンによる治療/前立腺がんの組織を再度組織生検すると、そこに女性ホルモンレセプターが証明されることがある。この場合、ブロッカーのトレミフェンを使う。
上記の後半の幾つかのことはとても興味深いので、後日、違う観点で整理する予定。
今日は、次の解説。
●西郷輝彦、6年前に前立腺全摘出もがん再発「病と向き合う」/産経 2017/12/1
●前立腺がんの基礎知識内分泌療法/宇都宮セントラルクリニック/最新医療 ルテシウム(Lu-177) PSMA治療について
標準的治療に抵抗性のある前立腺がん、それが「去勢抵抗性前立腺がん」
●PSMA標的治療のルテチウム-177、転移のある去勢抵抗性前立腺がんに有効 /CareNet.com 2021/02/24 提供元:ケアネット (医学ライター 菅野 守)
● ~進行した前立腺がんで余命宣告をされたら~ /2018.08.10 宇都宮セントラルクリニック
●クリニックからのお知らせ 当院代表佐藤俊彦のコラム ~去勢抵抗性前立腺癌の皆様へ~/2019.05.23/トレミフェンによる治療、免疫細胞療法、Lu(ルテチウム)-PSMA治療
●前立腺がん治療 PSMA/宇都宮セントラルクリニック LuPSMA治療の流れ (※ 「リンク先のページの後半」に現地の写真も含めて詳しく掲載されて
●【再掲】去勢抵抗性前立腺癌のLu-PSMA治療に関して(続報)/2020.09.02 宇都宮セントラルクリニック
なお、昨日7月7日の私のブログへのアクセスは「閲覧数1,574 訪問者数965」。
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西郷輝彦●西郷輝彦、6年前に前立腺全摘出もがん再発「病と向き合う」 産経 2017/12/1
歌手で俳優、西郷輝彦(70)が30日、所属事務所を通じてがんの再発を公表した。6年前に前立腺がんを患い、全摘出手術を受けていたことも明かし、今秋受けた検査で再びがんが発覚したという。来春まで治療を最優先にするため、出演予定だったミュージカル「舞妓はレディ」(3月4〜20日、福岡・博多座)を降板することも決定。完全復活を目指す西郷は「心して病と向き合う」と誓った。・・・(以下、略)・・・
西郷輝彦公式チャンネル Telstar Vegao
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●前立腺がんの基礎知識内分泌療法
宇都宮セントラルクリニック
最新医療 ルテシウム(Lu-177) PSMA治療について
標準的治療に抵抗性のある前立腺がん、それが「去勢抵抗性前立腺がん」
・・・(略)・・・組みからLuPSMAは、有害な高線量の放射線を、がんの転移部位のみに正確に照射させることができます。
●全身の転移病巣に効果が期待できる放射線療法
Lu-PSMAは「Lu-177 PSMA617」の略。ルテチウムは原子番号71の元素で、Luが元素記号。ルテチウム-177とはβ(ベータ)線を発生する放射性同位元素で、半減期は約6.7日。PSMA(前立腺特異的膜抗原)は、前立腺がんの細胞表面に多く発現するタンパク質である。PSMA617はPSMAに結合する低分子で、それにルテチウム-177を付けることで、正常臓器には影響を与えずに治療できる。
静脈注射により体内に送り込まれたLu-PSMAは血流に乗って全身を巡り、体内にある前立腺がんの細胞表面に付着する。そこでルテチウムが放射線を放出し、がん細胞を死滅させる(図2、図3)。
・・・(略)・・・
ところが、Lu-PSMAは理論的には、前立腺がんが全身のどの臓器に転移していても、そのがん細胞めがけて放射性物質を届けることができるのだ。
「まったく新しい機軸の放射線治療ですね。薬剤が直接がんの増殖を止める効果を持つわけではないですが、PSMAという分子をターゲット(標的)にしているので、広い意味で分子標的薬の仲間と言えると思います。PSMAは前立腺がんに特異的な分子で、去勢抵抗性前立腺がんでも発現していることが知られています。その量は前立腺の正常な細胞の100倍とも1,000倍とも言われています。そこで、これをターゲットにすれば、がん細胞を選択的に叩けるのではないかというので出てきた治療です」
PSA値が半分になり、副作用も少なめ
Lu-PSMAはPSMAを発現している転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者を対象とする単一群の第Ⅱ相試験の薬剤で、この試験はメルボルン大学(オーストラリア)のピーター・マッカラムがんセンターのマイケル・ホフマン准教授らのグループが実施している。登録された50~87歳の患者50人は、登録前にPSA値が3カ月弱で2倍に急増していたとのこと。PSAとはご存知のように前立腺特異抗原のことで、前立腺がんではこの数値が高くなるので、前立腺がんの腫瘍マーカーともなっている。
ほとんどの患者が抗がん薬タキソテール(一般名ドセタキセル)の治療歴か、ホルモン療法薬のザイティガ(同アビラテロン)、イクスタンジ(同エンザルタミド)の両方または一方の治療歴があり、48%がさらに抗がん薬ジェブタナ(同カバジタキセル)の投与を受けていた。患者は6週間ごとに4サイクル、Lu-PSMAの静脈注射を外来で受け、結果をPSA値とCTや骨シンチグラム、PETスキャンなどにより画像追跡した。
生存期間(OS)中央値は治療後13.3カ月で、同じ病期の患者の平均(9カ月)より延長した。また、50人中32人にPSA値の50%以上の減少が見られ、うち22人ではPSA値が80%以上減少したという。初回治療後、多くの患者で骨の痛みの改善を含むQOL(生活の質)の改善も見られた。
その一方、グレード3以上の血液毒性(貧血や血小板減少)が約10%に見られたものの、重篤な副作用は比較的少なかった。PSMAという分子は唾液腺や涙腺の細胞にも発現しているため、口の渇き、悪心(おしん)、疲労感などが見られたという。
ちなみに、ルテチウムはβ線を放出し、飛ぶ距離が長くて体の外に少し出るため、PETなどにより追跡することができる。つまり、検査にも使えるので、今回の試験でも事前に投与してPET検査を行い、高い取り込み率を示した患者だけを対象としたという。
●PSMA標的治療のルテチウム-177、転移のある去勢抵抗性前立腺がんに有効
CareNet.com 2021/02/24 提供元:ケアネット (医学ライター 菅野 守)
ドセタキセル治療が無効となった転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)男性の治療において、ルテチウム-177[177Lu]Lu-PSMA-617はカバジタキセルと比較して、前立腺特異抗原(PSA)反応(PSA値のベースラインから50%以上の低下)の達成率が高く、Grade3/4の有害事象の頻度は低いことが、オーストラリア・Peter MacCallumがんセンターのMichael S. Hofman氏らが行った「TheraP(ANZUP 1603)試験」で示された。
研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年2月11日号で報告された。[177Lu]Lu-PSMA-617は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を発現する細胞にβ線を照射する放射線標識低分子化合物であり、mCRPC患者において抗腫瘍活性と安全性が確認されている。
オーストラリアの無作為化第II相試験・・・(略)・・・
著者は、「[177Lu]Lu-PSMA-617は、新たなクラスの有効な治療法であり、カバジタキセルの代替治療となる可能性がある」としている。 |
● ~進行した前立腺がんで余命宣告をされたら~
2018.08.10 宇都宮セントラルクリニック
・・・(略)・・・こうなると日本の先生はお手上げで、もう何もすることがないので、モルヒネでホスピスに行きましょうと言うことになるわけです。ところが、この治療で治っている人がたくさんいますので、セカンドオピニオンでご相談ください。
これはアクチニウムというアルファ線を放出する各種を投与したものですが、ドイツで治療を実施していますね。
最初にルテシウムで治療したのですが、ベータ線では効果がなかったので、アクチニウムに変更した例です。完治しているのがわかります。
この治療、早く日本でもできるようになればいいのですが、安価に治療できるという意味では、前立腺がんに閉経後乳がん治療薬トレミフェンを使用するという治療法をぜひ覚えておいてください。
わたしは放射線治療センターをOPENし、優秀な若い先生方とお仕事をご一緒することができ非常に幸せです。医学は、疾患に対するアプローチがこれまでとはガラっと変化するタイミングなので、流れについて行けるように勉強しながら、臨床の最前線でいち早く導入し、皆様のお役に立てる医療機関に仕上げて参りたいと思います。今後とも、よろしくお願いいたします。
【参考①:前立腺がんに関する他のコラム】
・去勢抵抗性前立腺がんの皆様へ:https://ucc.or.jp/2019/05/11185
・去勢抵抗性前立腺がんのLu-PSMA治療に関して(続報):https://ucc.or.jp/2019/08/11481
●クリニックからのお知らせ 当院代表佐藤俊彦のコラム ~去勢抵抗性前立腺癌の皆様へ~
2019.05.23
・・・(略)・・・しかし、これも効かなくなると、新規の抗がん剤であるカバジタキセル(ジェブタナ)、新規のホルモン治療剤として、エンザルタミド(イクスタンジ)とアビラテロン(ザイティガ)をトライしますが、これも効かないとなると標準治療では他に方法がないため、緩和医療を勧められます。
自由診療となりますが、治療には3つの選択肢があります。
トレミフェンによる治療
免疫細胞療法
Lu(ルテチウム)-PSMA治療
1.トレミフェンによる治療
前立腺がんの組織を再度組織生検すると、そこに女性ホルモンレセプターが証明されることがあります。この場合、標準的なホルモン治療では女性ホルモンを服用させることがあるのですが、かえって腫瘍の増殖を促進させることになってしまうため、逆効果になります。こういった場合に、ブロッカーのトレミフェンを使います。
・・・(略)・・・したがって、去勢抵抗性前立腺がんに対して放射線内照射のあとに何らかの免疫治療が有効であると考えます。
当院では、ブルツブルグ大学の福島先生と共同で、これらの患者さんのアウトバウンドのご支援をしております。スケジュールの例は以下の通りです。1クールが3~4回で、治療と治療の間に基本的には約8週間の休みがあります。
遠方の方で相談されたい場合には、当院の遠隔医療システムを使えば、全国からお問い合わせが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
https://ucc.or.jp/telemedicine/
今後、去勢抵抗性前立腺がんに関しては、患者さんの急増が予測されています。しかし、国内では、診断目的のGa-PSMA検査や治療目的のLu-PSMAの体制が未整備の状況です。
前立腺がんの患者さんは、比較的全身状態がいい患者さんが多いので、渡航に関しても、十分に耐えられる患者さんが多くいらっしゃり、私たちはこのシステムを積極的に押し進めるつもりです。
●前立腺がん治療 PSMA
宇都宮セントラルクリニック LuPSMA治療の流れ (※ 「リンク先のページの後半」に現地の写真も含めて詳しく掲載されている)
・・・(略)・・・当院ではこれまでにドイツ・ビュルツブルクにある大学病院へ紹介をし、治療を受けていただいた実績があります。日本人医師が現地のドクターと連携して治療方針や診療を手伝ってくれます。
当院を受診する
「去勢抵抗性前立腺がん」の可能性がある方は、まず当院のオピニオンを受診して下さい。
必要な物・・・(略)・・・
現地での治療 1日目(外来) ・・・(略)・・・◆ Ga-PET検査・・・(略)・・・
2日目(入院) ・・・(略)・・・◆ 腎シンチグラム ・・・(略)・・・ ◆ Lu-177 PSMA投与・・・(略)・・・
3日目(入院) ・・・(略)・・・◆ PET検査ひ
4日目(退院) ・・・(略)・・・◆ PET検査・・・(略)・・・
治療後のフォロー体制 帰国後は4週間に1度のペースでPSAの値を測定しながら経過観察をします。
また、8週間後に同様の治療を行います。
●【再掲】去勢抵抗性前立腺癌のLu-PSMA治療に関して(続報)
2020.09.02 宇都宮セントラルクリニック
・・・(略)・・・これは治療前(下段)と治療後(上段)の比較ですが、たった1回のLu-PSMA投与で腫瘍サイズが縮小していることがわかります。これにより、腫瘍溶解症候群が発生し、一過性にPSAの急上昇をもたらし、その後急速にPSAが低下しました。
腫瘍溶解症候群による体調不良がありましたが、すぐに回復されています。
注目点は、両側の耳下腺に集積していることです。つまり、唾液腺も放射線照射されてしまうので、治療中の冷却が必須です。
これは、患者さんの血中PSAの値ですが、一過性に上昇後に急減していることがわかります。2回目のLu-PSMAを実施しましたが、2回目の副作用は軽微のようです。
前立腺癌は、免疫治療が効かない”冷たいがん”として有名ですが、これにニボルマブとイピリブマブを併用することで有効と報告されています。
当院では、ブルツブルグ大学の福島先生と共同で、これらの患者さんのアウトバウンドのご支援をしております。
当院の遠隔医療システムを使えば、全国からお問い合わせが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
https://ucc.or.jp/telemedicine/
今後、去勢抵抗性前立腺癌に関しては、患者さんの急増が予測されています。しかし、国内では、診断目的のGa-PSMA検査や治療目的のLu-PSMAの体制が未整備の状況です。
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