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*(音符)*『涙を越えて』

2009-09-26 07:17:00 | 徒然なるままに
9月25日(金)

連休明けから合唱コンクールの練習が本格的に始まった。
各学年2クラスずつしかないのに、コンクールというのもかなり厳しい。
昨今では、コンクール形式をやめ、『合唱祭』として、発表会形式の学校も多い。
私は、どちらにもメリット・デメリットがあると思っている。
コンクール形式だからこそ、競い合って互いに高め合うメリットと、負けたときの落ち込みから浮上するまでのフォローは結構大変だというデメリット。
発表会形式だと、勝ち負けを気にせず合唱だけを楽しめるメリットと、勝敗がかかっていないという緊張感のない取り組みは
「このくらいでいいかぁ」
と最後の詰めが甘いというデメリット。

どちらの良さも生かしながら、コーラス自体を楽しんで、精一杯がんばった結果に、気持ちよく泣ける合唱コンクールになれば良いと思っている。


2年前、療養休暇をとられた先生のピンチヒッターとして、7月から1年生の担任をしたことがある。
担任が療養休暇に入るくらい、いろいろな問題を抱えたクラスで、あの頃の私の帰宅時間は、夜中の2時を回るのことも珍しくなかった。
あのクラスが、ひとつにまとまり、みんなに私が担任だと認められるきっかけとなったのが、合唱コンクールだった。
当日を迎えるまでが本当に大変だった。
優勝どころか、全員が舞台にきちんと並ぶことさえできるかどうかあやしい練習振りだった。
歌う曲は、学年課題曲は『フェニックス』、自由曲は『涙を越えて』
私も、全パートを歌えるように、通勤の車の中で練習した。

何度も、壁にぶつかり、泣いたり怒ったり、それでも歌が仕上がってくると、きれいなハーモニーが聞かれるようになった。
その輪の中にどうしても入っていけずに、かき混ぜてしまう生徒がいた。
カウンセラーの先生に相談したところ、
「その子は、耳が良すぎて、イライラしているんじゃない?」
と言われた。
思い当たる節があったので、私はそれを逆手に取った。
その生徒をそばに呼び、
「あなたの耳の良さを見込んで、お願いがあるの。引き受けてくれる?みんなの歌を聞いてみて、誰の音が外れているのか、わかったらおしえてくれる?」

そうしたら、あれだけ騒いで暴れては締め出されるようなことばかりしていた生徒が、じっとみんなの歌に耳を傾けるようになったのだ。
そして、私に、的確に感想を言ってくれるのには本当に驚いた。
彼に役割を与える。自分にしかできない、自分だからこそできる、自分を信じて任せてもらえる仕事。
普段の生活の中ではやんちゃぶりは相変わらずだったが、ラスト3日目ぐらいからは合唱にもちゃんと参加するようになった。

そうして向かえた当日。
私は、とにかく、全員が舞台に立ってくれるだけでOK*(びっくり2)*だと思っていた。
クラス名を呼ばれて、元気よく返事をして、あの彼までがきちんと詰襟のフォックを止めて、整然と並び終えた瞬間から、もう涙*(涙)*が止まらなかった。
みんなの歌声を聞きながら、いろんなことを思い出しては涙*(涙)**(涙)*。
一人ひとりの大きな口を開けて歌っている、まじめな顔を見ては*(涙)**(涙)**(涙)*。
それだけで十分だったのに、優勝が決まった瞬間、*(涙)**(涙)**(涙)**(涙)**(涙)*

教室に戻ったら、扉の前で例の彼が待ち構えていて、
「呼ぶまで廊下で待ってて」
と私を締め出した。
呼ばれてから戸を開けたとたん
「せーの!『私たち、優勝しました~*(びっくり2)*』」
とみんなが叫んで迎え入れてくれた。
びっくりしながらも
「優勝おめでとう*(びっくり2)*」
とニッコリ笑顔で拍手を送ると、また例の彼が
「ここは泣くところだろう?何笑ってんの」
と言うので、
「みんなが舞台に立ったところから泣きっ放しだったよ。でも、今は本当にうれしいんだもん。
今日は一人もお休みもなく、全員参加してくれただけでもうれしいのに、優勝までしちゃって・・・。
あんたたちは偉い*(びっくり2)*」

そして、「みんなで『涙を越えて』を歌おう!」ということになったのだが、指揮者の生徒が、
「今日は、みんなと一緒の側で歌いたいから、先生が指揮して。先生の指揮で歌いたい。」
と言ってくれた。
あの時、みんなで歌った『涙を越えて』は、一生忘れられない。体育館で聞いたの以上にすばらしい歌だった。
なんと言っても、みんなが笑顔だった。
いろんなことがあったクラスだからこそ、その涙を越えて勝ち取った『優勝』だった。
『どんなことがあっても、全員で歌う。誰もハブかない。27人で歌う最初で最後の合唱コンクールを最高ものにする!』
優勝はそのご褒美だったと思う。


当時1年生だった彼らも、今は3年生。
クラスは別々になっても、それぞれのクラスでがんばっていることだと思う。
『フェニックス』や『涙を越えて』の歌を聴くたび、あの頃のことを思い出してくれているだろうか・・・。
今度は、現勤務校の合唱コンクールとはぶつからない土曜日にあると言うことなので、みんなの最後の晴れ姿を見に、歌を聴きに行って来ようと思う。*(音符)*

*(音符)*『涙を越えて』こちらで視聴できます
http://www.youtube.com/watch?v=Gcszzopka_k