車泊で「ご当地マンホール」

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天保水滸伝(てんぽうすいこでん) in 千葉県東庄町&飯岡町

2019年08月09日 08時00分00秒 | 神社仏閣・名所・観光・千葉県

昨日のブログで紹介した「諏訪大神」参道の入り口に、「東庄町観光会館」があります。 この建物、もとは役場だったとか役所だったとかと聞いたのですが、すっかり記憶が😓

観光会館前に置かれた二つの長い石は、「須賀山城下大木戸」の礎石と言われています。須賀山城は千葉常胤の六男、東胤頼によって築かれた城でしたが、北条氏滅亡後に廃城になり、現在は土塁や空堀などの遺構が残るのみです。

観光会館内には、かって奉納相撲の際に四本柱に巻きつけられていた四色の布が保存されています。布の色は「青(緑)」「黒」「赤」「白」で、天空の四方位を司る、四神に由来しています。

後に柱の代わりに、屋根の四隅に房が下げられる様になり、その房も一緒に保存されていました。 青房は東方守護の青龍、白房は西方守護の白虎、赤房は南方守護の朱雀、黒房は北方守護の玄武とされています。相撲が神事といわれる所以でもあります。

さらに展示室の壁一杯を占めているのは『歌川豊国』描く、「近世水滸伝」の浮世絵版画の数々。 東庄町出身の『笹川繁蔵』は、千賀ノ浦部屋に籍を置いた元:力士だったといわれています。

さて、ここで登場した「水滸伝」ですが、実は観光会館には「天保水滸伝遺品館」が併設されており、本来はそこがメイン。館内には『笹川繁蔵』愛用のキセル、三度笠、『勢力富五郎』の短筒などが保存されているとか。 とは言え、特にファンでもない侠客の遺品にはあまり興味が無いので、そちらはパス😅

利根川沿いに位置する東庄町は、利根川周辺を舞台にした二人の侠客の、抗争事件で有名。 浪曲が大好きだった父のおかげで、幼い頃から耳にした侠客の名は「耳にたこ」🐙 「善の侠客・笹川繁蔵」と「平手造酒」、対する悪玉は「飯岡助五郎」・・この図式は映画やドラマの中でも不変だったと記憶しています。 この錦絵の顔だけ見ても、方や色白美形でいかにも正義感溢れる「男の中の男:笹川繁蔵親分」

一方こちらは十手を振りかざし、二束のわらじでお上の権力を嵩にきる「やくざの大親分:飯岡助五郎」。 こんなに明暗分かれた二人の顛末、当時の脚本家や戯れ本作家が飛びつかないわけがありません😅

実際にこの錦絵だけ見たら、方や正義の人、方やお上の手先の悪役・・が簡単に成り立ちますよね。 でも当時の侠客同士の争いに、一方だけが完全な善人だなんて、本来有りえる筈が無いのです。 ともあれ、東庄町には「天保水滸伝」に登場する『笹川繁蔵』の痕跡が、いくつか残されています。繁蔵が飯岡の子分たちの闇討ちにあったと言うビヤク橋の袂には、その碑が建立され、いつの時にも花が絶えることはないそうです。

また、江戸期には鹿島神宮寺の末寺だったという、真言宗智山派の寺「延命寺」。 その境内には、昭和15年(1940)に建立された『笹川繁蔵』と『勢力富五郎』の供養費が建立され、向かって右手には「大利根河原の決闘」で命を落とした『平手造酒』の碑もあります。

供養碑の前には博徒であった彼らしく「笹川繁蔵の勝負石」と刻まれたサイコロの奉納。

「延命寺」の本堂を取り囲む一帯は、要するに普通に「お墓」・・。だから墓地の奥に『平手造酒』の塚があると聞かされても、それを探す為だけに立ち入るのは憚られます。

そういえば「諏訪大神」の境内に、『三波春夫』自筆の「天保水滸伝百三十年の碑」が。【止めてくださるな妙心殿 落ちぶれ果てても平手は武士じゃ・・・】の台詞で有名な「大利根無情」は、今も隠れファンに愛されているそうです。

こうして書いていくとタイトルには二つの地名を入れたのに、東庄町の笹川方しか出てきません。 悪の代表のように書かれる『飯岡助五郎』ですが、飯岡漁港を整備する事業に着手し、台風や大時化の遭難で男手が不足した折には、故郷の公郷村近隣から漁師の二男・三男を大量に移住させ、また護岸工事にも積極的に取り組むなど、飯岡の復興に随分と尽力しました。なのに私達が目にしたのは、飯岡町の「玉崎神社」境内に建立されていた「飯岡助五郎碑」だけ。

要するに東庄町に比べて飯岡では「天保水滸伝」そのものに対して、非常に関心が薄いのです。 飯岡から引用した画像も、飯岡灯台の展望台で見たごく僅かな資料からの抜粋に過ぎません。助五郎親分だけが悪者扱いされる事を嘆いていたのも、展望台の案内の方だけ。 飯岡と「天保水滸伝」の関わりを知らしめるのも、海岸の「天保水滸伝の地 飯岡」の碑だけ。

訪問日:2019年3月13日


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