明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1805)クラスター潰し戦略と行動変容-新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(21)

2020年04月30日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200430 23:30)

新型コロナウイルスに関する考察の続きです。

クラスター潰し戦略と行動変容とで、一度、感染は抑え込まれた

新型コロナ感染症における日本の感染者数・患者数が、ひとたび確実に下がってきています。
東京都の本日30日の新たなPCR陽性者数は46人。このところ26日72人、27日39人、28日112人、29日47人、30日46人と推移していますから、明らかに下降局面を迎えています。
その理由の一つは、感染者のすべてが隔離されていなくても、感染の爆発的拡大が起こるわけではないこと。感染拡大は3密などの特定条件下で起こることをクラスター対策班が見つけ、そこを申し訳ないけれども、閉じていただいたからです

これで武漢からの第一波が抑えこめましたが、その後、世界各国がロックダウンする中で、ヨーロッパからの帰国者などによって、武漢のものから変異したウイルスが持ち込まれ、大きな感染拡大が始まりました。
この段階で「クラスターが追いきれない」状態、感染経路が見えない事例(孤発例と呼ばれました)が増えました。「クラスター戦略の行き詰まり」とも言われましたが、その段階で、人々が接触を8割減らす「行動変容」戦略が始まりました。
この中で目指されたのは、人々の接触機会の多くを減らすことで、感染拡大のスピードを一気に落とし、再度、クラスターが見えるようにすることでしたしたが、ともあれ確かに感染拡大のスピードを落とすことには成功しました。


東京都の検査陽性者と患者の状況と数(30日19時30分東京都発表)


PCR検査が少ない中で患者数の低下はどう判断できるのか

ところで一部の方はまだ「この数値は信用できるのだろうか。低下は望ましいけれども、何を根拠に正しいと言えるのだろうか」という思いの中におられるのではと思います。
これに対して、4月22日の専門家会議の記者会見のときに、北海道大学の西浦博教授が、この点を尋ねた記者質問に答え、的確な回答を出してくださいましたので紹介します。
西浦さんひゃ、「確かに患者数の増大に検査のキャパシティが追いつかないと、増減の傾向を把握できなくなる恐れがある」ことを述べた上でこう言いました。

一つには重症者の様子を見ているのだそうです。「検討する感染者の重症度を一定のものにする。いまの時点だと両側肺炎のような重症度が比較的高い人に限って、その増減を見ることで、患者数の増減を確実に捉えている」
「他にも受診者数であったり、発熱に関する相談件数であったり、確定患者数に必ずしも頼らずに、ほかの辺縁的な症候群、みなさんがどういう症状を呈したかということに基づいて、集積したデータを分析している」のだそうです。
これらを組み合わせつつ、大きな齟齬をきたしてないことを確認しながら、動向を追い続けてきたといいます。聞いていて納得しました。

人との接触を8割減らす10項目とは? 専門家会議が会見(2020年4月22日)
YouTube 2020/04/22 ・ 制作者 THE PAGE(ザ・ページ)(1時間34分20秒ぐらいから西浦さんが答えています)
https://onl.tw/uEXFxnb


記者の質問に丁寧に答える西浦博北海道大学教授


新型コロナ感染症対策として安倍首相の交代を! 

あくまでも感染拡大のスピードが落とせたのは「一度」ですが、それでもこれは、私たちの頑張りで実現されていることです。医療者、保健所、専門家会議やクラスター対策班、そして自粛や感染防止で努力した私たちみんなの成果です
一方で、感染症対策の両輪であるべき経済補償は、何も進んでいません。アベノマスクすらまだほとんど届いてない。いや届く前に多くの方がずっと素敵なマスクを自分で仕上げています。アベノマスクなど何の意味もなさない。
それどころか感染症を抑えこんでも、このままでは生活の困窮から亡くなってしまう人がでかねません。その惨劇の連鎖がまた、感染の再拡大を招くかもしれない。もはや新型コロナ感染症対策として、安倍首相を辞めさせる必要があります。


新型コロナ対策としてこの方の更迭が必要です!

その上で、少し時間が稼げるこの時期に、ぜひとも病院・診療所・保健所への手当てをあつくするべきです。長きにわたる医療費削減、保健所を半分にまで削り尽くしたがゆえに、私たちは医療崩壊の悲劇の瀬戸際に立ちました。早急に流れを変えなくては。
また人々の健康状態をアップし、免疫力をあげるために、真っ当な財政政策が必要です。10万円給付1回ではとても足りない上に遅すぎる。それならば、手っ取り早く消費税をゼロにするのが効率的です。
さらに防衛予算=「国を守るためのお金」とされているものを、大幅に国民・住民の生活の手助けにまわすべきです。いま人々の暮らしを守らなくて、国の何を守るというのか。

みなさん。声をあげましょう。民主主義の力=下からの声でこそ、新型コロナ禍のもとでの、社会的経済的苦境を越えていくことができるのです。

#新型コロナウイルス #パンデミック #クラスター対策班 #専門家会議 #PCR検査 #3密 #行動変容 #アベノマスク @安倍首相

***

記事にご寄付をいただける場合は以下からお願いします!自由に金額設定できます。
名前が「森田俊屋」になってしまっていますがご愛嬌ということで・・・
https://www.paypal.me/toshikyoto/500JPY

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に向けて(1804)「町を歩いている無自覚な感染者」はそれほど感染を拡大させていない!-新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(20)

2020年04月30日 07時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200430 07:00)

新型コロナウイルスに関する考察の続きです。

感染者数・患者数の低下をどう見るか

国内の感染者数(正確にはPCR検査陽性者数)、および患者数がピークアウトに向かっているように見えます。


東洋経済inlineによる4月29日の集計 感染者数と患者数が同じカーブを描いて低下しつつある

最も感染者の多い東京都では、4月29日の新たな陽性者は47人でした。26日72人、27日39人、28日112人、29日47人です。


東京都による4月29日19時30分発表のデータ


東京では、連日100人以上、新たに入院・隔離措置が必要な人が増えていて、さぞかし医療者へのストレスが大きいだろうと思っていたので、その点で少しほっとする思いがします。

しかし「PCR検査が少ないので、この数は実体を反映していないのでは」という声もあると思います。
誰もが本当に、感染拡大が収まっていくことを望んでいるわけですが、しかし指標となる数値が信用できなければ、「望ましくなってきた」と思えないのも当然です。
これまで指摘してきたように、数値が信用されないのは安倍政権の責任です。そもそも安倍首相は、感染症対策を医療界に丸投げしていて、何がどうなっているのかも理解していません。

ニューヨーク在住の友人とやりとりしたら、「自分の身近でも亡くなった人が複数いて、悲しみに暮れているものの、それでもみんな穏やかに暮らしている。クオモ知事が毎日丁寧な説明をしてくれることが大きい」と語っていました。
安倍政権は、これをほとんど行わない。他の閣僚がするわけでもない。残念ながら野党の誰かが、それを代わって行ってくれるわけでもない。だから、多くの人々が大きな不安の中にいます。いまなお、政治が不在なのです。
それでなんというか、僕は自分なりに理解した日本の医療界の、感染症対策のポイント説明を続けています。今回も、一度、感染拡大を抑えることに、成功したと見てよいと思っています。その根拠をお伝えします。


10人のうちの8人は他者に感染させない。だから徹底隔離でなくても感染拡大にいたってない。

二つのことを書きます。一つは日本の医療界が採っている戦略がなぜいま、一度、感染の抑制に寄与しているのかという点と、PCR検査が少ない中で、なぜこの数値に信用がおけるのかです。今回は1点目について書きます。
これまでも繰り返してきたことですが、専門家会議やクラスター対策班などを軸とした日本の医療界が採っている戦略は、FETP(フィールド・エピデミック・トレーニング・プログラム)に基づいて、感染拡大のリアリティをつかみ、そこを封じることでした。
この際、重要なのは、新型コロナウイルスに感染した多くの人々の10人のうち8人までが、他者に感染させていないことでした。残りの1人も1人にしか感染させていない。しかし最後の1人が複数に、ときには10人以上に感染させていたのでした。


NHKスペシャル 「新型コロナウイルス 瀬戸際の攻防」より

当初は、性別や年齢などの属性を調べても、それによって感染力が変わるわけではないと判断されました。では何が違うのか。多人数に拡大させている10人のうちの1人の、行動に特徴がありました。いわゆる3密のところに行っていたのです。
それでライブハウスやナイトクラブなど、とくに3密となっているところへ行かないこと。またそうした場の営業の自粛要請が行われました。これに多くの人々が積極的に協力することで、感染の第一波である武漢から入ってきたウイルスの、爆発的な感染拡大を未然に防げました。
ここで注目していただきたいのは、主に感染を大きく広げるのが、10人に1人であることです。この点に着目するがゆえに、「感染者の大きな部分をPCR検査で見つけて隔離する」方針は採らずとも、みんなの力で、有効な対策ができたのです。


NHKスペシャルの同番組より

この戦略が、クラスター対策班からは丁寧に説明されているものの、政府がまったく説明しません。安倍首相など、そもそも理解すらできていません。他の政治家も代わって説明してくれない。だから、人々にきちんと伝わってきませんでした。
このため「どうして町を歩いている、無自覚な感染者を隔離してくれないんだ」という不安が拡大してきました。
しかし端的に「町を歩いている無自覚な感染者」は、3密のところにいかなければ、ほとんど感染させないのです。しかも大半は医療の手を借りずとも治っていく。だから3密を避けるのは重要なポイントですが、これは、日本が独自に編み出した戦略です。

続く

***

記事にご寄付をいただける場合は以下からお願いします!自由に金額設定できます。
名前が「森田俊屋」になってしまっていますがご愛嬌ということで・・・
https://www.paypal.me/toshikyoto/500JPY

#新型コロナウイルス #パンデミック #クラスター対策班 #専門家会議 #PCR検査 #3密 @安倍首相

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする