BT’63(上) (講談社文庫) | |
池井戸 潤 | |
講談社 |
BT’63(上) を読んだ。
池井戸氏の小説は、中小企業をネタにしたものが多くて面白いものが多いので
この本も手にしてみた。
ビジネス小説の作家だとばかり思っていたが、ミステリーも書くのだと
ちょっとした驚きでした。
主人公の父の若き日へ、主人公の意識だけがタイムスリップする。
息子が見た若き日の父親は、息子の知る真面目一辺倒というだけでなく
働いている運送会社をなんとか新しいビジネスで立て直そうとする熱い
男だった。
が運送会社の社員のなかで事件に巻き込まれていく社員が出てきて
警察にも嗅ぎまわれ、新ビジネス、宅配便事業も傾き始める。
熱意のある父に対し、主人公は病気療養、離婚、退職と冴えない日々が
続くなかで、自宅にあった父の制服に袖を通した瞬間に意識が過去へ
トリップする。最初は、疑心暗鬼であった主人公も父の若い日々、
事件に使われる運送会社のトラックBT63の消息を現代でも追うことになる。
現代、過去、若い父、運送会社の事業の浮き沈み、事件 主人公の妻、と
ストーリーの展開がいくつもあり、読み進むうちに面白みが増えていく。
下巻も面白そう。