明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1799)「もっと検査せよ」「ロックダウンは不可避」と叫ぶ渋谷健司氏はWHO事務総長の側近なのか?―新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(16)

2020年04月24日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200424 23:30)

今回から新型コロナ感染症のいまについて、さらに突っ込んだ論議に踏み込みたいと思います。
そのはじめに、このところ多数のメディアに登場している、渋谷健司氏の唱えていることを検討していきたいと思います。


渋谷氏のインタビューを掲載したDIAMOND onlineから


ダントツに低く抑えられている日本の死者数

渋谷氏の唱えていることを捉え返す前に、いま世界で発表されている新型コロナウイルス感染症での死者数を、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計から見ていきたいと思います。
1万人台を越えている上位5か国、千人台を越えている国の中で、中国以上の国。そして100人台にとどまっている国の中で、日本と韓国を取り上げます。

アメリカ 50,372人 イタリア 25,549人 スペイン 22,157人 フランス 21,856人 イギリス 18,738人 
ベルギー 6,490人 ドイツ 5,575人 イラン 5,481人 中国 4,632人
日本 328人 韓国 240人


これらを見る限り、日本は桁違いに死者数を抑えていることが分かります。対人口比で見れば、韓国よりも少ない死亡率を維持しています。
ただしこれらの統計にはいろいろな難点もあります。とくに医療が激しく崩壊した、アメリカやイギリスでは、たくさんの在宅死や施設死が統計に入っていないそうです。
他方で多くの高齢者が合併症で亡くなっていますが、どういう場合に新型コロナ死と捉えているか、詳しい情報がありません。このため「なんでもコロナ死と数えすぎて過大にされている」という批判もあります。

これらから、各国の死者数は、まだまだ上下する可能性があります。中国でも、後になって数えられていなかった死者数が加えられて、一気に1.5倍になった例があります。
つまりこれらの数値は、大きな誤差を含みうるものですが、それでも大雑把な傾向はつかめるし、いまのところ328人に抑えている日本の死亡者数は大変、低いと言えます。

むろん「少ない」とは言え、328人の方が亡くなったのはとても悲しいこと。ご遺族のみなさまにお悔み申し上げます。
しかしそれを踏まえた上でも、私たちのできるだけ死者を減らそうとの努力は、これまでのところ実を結んでいるのは確かです。ぜひこのまま、低い死亡率を維持したいものです。


渋谷健司氏はWHO事務局長上級顧問と言うけれど・・・ 

しかし、この間、マスコミにたびたび登場している数人の方が、「そんなことはない」と激しい口調で論じ続けています。
中でも渋谷健司氏は、「もう東京は手遅れ」「ニューヨークの今は東京の数週間後」「検査を絞ってきたからすでに市中感染が蔓延」「ロックダウンは不可避」と述べ続けています。日本はすでに失敗していると言うのです。
もちろんこの、世界の中でもダントツに低い死者数についても、まったく評価しません。それどころか検査を絞ったがために、死者はこれからものすごく拡大するのだと断定しています。

この方の一つの典型を表しているとも言える、DIAMOND onlineに載ったインタビュー記事をご紹介します。
「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」WHO事務局長側近の医師が警鐘 20200409
https://diamond.jp/articles/-/234205?page=5

最初にこの方の発言を聞いた時「なぜこんなに不安を煽るのだろう?」と思いました。
また「WHOがこんな形である国の政府の施策を全否定することなどあるのだろうか?」「全世界の感染症対策でWHOが忙しい時に、事務局長の側近がロンドンにいて、日本のマスコミにたびたび露出できるのはなぜだろう」とも思いました。
それでWHOのホームページから、渋谷氏のことを検索してみて分かったのは、渋谷氏が「事務局長の側近」とは言い過ぎではないかということでした。感染症対策を司っているわけでもないのでは。

HPを見る限り、渋谷氏は「WHO Digital Health Technical Advisory Group(WHO デジタルヘルス技術アドバイザリーグループ)」の一員でしかありません。
「デジタルヘルスに焦点を当てた医療エコシステムにおけるデジタルヘルスプログラムと政策、人工知能と健康、倫理、ガバナンスとセキュリティに関する比類のない範囲の経験と知識を結集する20人の有名な専門家で構成されている」と紹介されています。
若手の多いグループで、初めての会合が2019年10月24日から25日まで、ジュネーブのWHO本部で行われています。

グループのメンバーの略歴中に、渋谷氏とWHO事務総長との関係が、以下のように説明されています。
he was appointed as Special Advisor to the Director-General of the World Health Organization on health metrics and data. 
(彼は、世界保健機関の事務総長に対する、保健指標とデータ面におけるスペシャル・アドバイザーとなった)
https://www.who.int/health-topics/digital-health/dh-tag-biographies#shibuya


WHO ホームページより

どうも渋谷氏は、保健指標とデータの面での、事務総長のスペシャル・アドバイザーの肩書を持っているだけで、WHO感染症対策チームの中にはいないし、その点での側近として働いているのでもないようです。
だからこの感染症対策で相当大変な時に、ジュネーブではなくロンドンにいて、繰り返し日本のマスコミに登場できるのでは?
だとすれば「事務総長の側近」と紹介されたことを、訂正しないのはとても不誠実ではないでしょうか。大変、強いトーンでの発言を繰り返しているからなおさらです。まるで事務総長の、ないしはWHOの見解であるかのように見えてしまうからです。

続く

次回も渋谷健司氏について書きます。どうも不可思議なことが多いので、さらに調べていったら、なんと福島とのつながりが出てきました!上昌広氏という人物も一緒に・・・

#新型コロナウイルス #パンデミック #医療崩壊 #渋谷健司 #WHO事務局長上級顧問 @安倍晋三

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