成田市滑川にある「滑河山・龍正(りゅうしょう)院」。通称「滑河観音(なめがわかんのん)」と呼ばれます。 『十一面観世音菩薩』を本尊とし、坂東三十三観音霊場:第二十六番札所としても親しまれています。
創建は承和5年(838)、滑河城主『小田将治』が発願し、『慈覚大師円仁』の開基とされています。 本堂の奉納絵馬には、小田川辺より観音像をすくいあげる「滑河観音縁起」が描かれています。
茅葺き寄棟造りの「仁王門」は『飛騨大隅』の作といわれる八脚門で、国重要文化財の指定。 簡素にして端麗な建物は桃山期の建築様式で、室町時代の文亀年間(1501~1504)の再建。
内陣に鎮座する仁王尊は、七難即滅・火伏せ・身体安全の守護像として、信仰を集めています。 何時の時代に彫られたものか不明ですが、不自然に誇張されていない素朴さに心を惹かれます。
県有形文化財の「本堂」は銅板葺き、方五間の宏荘な建物で、元禄9年(1696)の建立とされます。 説明によれば【本堂の階段を上ると外陣であるが、正面入り口に扉はなく、四本の大紅梁がかけられ、天井は化粧屋根裏に続いて内側を鏡として、左右に天人を、中央に龍を飾り、ゆったりとした大空間をつくり、いつでも観音の慈悲にすがれるようになっている。】
ご本尊は一寸二分の十一面観世音で、後に定朝作の一丈二尺の観音像の胎内に納められました。
五代将軍『徳川綱吉』の寄進により再建された「本堂」。数々の彫刻に極彩色の天井絵は必見の凄さ。まずは本堂向背の「龍」、宮彫師の名前を知りたくて調べてみましたが、残念ながら不明。
本堂の欄間に施された「天女」は上半身が人、下半身が鳥の姿の「迦陵嚬伽(かりょうびんが)」
羽衣と翼をもった天女は殻の中にいる時から鳴きだすとされ、その声は仏の声にも例えられます。 極楽浄土にありながら、なんとも艶めかしい顔・・宮彫師はきっと名のある人でしょう。
天井では、蓮の花を手に優雅に舞う「迦陵頻伽」。狩野派の絵師である『狩野柳元』の銘があります。
体と同じほどの大きさの琴を軽々とかかえ、楽を奏でながら舞い唄う、美しい「迦陵頻伽」。 昔、一生懸命読みあさった某コミックに登場した、儚く幼い「迦陵頻伽」とはエライ違い😅
「迦陵頻伽」に挟まれた状態で中央に描かれているのは、江戸時代初期に京都で活躍した『狩野貞信』の「龍」。「観世音」の額が邪魔で(罰当たりな言動でごめんなさい!!)全体を捉え切れませんでした。
さらに本堂正面の軒下近くには、『左甚五郎』作と伝わる、二頭の木彫りの馬が奉納されているとか。 二人で一生懸命探したのですが、探し方が足りなかったのか、どうしても見つけられませんでした。
境内には大好きな芭蕉の句碑とか、文化財指定の「宝篋印塔」などがありますが続きは明日。
参拝日:2019年3月16日
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