明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2251)広島・長崎訪問を訪れてー講演動画をアップしました!

2022年10月13日 14時00分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20221013 14:00)

広島・長崎訪問報告をお届けします

この夏、広島、長崎と駆け抜けてきました。広島には4日から7日まで。長崎には8日から11日まで滞在しました。とても実りの多い旅でした。この報告を8月28日に京都市でさせていただきました。
少し時間が経ってしまいましたが、その動画をご紹介します。核と戦争の問題を捉え返す原点とは何かを探りながら語りました。


 平和記念公園と宇品港で思いを馳せてきました・・・

この夏の旅は、被爆地の痛みをさらにシェアし、今一度、戦争とは何か平和とは何かを問うためのものでした。
8月6日には、式典には参列できなかったものの、平和記念公園内をくまなく歩きまわり、もう何度目かですが、改めて感慨深くそれぞれの碑と向き合って来ました。


元安川対岸から見た原爆ドーム 2022年8月6日 守田撮影

7日に旧陸軍桟橋のある宇品港も訪れました。日本陸軍兵士の大半が海外へ出兵し、そのまま還らなかった地です。
そこからの輸送船の運航と上陸を担ったのが陸軍船舶隊で、宇品に司令部がありました。僕の父が所属した部隊でもありました。中国侵略戦争の際、世界で初めて上陸用舟艇を開発。「大発」「小発」と名づけて戦争で多用しました。太平洋戦争末期には特攻ボートを作って若者を米艦に突入させた隊でもありました。 


父、守田文也 陸軍船舶幹部候補生隊附陸軍少尉に任官して香川県豊浜に着任 23歳 19440707 父のアルバムより

父はその教官もしたようです。教え子たちの一部は、出兵を待って広島の島々にいる間に原爆に遭遇。直爆は免れましたが、被爆直後の爆心地に救援に入って奮闘しつつ、深刻な被爆を受けました。その名残りの場も取材してきました。


日本陸軍が開発した上陸用舟艇「大発」 父のアルバムより


日本陸軍が開発した上陸用舟艇「小発」 貨車から海に降ろそうとしている 父のアルバムより


長崎の痛みをもっとシェアしなければ・・・
    
長崎は二度目の訪問で初めて式典に参加させていただきました。拍手が圧巻で、参列している方たちの思いが心に飛び込んできました。
その後、平和公園内の碑を一つ一つ撮影し、原爆落下中心地、原爆資料館、追悼平和祈念館、そして長崎平和資料館などを訪ねました。
被爆したことは確実なのに、国に被爆者として認められず「被爆体験者」と呼ばれている方の講演も聴くことができ、その後、個人的にもお話を聞けました。


8月9日、式典に参加させていただきました

いろいろなところをまわって京都に戻りましたが、まだまだ学びが浅いと思っている時に、京都「被爆二世・三世の会」の仲間から、「今回の田上長崎市長の平和宣言は、はじめに長崎の怒りを高らかに宣言した渡辺千恵子さんに触れていて素晴らしかった。守田さんはもっとそこに学ぶべきだ」とありがたいご指摘をいただきました。

それでさっそく渡辺さんの著書『長崎に生きる』を購入して拝読し、やっと長崎から発せられてきた被爆者のピュアな声をきちんと拝聴することができたように思いました。また今回、原爆資料館で、背中一面にものすごいやけどを負った谷口すみてるさんの写真に強く引き寄せられたのですが、その谷口さんが、渡辺さんたちが立ち上げた「長崎原爆乙女の会」に合流されたこと、その中で会が「長崎原爆青年乙女の会」へと発展したことなどを知り、感慨深く思いました。この点も講演で語らせていただきました。


守田講演スライドより


資本主義の矛盾の根っこに戦争と原水爆がある!

総じて2つの被爆地の訪問を通じて思ったのは、現代社会、とくに資本主義の問題の一番の根っこは戦争であり、その頂点に原水爆があるのでは? ということでした。


第二次世界大戦終盤にアメリカが開発したB29戦略爆撃機 日本と朝鮮に壊滅的な空襲を繰り返した
ニューメキシコ州ニュークリアサイエンスミュージアムにて守田撮影

現代資本主義の中軸産業は軍事産業であり、それもまた核兵器を軸に形成されています。これまでの資本主義批判の中にこの点の捉え返しが今一、弱かったとは言えないでしょうか。
だから社会主義を志した人々が、核兵器や原発に手を染めてしまい、実はそのことで資本主義に呑み込まれてしまったのでは?


広島・長崎の虐殺に使われた核爆弾のレプリカ ロスアラモス・ブラッドバリーミュージアムにて 守田撮影

またこの点を解き明かすためには、日本は唯一の戦争被爆国であるという捉え方の誤りと向き合うことが、とても大切だと思うのです
国は被爆などしない。被爆したのは広島、長崎とそこにいた人々であり、さらには核実験の行われた場にいた人々です。被爆国という言い方は、多くの人々を被爆させてしまった国の責任をあいまいにさせてきています。

今後、これらのことをさらに深めていきたい。そのために広島、長崎への訪問をまだまだ繰り返そうと思います。ぜひご注目下さい。

#広島原爆 #長崎原爆 #宇品港 #陸軍桟橋 #陸軍船舶隊 #原爆落下中心地 #長崎原爆資料館 #追悼平和祈念館 #長崎平和資料館

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明日に向けて(2250)放射性廃棄物について学ぼう!ー原子力進めてはならない明確な理由がそこにある

2022年10月06日 23時00分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20221006 23:00)

岸田政権の無謀な原発推進―新増設などに立ち向かうため、この秋から来春にかけて、核と原発の問題の講演会、学習会を増やしましょう。「原発はオワコン」=終わったコンテンツであることを広めましょう。
今回はある方から「放射性廃棄物について話をするのだけれどまとまった資料はないか」と問われた際に、原子力推進側から出ているものを紹介しました。
批判的に読み解くべきものですが、実はぱっとみただけでも「うわあ、これはダメじゃん」と思うものもたくさん載っています。今回はその一部を紹介します。

「原子力・エネルギー図面集」について

僕がよく参考にしているのは、日本原子力文化財団が作っている「原子力・エネルギー」図面集です。
10章のコンテンツに別れていてそれぞれにたくさんのフリップが並べられています。

「原子力・エネルギー」図面集
https://www.jaero.or.jp/data/03syuppan/energy_zumen/energy_zumen.html

もちろん原子力を推進する立場から作られているものなので、批判的な目で見て頂きたいものです。
例えば、今回、みなさんに紹介するために、あらためてすべてのコンテンツを開いてみたら、「第1章世界および日本のエネルギー事情」や「第2章地球規模の環境問題」などのフリップが大幅に増えていました!
その多くが温暖化問題に関するもの。「温暖化」を利用して、原子力を推進しようとの意図があけすけに見えます。

それでも僕がこの図面集をご紹介するのは、一つには原子力を推進しようとしている人々の主張をしっかりと把握しておく必要があること。二つにその主張そのものの中に、原子力など推進してはいけない理由が示されてもいるからです。
とくに分かりやすいのは放射性廃棄物問題。これだけで原子力がいかに反倫理的で、反社会的なものなのかが分かります。


「高レベル放射性廃棄物の放射能の減衰」を見て下さい!

具体的に指摘しましょう。ぜひ以下をご覧下さい。

高レベル放射性廃棄物の放射能の減衰
https://www.ene100.jp/zumen/8-3-9

ウラン鉱石から作った核燃料1トンの放射能量は約1000ギガベクレルだそうですが、使用済み核燃料になるとなんと100億ギガベクレルにもなってしまう。1000万倍になってしまうのです!!
その放射能が減衰するといっても100年後でもまだ100万ギガベクレルあり、もともとも掘りだした時のレベルに落ち着くまでに、ざっとみても10万年以上はかかってしまう。
使用されているのは「対数グラフ」で、右に進むにつれてスケールがどんどん大きくなるので、1万年から100万年の間のどの辺か読み取りにくいですが、ともあれ危険性が充分低減するまでにとんでもない時間がかかってしまう。

この事実一つをとってみても原子力が進めてはいけないものだということが分かります!燃料の使用期間は約1年ぐらいですから、1年間の電気のために10万年も管理しなければならないものを生み出しているのです。
これは未来世代への暴力です。いや今日この日の発電でだって、より若い人に、子どもたちに、矛盾が押し付けられているのです。こんなもの、一刻も早く止めなくてはいけない。

ぜひこの図をあちこちで示して、「未来世代への暴力を止めよう!原子力政策を終わらせよう!」と訴えましょう。

注目動画
広島・長崎訪問報告 2022年8月28日講演


#原発はオワコン #放射性廃棄物 #原発新増設 #日本原子力文化財団 #原子力エネルギー図面集 #高レベル放射性廃棄物の放射能の減衰 #元にもどるまで10万年以上 #使用済み核燃料

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明日に向けて(2249)この秋、脱原発の声を大きく高めよう!できるだけたくさんの企画を!

2022年10月04日 17時00分00秒 | 明日に向けて(2201~2400)

守田です(20221004 17:00)

いまこそ脱原発の声を高めよう!

岸田政権が末期だそうです。大問題である自民党と統一教会の癒着を正すことができない中で、安倍元首相の国葬を強行したからです。
さらにいかに政権との対決へと高めていくのか。僕は脱原発こそが最も大きなポイントだと思います。ぜひこの秋、冬から春と、脱原発イベントをできるだけ行いましょう!


倉敷講演より 2022年9月11日 

このためにも捉え返しておくべきなのは、昨年、今年の国政選挙での野党勢力の敗北。僕は昨秋に、脱原発共闘がつぶされる中で起こったと捉えています。衆院選を前に、立憲も共産も、原発反対のトーンを著しく落としてしまったのが痛かった。
「原発に依存しない脱炭素社会の実現を」というスローガンで原発反対をあいまいにしてしまったため、対立軸が不鮮明になり、市民と野党の共闘の大きな敗北があったのだと思います。


「争点が思いつかない」と指摘した共同通信の記事 2021年11月1日


脱原発こそ最も鮮明で有利な対決軸

そもそも一昨年から昨春、東電柏崎刈羽原発で「不祥事」が連発し、規制委員会から「運転禁止命令」が出されました。裁判でも原発の運転を禁止する判決が続き、避難者訴訟でも国が敗北も重ねていた。
昨夏には黒い雨訴訟控訴審が画期的に勝訴し、過少評価されてきた被曝の危険性に大きくメスが入りました。その上、総裁選で核燃料サイクルの是非が自民党内の論戦の俎上に乗ってしまうなど、脱原発派にとって有利な流れがありました。


2021年4月、規制委員会が運転禁止を命令

これに対し、脱原発共闘つぶしが目指されました。「次の選挙で政権が取れるかも知れない。そのためにはもっと保守の人々の気持ちも満足させないといけない」という囁きで、反原発のトーンを下げるように仕向けつつ、刺客として連合芳野会長が登場。
強烈な共産党嫌いの表明で共闘に揺さぶりをかけ、原発反対のトーンをより落とさせたのです。残念ながらこのずるがしこい戦略を、市民と野党の共闘は打ち破れず、鮮明な争点を自ら手放し、結局衆院選、参院選と惨敗してしまいました。


日刊ゲンダイ 2021年10月13日


立憲はこの思惑にのせられ、ますます反原発から後退、そしてさらに大きく支持を失った 20211025 NNNの報道より


岸田政権の原発推進政策には展望がまったくない!

脱原発共闘の後退を見すえた上で、原発推進勢力の「反転攻勢」が強まっています。それが8月24日の岸田首相の「原発再稼働促進、次世代原発の開発・建設」発言につながりました。
しかし大事なのはその政策にはなんの展望もないことです!原発はもう終わってしまったコンテンツ=オワコンなのです。核燃料サイクルは完全に破たんしもんじゅも廃炉に。原発輸出もすべて失敗。原子力産業をリードすると宣言した東芝も倒産状態。


8月24日に原発推進に舵を切るも展望はまったくない!

なぜでしょう?もはや原子力にまったく展望がないからです。結局、巨大な危険性が除去できず、経済効率もひどく悪い。安全マージンを増しただけで経営的に成り立たないから世界のどこも買ってくれない。しかも原発は戦火の中に置かれたら最悪です。
いいところなど一つもないので、与党は今まで原発推進を明言しなかったのです。それでも原発復活に舵が切られたのは、国際原子力マフィアが自己維持のために無理を押し通そうとしているから。大事故の可能性も犯しながらです。


原発輸出はすべて失敗。左の写真はトルコ・ゲゼル市で SINOPへの輸出も民衆が食い止めた!


脱原発企画をできるだけたくさん行おう!

しかし展望がないので確実に破たんします。同時に一部の人々の利益のためなら多くの人々に危険を押し付ける、現政権の矛盾の象徴なので、私たちがきちんと対決すれば、市民ー野党勢力の巻き返しを実現しできます。
そうすれば深刻な事故の可能性を少しでも遠ざけ、脱原発の流れを強めることができる。その中で政権交代の展望だって切り開けます。だからこの秋から来春、できるだけたくさんの脱原発、反被爆企画を行いましょう!


備前講演より カフェランバーにて 蝦名宇摩さん撮影 2022年9月12日

やればやるだけ効果があります。規模は小さくても良い。なるだけたくさん、頻繁に行いましょう。それでまずは、来春統一地方選で脱原発派議員を増やしましょう!
そのためにも、この夏に僕は広島・長崎を8日間に亘って訪問するなどして、核の問題に関する見識をさらに深めてきました。その内容をどんどん解き放ちます!頑張りましょう。


高梁講演より。講演後に車座になってみんなでお話 蝦名宇摩さん撮影 20220910

注目動画 美浜3号機、地震が頻発しているのに再稼働?

#岸田政権 #安倍元首相国葬反対 #脱原発の声を高めよう #原発はオワコン #脱原発共闘の強化を #原発推進政策に展望はない #原発復活路線は確実に破たんする #脱原発企画を行おう

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