10月10日(土)
今日は、上野に、『シカン展』と『古代ローマ帝国の遺産』を見に行った。
『インカ帝国のルーツ・シカン展』http://www.tbs.co.jp/sicanten/(~10月12日まで・上野科学博物館)は、今日が2回目。12日に会期が終わる前に、もう1度見たかった。
この夏は『シカン展』に始まり、『海のエジプト展』『トリノエジプト展』と、古代文明展づくしだった。
先日、ツタンカーメン王の墓を発掘したハワード・カーターを主役にした、山岸涼子著『ツタンカーメン』を読んだ。
遠征先で征服した国の文化財を掻っ攫っていくのとはわけが違う、『発掘』と言う作業の大変さと、葛藤、ロマンが見事に描かれていて面白かった。
『シカン』を発掘した島田泉氏と、ハワード・カーターがダブり、ぜひ、もう一度見てみたかったのだ。
前回は、展示物を中心に見たが、今回は会場で上映されている発掘作業のようすを中心に見た。
12~15メートルの深さの墓を掘り進み、総重量1,2トンの副葬品の発掘、調査、修復の作業は、なんと大変で、地道で、繊細で、ワクワクする作業だろう!
インカ文明以前の文明『シカン』。今も調査中ということだが、これからも新しい発見や、それに伴って明らかにされている謎解きが楽しみだ。
『古代ローマ帝国の遺産』-栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ-http://pr.enjoytokyo.jp/090915rome/月19日(土)~12月13日(日)(国立西洋美術館)も面白かった。
この展覧会を見るに当たり、ギリシャ・ローマの神話学を予習して行ったのだが、そういう神話にまつわる大理石像よりも、実在した人物の石像の方が多かった。
高校時代、石膏デッサンでおなじみだったアグリッパが、初代皇帝アウグストゥスの軍事参謀だったことを知った。
もっと、古代ローマ帝国について勉強してから来れば、より面白く見ることができたかもしれない。
会場に入る前に見たローマの町の成り立ちや、都市構造、建築物のすばらしさや、展示の最後で見たポンペイの町の再現を見ると、ローマ文明は、芸術作品よりも、建造物のほうがずっと面白く、レベルが高い。
芸術のほうは、どうしてもギリシャ芸術の模倣でしかない。本家本元にはかなわないんだなあと思った。
だけど、ローマのすごいところは、征服した国の文化を否定せずに、良いところは積極的に取り入れて、アレンジして、独自のものを生み出そうとするところにある。
宗教だってそうだ。ギリシャの神々を自分たちの宗教になぞらえて、一体化させてしまうのだから。
多神教と言い、日本と似たようなところがあり、なんだかすごく親近感を覚えた。
天才政治家ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)の遺志を継いだ、初代皇帝アウグストゥスの政治手腕はすばらしいものがある。
彼は、カエサル(シーザー)暗殺に学び、それまでの統治者のように、自分だけで権力を握ろうとはせず、自分は『ローマの一市民』と言うことを強調し、元老院の意見なども取り入れ、バランスよく政治を行った。
道路や水道の整備、市民の生活の保障など、今の政治家たちのお手本のようなところがたくさんある。
一番感心したのは、文明だけが高度で進んでいても、文化が伴っていなくては国力としては不十分だと言って、それを実践していること。
古代ローマ人は芸術を愛し、自分たちの生活自体を楽しむことも大切だと考えていた。
特に、火山の噴火で埋もれた悲劇の町ポンペイの人々は、自然嗜好が高く、どんな小さな家にも庭園を作り、その周囲の壁や家の中の壁に木々や花の風景画を飾り立て、より広がりのある空間を演出していたといわれる。
ローマ帝国の栄光と平和は、名君アウグストゥスの治世の下、市民の誇りと希望、そして、平和を愛する心が作り出したのだと思った。
どちらの展覧会も、3D映像によってバーチャルに再現された発掘状況や、それから想像される当時の様子や人物像は、今の時代ならではの技術を感じた。
と同時に、そういう技術も持たない古代の人々の、人間の力だけで作った建造物や精密な装飾品、リアルな石像からミイラまで、本当にその技術の高さや職人技と発想の豊かさには脱帽する。
教育現場では、4大文明以前や日本なら縄文・弥生時代などの、歴史的にははっきりしないような時代については、教科書には載らない、授業もしなくなるということを聞いた。
確かに、私たちが小・中学生の時に習ったものとは変更されたこともたくさんあるのだろう。
だからと言って、授業でそれらを教えなくなると言うのはどういうことなのだろう。
授業時数が減っているのに、覚えなくてはならない新しい歴史的なことが増えている以上、優先順位として、そんな不確かな古い時代のことに、時間を避けられないと言うことなのか・・・。
『古きをたずねて、新しきを知る』
人類のルーツや、生い立ちを知ることも、大切な勉強だと思うのだが・・・。
今日は、上野に、『シカン展』と『古代ローマ帝国の遺産』を見に行った。
『インカ帝国のルーツ・シカン展』http://www.tbs.co.jp/sicanten/(~10月12日まで・上野科学博物館)は、今日が2回目。12日に会期が終わる前に、もう1度見たかった。
この夏は『シカン展』に始まり、『海のエジプト展』『トリノエジプト展』と、古代文明展づくしだった。
先日、ツタンカーメン王の墓を発掘したハワード・カーターを主役にした、山岸涼子著『ツタンカーメン』を読んだ。
遠征先で征服した国の文化財を掻っ攫っていくのとはわけが違う、『発掘』と言う作業の大変さと、葛藤、ロマンが見事に描かれていて面白かった。
『シカン』を発掘した島田泉氏と、ハワード・カーターがダブり、ぜひ、もう一度見てみたかったのだ。
前回は、展示物を中心に見たが、今回は会場で上映されている発掘作業のようすを中心に見た。
12~15メートルの深さの墓を掘り進み、総重量1,2トンの副葬品の発掘、調査、修復の作業は、なんと大変で、地道で、繊細で、ワクワクする作業だろう!
インカ文明以前の文明『シカン』。今も調査中ということだが、これからも新しい発見や、それに伴って明らかにされている謎解きが楽しみだ。
『古代ローマ帝国の遺産』-栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ-http://pr.enjoytokyo.jp/090915rome/月19日(土)~12月13日(日)(国立西洋美術館)も面白かった。
この展覧会を見るに当たり、ギリシャ・ローマの神話学を予習して行ったのだが、そういう神話にまつわる大理石像よりも、実在した人物の石像の方が多かった。
高校時代、石膏デッサンでおなじみだったアグリッパが、初代皇帝アウグストゥスの軍事参謀だったことを知った。
もっと、古代ローマ帝国について勉強してから来れば、より面白く見ることができたかもしれない。
会場に入る前に見たローマの町の成り立ちや、都市構造、建築物のすばらしさや、展示の最後で見たポンペイの町の再現を見ると、ローマ文明は、芸術作品よりも、建造物のほうがずっと面白く、レベルが高い。
芸術のほうは、どうしてもギリシャ芸術の模倣でしかない。本家本元にはかなわないんだなあと思った。
だけど、ローマのすごいところは、征服した国の文化を否定せずに、良いところは積極的に取り入れて、アレンジして、独自のものを生み出そうとするところにある。
宗教だってそうだ。ギリシャの神々を自分たちの宗教になぞらえて、一体化させてしまうのだから。
多神教と言い、日本と似たようなところがあり、なんだかすごく親近感を覚えた。
天才政治家ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)の遺志を継いだ、初代皇帝アウグストゥスの政治手腕はすばらしいものがある。
彼は、カエサル(シーザー)暗殺に学び、それまでの統治者のように、自分だけで権力を握ろうとはせず、自分は『ローマの一市民』と言うことを強調し、元老院の意見なども取り入れ、バランスよく政治を行った。
道路や水道の整備、市民の生活の保障など、今の政治家たちのお手本のようなところがたくさんある。
一番感心したのは、文明だけが高度で進んでいても、文化が伴っていなくては国力としては不十分だと言って、それを実践していること。
古代ローマ人は芸術を愛し、自分たちの生活自体を楽しむことも大切だと考えていた。
特に、火山の噴火で埋もれた悲劇の町ポンペイの人々は、自然嗜好が高く、どんな小さな家にも庭園を作り、その周囲の壁や家の中の壁に木々や花の風景画を飾り立て、より広がりのある空間を演出していたといわれる。
ローマ帝国の栄光と平和は、名君アウグストゥスの治世の下、市民の誇りと希望、そして、平和を愛する心が作り出したのだと思った。
どちらの展覧会も、3D映像によってバーチャルに再現された発掘状況や、それから想像される当時の様子や人物像は、今の時代ならではの技術を感じた。
と同時に、そういう技術も持たない古代の人々の、人間の力だけで作った建造物や精密な装飾品、リアルな石像からミイラまで、本当にその技術の高さや職人技と発想の豊かさには脱帽する。
教育現場では、4大文明以前や日本なら縄文・弥生時代などの、歴史的にははっきりしないような時代については、教科書には載らない、授業もしなくなるということを聞いた。
確かに、私たちが小・中学生の時に習ったものとは変更されたこともたくさんあるのだろう。
だからと言って、授業でそれらを教えなくなると言うのはどういうことなのだろう。
授業時数が減っているのに、覚えなくてはならない新しい歴史的なことが増えている以上、優先順位として、そんな不確かな古い時代のことに、時間を避けられないと言うことなのか・・・。
『古きをたずねて、新しきを知る』
人類のルーツや、生い立ちを知ることも、大切な勉強だと思うのだが・・・。