守田です (20201120 23:30)
● 川内1号機が送電を開始・・・しかし本当は新規制基準すら守っていない
17日に再起動した川内1号機が昨夜19日午後11時すぎから発電を再開しました。
今後、原子力規制委員会の最終検査を受け、「問題がなければ」12月中旬には営業運転に復帰する見込みとされています。
しかしそもそも新規制基準は「重大事故」が起きうることを想定し、その時のための対応を求めたもので、安全性を確保したものではありません。その点で再稼働は危険で認められないことを前号で書きました。
今回さらに指摘したいのは、九州電力が原子力規制委員会への新規制基準での審査の申請の中では作ることを約束していた「免震重要棟」を作らなかったことです。
約束を反故にし、新規制基準すらきちんと守っていないのです。本来ならこれで許可を取り消すべきなのに、規制委員会は「不快」を表明したまま、いままで運転を認めてきてしまいました。その点で二重に酷い。
免震重要棟は、大地震に見舞われた際の指揮所にすべき建物のこと。大地震のあとは大きな余震が続きますが、その中で事故対応ができることを求めたものです。
佐賀新聞 2015年12月26日
ところが九州電力は新規制基準をパスして二基の原発を再稼働したあとに、「免震重要棟」建設の撤回を表明。免震棟ができれば廃止するとしていた「代替緊急時対策所」を使用することに代えてしまいました。
これに対し原子力規制委員会は不快感や不信を表明したに関わらず、再稼働の許可を撤回しませんでした。これをみた他の電力会社が九電に追従。関西電力も免震重要棟建設を撤回してしまいました。
その点で、九電や関電の原発は、重大事故の発生への対処を求めた新規制基準すら十分に守らずに動き続けているのです。
東京新聞 2016年2月7日
● 免震重要棟とは
もう少し詳しく見ていきましょう。そもそも免震性とは揺れそのものを建物が吸収すること、耐震性とは揺れで建物が壊れないこと。指揮は揺れがあってはまともにできない。だから免震棟が求められたのです。
福島原発には、事故の直前に建てられたこれがあった。だからまだしも対応ができたそうです。それであれだけの被害が発生したのです。
このことを百も承知ならが、九電は免震重要棟建設を撤回して、旧来の「代替緊急時対策所」を使う言い出しました。ところがこの施設は耐震性すらない。このためその近くに耐震構造の「支援塔」を建てるのだそうです。
九州州電力が川内1,2号機の審査を申請したのは2013年7月。その際、免震重要棟を15年度に設置すると明記し、これに対し規制委員会は2014年9月に1,2号機を新規制基準に適合と判断。再稼働の認可を与えました。九電は2015年8月に1号機を、10月に2号機を再稼働させ、その後の同年12月に、免震重要塔建設計画を撤回したのです。時間的経緯からいって、完全なだまし討ちです。
しかし再稼働の許可の撤回はなされず、2016年9月13日にこれを了承してしまいました。九州電力も九州電力なら、規制委も規制委です。
東京新聞 2016年9月14日
これで九電と規制委に、いかなる信用をおけというのでしょうか?まったく信用できません。
こんなひどいやり方で再稼働を強行されている原発で何かが起こった時、まともな対応ができるとはとても思えません。
だからこそ、川内原発の再稼働をやめるべきなのです。この点を繰り返し主張していきましょう。
東京新聞 2016年1月27日
#九州電力 #新規制基準 #川内原発 #免震重要棟 #原子力規制委員会
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