tonto's blog

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とりあえず症候群

2008-05-29 | 旧ブログ
 少し前にiwaoさんがブログで紹介された「なぜ、日本車は愛されないのか」という本を、僕も読んでみた。
 多方面から、なるほどと感じる意見が述べられていた。中ほどに、日本人は誰もが一人前の中流人でありたいと願い、その証を求めるために「とりあえず症候群」が、ありととあらゆるものに浸透。まっとうなものが創れなくなってしまったという意見が記述されていた。とりあえず無難なもので行こうである。
確かに居酒屋へ行けばいつもみんな「とりあえず中ジョッキ」だし。

 ここで気になったのが、「残念なことに医者もこの病期にかかっている」というもの。ほとんどの医者は「とりあえず薬を出しておきますから、2~3日様子を見ましょう。もし何かありましたら、また来てください」という。その言葉は、人間には自然治癒力があるから、症状が軽ければほおっておいても治り、もしタチが悪くて悪化したら、その時点で考えます――。と言っているようで、技術屋である著者としては「この人は医者ではないな」と思ってしまう。という記述。

 そのとおりで、医師たちは自然治癒力を期待をしています。とにかく風邪さえも治す薬がないのですからね。(咳止め、鼻水を止める薬、炎症を抑える薬で様子をみているだけ)「私が病気を治してやる」なんて思っているのはごく一部の傲慢な医者だけ。
 ガンでさえ、外科的に切除するのは別として、抗ガン剤の効果とやはり免疫力による自己治癒力に期待して様子をみているのです。

 この方がある病院で看護師さん相手の講演をした後、その病院の総婦長さんが講演の内容に感激しながら、「昔の医者は患者の顔色を見て、手で体温と脈拍を読み、聴診器をあてればどこが悪いかわかったのに、今の医者はデータを見なければわからないのです」―――。
 これもそのとおりですが、医学も進歩していますから、データなしで診断しようとしたら、アウトです。

 後の話は余分でした。
 否定的なことを書いてしまいましたが、ここの部分をも含め、興味深く読めた一冊でした。