生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)福岡 伸一講談社このアイテムの詳細を見る |
生物と無生物のあいだ 一時期大変よく書店で目にしていたのですが、
当時は、買って読むまではという感じがり今頃読みました。
生物学の研究者である著者の文章の流れがいいなぁと感じました。
理系の方が書く文章ってカチカチが面白みをそそるような書き方をあまり
多く目にしないような気がするのですが、これは新書ということもあって
読みやすいような書きぶりでいいなぁという素直な印象です。
生物と無生物のあいだというタイトルからして、微生物、分子、原子という
ようなものの考察であったり、仕組みを細かく書いているのかと思いきや
そうではなく、DNAや動的平衡などの研究者の研究記録的な科学史的な解説
DNA発見と研究の背景、経緯、発表の際の研究者どうしの争いなどが、ページ
の半数を占めます。
自分は、DNAの発見、研究、発表の歴史的な解説より、DNAの構造や変異の
意味合いなどが、面白く読めました。学校で習ってきたDNAという生物の授業で
得た知識からはや30年近く経とうしているなかで、あらためて構造とDNAの
仕掛けというものを垣間見たのは、興味深いことでした。
DNAがここの素子というか最小単位というかそこに情報を持ち、対になって
その組み合わせで情報を形成するという考え方は、遺伝、新種の発生など
をイメージしても理路整然と論理だてるまで気づかないものではという印象
でした。
動的平衡については、そのものをタイトルにして著者も別の書籍を出版
しているようですが、個人的には、この動的平衡という考えがこの本の
なかで、合点がいく内容だったと思います。
生物は、個々の細胞、分子、原始にDNAからの遺伝情報を受け継ぎ、
子孫に残していくものですが、個々の細胞であったり、生物であったり
自然の摂理を考えると過剰なものというものに対し、動的な平衡を実施し
均衡を保つという、自然の流れからすると、すごく自然な印象で、分子、
細胞単位が過剰な状態を考慮して、その母数の均衡を保つという概念
(事実??)は、日々の生活にも必要なバランス感覚だと思います。
動的平衡の均衡というものが一般の社会生活、地域とのコミュニティなど、
バランスの必要性、バランスを崩すと動けないような状態をつくりますが
この本には、そういったものへの注意が促されていような気がしました。