明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2451)日本原燃が六ケ所再処理工場の9月末完成を断念 27回目の延期を検討中 やはり原子力はオワコン! とても危ないから一刻も早く廃炉⇒安全管理へ

2024年08月22日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20240822 23:30)

いつまでも再処理工場を完成させられない

日本原燃が青森県六ケ所村で建設を行っている再処理工場の完成をまたも延期しました。延期は27回目です。
前回は2020年9月に延期を発表。その後、「2024年上半期(4~9月)のできるだけ早い時期に完成」と宣言していたものの、この9月末までの完成の展望がまったくないため、またも延期の判断に至ったことが「関係者への取材」で分かったと報道されています。


NHK 青森NWES WEB 8月17日13時01分配信

もともとこの工場は27年前の1997年に完成する計画でした。
しかしたびたびトラブルが重なって延期が繰り返され、とうとう27回目の延期を迎えようとしています。このことを報じた二つの記事を紹介しておきます。(なおリンクが切れたときのためにPDF化したものも貼り付けておきます)

使用済み核燃料再処理工場の完成目標 2年半ほど延期を検討
NHK 青森NWES WEB 8月17日13時01分配信
https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20240817/6080023377.html
https://toshikyoto.com/wp-content/uploads/e2a972dd356422a9ff81be683d8bbd6f.pdf

六ケ所再処理工場(青森県)、完工2年半延期へ 日本原燃、「2026年度」で調整 27度目
東奥日報 8月17日5:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/aa6d88a87a42dc51c0d9e75e46375b6a977e4f4b
https://toshikyoto.com/wp-content/uploads/aa2058ef6458857402aa1d49ea653184.pdf


あまりに杜撰な審査申請書の提出の末に

なぜ延期となるのか。記事の中に、一つに原子力規制庁の審査が長引いているためだとありますが、ではどうして長引いているのかというと、日本原燃が2021年末に提出した審査申請書に大量の不備があったから。
約6万ページの申請書のうち、なんと約3100ページで落丁や記載漏れがありました。記載がまるまる抜け落ちた落丁が400ページ、記載漏れが800ページ、必要な計算結果の不記入が1000ページ、様式不備が900ページだそうです。
実はそれもあって前回、2022年9月に26回目の延期を発表したのですが、それから2年経ってもこの事態を越えられていない。


守田講演スライドより 左側の図は東京新聞の記事より引用

この点について、これまで「明日に向けて」でも詳しく論じてきました。
以下の記事をご覧下さい。

明日に向けて(2314)六ヶ所再処理工場が最後的に行きづまっている!-やっぱり原発はオワコン(2)
2023年4月9日
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/361758074b186f663509c4f909a21275
https://toshikyoto.com/press/8076.html

原子力政策は、本来、核燃サイクルによって「無限のエネルギーを得る」計画でした。
ウランを核分裂させた際に新たに生まれてくるプルトニウムを再処理によって抽出し、そのプルトニウムを混ぜたMOX燃料を作り、「高速増殖炉」で運転して、発電しながら使った以上のプルトニウムを新たに作り出す計画だったのです。

ところがそのための高速増殖炉もんじゅはトラブル続きの末に、廃炉になってしまいました。だから実は、プルトニウムを抽出してももはや意味などないのです。
そんな中で27回も完成を延期。しかも杜撰極まる審査申請書提出のはてに。ここに現場の当事者たちが、もはや展望とともに気概も失っていることが見えてきます。原子力がオワコン(終わったコンテンツ)であることはどう見ても明らかです。


危険性だけはしっかりある

六ケ所再処理工場なもはや完成などとても見込めません。何せ27回も延期しているのです。もはや死亡宣告を引き延ばしているようなもの。原子力政策の終わりを認めたくないだけです。
しかし大事なことは、そうして延期を繰り返している間に、危険性だけはしっかりと積もり積もってきていることです。

なにより六ヶ所再処理工場には、再処理を目的に全国の原発から送られてきた使用済み核燃料が、巨大なプールの中に貯蔵されています。その数、受け入れ限度である約3000トン。
さらに一部(約450トン)、試験的な再処理(アクティブ試験)を行ったのですが、このために生じた「高レベル放射性廃液」もまた大量に溜まっています。その数約210㎥


3000トンの使用済み核燃料が眠っている六ケ所再処理工場巨大プール 日本原燃HPより

この点で運転ができないからそれで良いわけではありません。ただちに再処理の中止。工場の廃炉を決定し、使用済み核燃料を「再処理」を待つためのプールでの貯蔵という不安定な保管をやめ、より危険性の少ない管理に移行すべきです。
「高レベル放射性廃液」にいたっては、冷却が止まってしまった場合、24時間で沸騰し始めてしまい、そのまま危機に陥ってしまいます。もはや実現などできない「運転」への愚かな努力をやめ、全ての力を廃液の安全管理への移行に向けるべきです。

しかしながら、この再処理工場の問題は、原発に反対する人々の中でもまだまだ理解が足りておらず、僕自身、これまで「明日に向けて」で十分に扱ってこれていません。
ここを越え、再処理工場の巨大な危機に立ち向かっていきたい。そのため、今後、この点の充実化を図ります。その意味でこの記事を「続く」と閉じます・・・。

続く

#六ヶ所再処理工場 #27回目の延期 #使用済み核燃料 #核燃サイクル #日本原燃 #原子力はオワコン #審査書に大量の不備 #高レベル放射性廃液 #もんじゅ廃炉 #原発核燃からの撤退を

*****

原子力がオワコンであることをしっかりつかむため、『原発からの命の守り方2024』を読む会を全5回で進めています。ぜひご参加を!
https://fb.me/e/EAAXRKvK1


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 明日に向けて(2450)高感度体... | トップ | 明日に向けて(2452)福島原発... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

明日に向けて(2401~2600)」カテゴリの最新記事