神楽の代表的な演目として「天岩戸」、又は「岩戸開き」があります。お正月最初は2013年7月7日「錦城神楽団(安芸高田市)」と、2013年12月8日「琴庄神楽団(北広島町)」による「天岩戸」。
陽と月の御鏡を持って登場する天照
神代の昔、『天照大御神』の弟『須佐之男命』は、「高天原」で乱暴狼藉のふるまいを重ね、皆は困り果てていました。ある時、あまりの無法ぶりに嘆き怒った『天照大御神』は「天の岩戸」に篭もってしまい、世界は真の暗闇に閉ざされてしまいます。
太陽を失った闇の中、草木は枯れ、あらゆる命は育たず、様々な禍いが生まれ出ました。困り果てた神々は、何とか『天照大御神』に出てきて頂こうと話し合いを重ねるのですが、そこで『思金神(おもいかねのかみ)』はある奇策を思いつきます。
その策とは・・・岩戸の前で『天鈿女命』に舞をまわせ、我らがやんやと囃し立てる。その賑わいの様子を、『天照大御神』に聞かせるのじゃ。
太陽神を失った筈の我らが楽し気にしていれば、不思議に思ってきっと様子を見ようとされる筈。御顔を出したその瞬間、力自慢の『手力男命』に岩戸をこじ開けさせようというもの。
ここからがこの神楽の最高の見せ場、軽快な笛と太鼓のお囃子に乗って『天鈿女命』の渾身の舞が始まります。時に軽快に、時にエロチックに、イナバウアーも真っ青の舞は、見る者を魅了し時間を忘れさせます。
真の闇にもかかわらず、何と楽しそうな外の気配・・・、そっと顔を出す『天照大御神』、すかさず岩戸に近寄る『手力男命』。岩戸がこじ開けられてゆくにしたがい、闇に閉ざされていた下界には神々しい光が満ちてきます。
神々しく旭日を放つ『天照大御神』。畏れ喜び合う神々・・こうして高天原も葦原中国も、まばゆい光を取り戻し神々も人々も安堵し、日々を送るようになりました。
北九州市に鎮座される「戸明神社」は、天の岩戸をこじ開けた『手力男命』が御祭神。『天照大御神』が二度と岩戸にお隠れする事の無いようにと、はるか彼方(長野県戸隠)に岩戸を投げ、隠してしまおうとする『手力男命』。
『天照大御神』は日本神話に登場する皇室の祖神で、日本民族の総氏神とされておられます。こちらは「二見興玉神社」の岩窟前で舞う『天鈿女命』。
『天照大御神』の出座によって光を取り戻した世界、神々はその有り難さを讃え、舞い踊ります。神楽とは神を楽しませるもの、「天岩戸」は、まさしく神楽の起源なのです。
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2013年5月21日「出雲大社遷宮・本殿遷座祭」「津軽神楽・出雲大社弘前分院(弘前市)」による【山神祭】。
『天照大御神』に岩戸から出て頂く計画を立てた『天児屋根命』。さっそく『天鈿女命』が神楽に使う榊を、天香具山に取りに行きました。
ところが気の急くあまり、山の神に無断で持ち帰ろうとした為、神の怒りを買ってしまったのです。
主である『大山祇命』に奪い返されてしまった榊。これが無ければ岩戸の前で神楽はできません。岩戸を開く為にどうしても必要と知った大山祇命は、改めて天児屋根命に榊を献上したのです。
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2013年5月22日「出雲大社遷宮・本殿遷座祭」、「乙立神楽保存会(出雲市)」による【山の神】。
天の岩戸にお籠もりになられた『天照大御神』に御出座頂く為、神楽を催す事となり、舞に使う「真榊」を持ち帰ろうとした『天児屋根命』。そこに現われたのは「山の神」。決して顔を見せず『天児屋根命』の振る舞いを見守っています。
ずっとこのように顔を隠し、時折スックと立ち上がり、観客席が身を乗り出した瞬間、又しても幣に顔を深く埋めてしまいます。そうして怒りを表すかのように肩の御幣を震わせるのですが、静かな演技なのに、観客席にいる私たちにもその怒りが伝わってくるような仕草なのです。
やがて山の神の存在に気が付いた天児屋根に向かって、その真榊を返すように促す山の神。ですがこれはどうしても必要なもの、返すわけにはいかない天児屋根。まるで挑発するように真榊を持った手をヒラヒラ(^^;)
遂にお怒りの表情を見せる『大山津神』。っていうか天児屋根も、素直に事情を話してお願いすればいいのに・・と言ってしまうと神楽にはなりませんが(笑)
返せと迫る山の神。返せないと言い募る天児屋根。何度か小競り合いが続きます。
そうしてやっと、真榊が必要な理由を伝える天児屋根。そのような理由であるならば、自ら真榊に神の威徳を授けようと大山津神。
袂をたすき掛けにし鉢巻を付けた『大山津神』。悪切りの剣舞により岩戸開きに協力されます。
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最期は2013年12月7日「神楽門前湯治村:本郷太刀納め神楽」、「広森子供神楽団(安芸高田市)」による【天の香具山】。
『天児屋根命』が天岩戸を開ける為に使う榊を「天の香具山」に採りに行くというお話で、え~~と、舞台に登場した女性は・・多分『天鈿女命』。でこちらがおそらく『天児屋根命』。
榊を持ち帰ろうとした天児屋根の前に現われたのは「天の香具山」の主である『大山津見神』
なのですが・・・・何故か鬼・・・えっ!!!!!!!お~~~~~に~~~~~~!!!!
鬼ですから、当然戦って成敗しなければなりません。という事で恒例の戦いの舞。
見事鬼を成敗して勝利の舞を踊る『天児屋根命』。良いのか?それで(笑)多分、私は演目の内容をちゃんと聞いてなかったに違いない(笑) だって演目は「山の神」ではなくて「天の香具山」。そうか、鬼はそこに住み着いていた悪鬼だったに違いない!!うん、きっとそうだ(笑)
と、無事に自己完結できたところで(^^;) 何時の日か、諸先輩方の中に入って舞台を踏む日を楽しみに待っていますね(⌒∇⌒)
2022年 正月二日
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