槙坪多鶴子監督作品「老親」を観て、原作者門野晴子さんの講演を聞き感動した
昨日はふれ合いセンターで開催された「ハートフルトーク&映画会」に参加した。第一部は槙坪多鶴子監督作品「老親」の上映。そして第二部では原作者の門野晴子さんの講演会だ。
映画「老親」のチラシに「女は結婚すると、ふつう親が4人いる」とあるように、39歳の時から4人の親を25年にわたって介護した経験から書かれた原作だ。男は逃げ惑い、オトノサマとして過ごす。介護を押しつけられた女は壮絶な世界に身を置く。私の場合も「逃げ惑う」では、決して例外ではなかった。
それにしても、「末期ガンの実父の介護に実母を助け、その最中に姑が脳溢血で逝き、オトノサマの舅が残される」、こう書くだけで壮絶な世界が垣間見える。しかし原作者の明るいキャラクター同様に、映画はとても明るくその世界を描いている。
この映画2000年の製作であり、今は亡き小林桂樹の舅が何ともいい。そして原作者がモデルの“長男の嫁”成子に分する萬田久子が何とも魅力的に描かれている。とても共鳴した。
門野晴子さんは、映画「老親」へのメッセージの最後に「槙坪監督が車椅子で、その脇には痴呆の母親というコンビで撮影をしていた。女が歯を食いしばって介護する国なんて、男も幸せであるはずが無い。優しく老若男女が共生する社会こそ未来も輝くのでしょう」と書いている。「その通り」、と男であり逃げ惑った私は、深く頭を下げた。
それにしても、槙坪多鶴子監督は昨年9月に鬼籍に入っている。そして小林桂樹も同じく一昨年の9月に永久の旅立ちをしている。日本映画はとても豊かな才能の監督や俳優を失っている。記してご冥福をお祈りをする。
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