続いて向かったのは江津市波積町に門を構える「浄土真宗本願寺派・願寿寺(がんじゅじ)」。『阿弥陀如来』を本尊とします。
本堂の正面には、年代による色褪せはあるものの、美しい三枚組みの鏝絵が奉納されています。
向かって左から、見返りながら波間を行く神亀。神亀は「霊亀」とも呼ばれ、古来より四霊とされる神獣。
蔵などの鏝絵の題材として良く用いられる「波ウサギ」。波は水であり、火防・火除けを象徴。 また月の精である兎は、古くより「子孫繁栄・豊穣」をもたらす、めでたい瑞獣とされています。
見返りながら波間を跳ね飛ぶウサギ、追いつこうと波の上を飛ぶウサギ、これも阿吽の一対です。
右端は、見返る神亀を追うのか、それとも楽しげに飛ぶ波ウサギを追っているのか。 一生懸命に水を掻く姿は四霊ながらもユーモラスで、名も知らぬ作者の遊び心が感じられる楽しい構図。
拝殿貫には一対の象。耳の穴が見えていないから象と判断していますが、一般的な象の観念が覆りそうな不思議な表情。こんな素敵な作品(神獣)に出会えるのも、寺社参拝の醍醐味。
参拝日:2011年5月15日