ローライ35系の合間にフジカミニ#1508XXが来ましたので見て行きます。フジカミニは女性向けのハーフカメラとして1964年9月に発売されたようです。翌月の10月10日の東京オリンピック開会式にギリギリ間に合ったということですね。まず、露出計が動かないとのこと。分解してみると赤リード線のベースへの半田付けが外れています。この部分の半田付けは経験的に非常に困難です。試しにリード線とベースを接触させてみるとセレンは生きていました。
生きているのであれば何とか半田付けに成功しました。エポキシ樹脂で補強をしておきました。可動部分の清掃とグリス塗布などをします。
定点合致式の置き針部分の構造。リペイントの場合はカシメを分離する必要があるので厄介な構造。
この時代のセレンは寿命を迎えているものが多いですが、まずまずの起電力を示します。
このモデルで多い不具合は巻き取りのスプールのスリップが早くフィルムを巻けないというもの。調整をしてからフィルムの巻上げテストをします。また、意外に貼り難い裏蓋のモルトも交換しておきます。
中々程度の良い個体です。純正のクサリストラップが見つかると良いですね。
OCNブログからgooブログに移行してすでに15年ほどになるようですが、今回、gooブログも閉鎖となるようです。他のブログに引き継ぐかも含めて検討しなければなりません。で、ローライ35系に戻りますが、シンガポールのローライ35ブラック(アルミ)#3314XXXの不具合個所を書き出しているところですが、まぁ、よくここまであるものだという感じ。・メーター不動・巻上げ固着・レンズ汚れ・絞り同調せず・ヘリコイドグリス抜け・ファインダー汚れ・トップ横ネジ欠品・カウンター進まず(戻らず)・シャッター低速止まり・巻き戻しダイヤルゴリ・レリーズボタン低い・電池接点腐食など多岐にわたっています。
長期に不動状態のためかメーター針の動きが渋いですがCdsも含めて生きてはいます。回路の修復をします。
スプールギヤ関係の動きが固着気味でしたので分解清掃をして分解清掃の済んだファインダーを取り付けます。チャージギヤの清掃とスローガバナーのメンテナンスもしておきます。
これだけ状態がよろしくないのに不思議に沈胴の摺動は良品の範囲でしたが、念のため分解調整をしておきます。
前玉の汚れが激しいです。慎重に汚れを浮かして傷を付けないように清掃します。
絞りダイヤルと絞り機構は完全に固定連動はしていませんので、絞り機構の動きが悪いと連動が不正確になります。その他、シャッターのメンテナンスをしておきます。
沈胴チューブを挿入してフィルムレールを取り付けます。次に底部リンケージ関係の清掃をします。
前玉の清掃とヘリコイドグリスを塗布して取り付け。∞調整をして距離リングを取り付けます。
カウンターダイヤルが粘って回転がスムーズでない個体が多いですが、駒数プレートを接着している両面テープの糊が溶け溶け出して、本体の側面に接触していることが原因の場合もあります。
ローライ35はレリーズボタンは誤操作をしないように深めに設計されていますが、シャッターの切れる位置調整は一般的なネジ式ではなく、レリーズピンにワッシャーを入れることで調整します。この個体の場合、1枚追加して組みます。
側面のM1.4ネジが1本欠品していましたので純正ネジで追加します。
その他、シャッター/絞りダイヤル前面ブレートのキズを研磨して外観清掃で完成。
先週末は運転会に出掛けておりまして、たまの外出で疲れて更新が出来ませんでした。青梅線にも二階建て車両(4号車-5号車)が導入されましたが、その両脇の車両はギュウギュウ詰めの大混雑となり困ったものです。で、PEN-FTが部品取りを含めて来ています。
まずは#2569XX から始めますが、全体時にはまぁまぁ動いているという感じ。しかし、シャッターダイヤルの動きと露出計指示窓との動きが連動しない部分がある。これはメーターのコイル部分の動きがスムーズでない可能性あり。
トップカバーを開けてみると・・あれ? この景色はしばらく前に見たことがありましたよね。電池室からのリード線を別ルートで引っ張っていてメーター基板もいじられています。
メーター針のピポット部のネジロックが(青) ? 今まで見たことがありません。恐らくオリジナルのネジロックを溶かして調整をしたものかと思われます。ここはメーカーの修理マニュアルにも「メーターが不良の場合は交換すること」としか記載されていません。いじっちゃダメということです。
ハーフミラーは? 殆ど素通しに見える板をカットしてセットされていました。意味が分かりません。この分では3台はUP出来ないと思いますのでしばらく作業に集中します。
ここからはいつものように洗浄したダイカスト本体を組み立てて行きます。まず、モルトを貼りました。
すごい半田付けになっていた電池室のリード線をやり直して組み立てます。
で、意外に幸か不幸か特に問題になるところはなく組立が進みました。ブログネタとしては困った状況。ハーフミラーは新品に交換します。
まぁ、同じ内容を3回続けても仕方ないしなぁ。電池室からの配線はオリジナル通りになっています。
ブラックモデルがお好きなオーナーさんです。次の#3101XXは製造が少し新しいですが塗装はヤレ気味ですね。フィルムカウンターが戻り不良です。また、PEN-FTの白塗料も黄ばんで(画像では写らない)いるので入れ直しをご希望です。
この個体はラッキーなことに未分解機でした。妙にいじられると作業がしにくい。駒数盤の動きが悪いです。
メンテナンスを終えたシャッターユニット。チャージギヤの摩耗もなく良い状態です。メインバネは条数の増えた改良型。右側部分はスローガバナー、真ん中のプーリを留めるダブルナットは緩みやすいので確認が必要。
ここでちょっと不具合。チャージでミラーユニットがロックされない時がある。これはフックの動きがスムーズでないため。戻りバネの劣化もあり。
同じ作業が続くとストレスが溜まりますね。1/700のウォータラインシリーズも好きで製作していました。私は母艦や戦艦ではなく、名もなく働く駆逐艦や潜水艦が好きです。駆逐艦は「陽炎型」で、今から30年以上前ですからエッチングパーツなどはなく、プラ部品を加工して細密化を図っています。潜水艦の方は製作途中(30年以上も)の艦形から伊号第58潜水艦かな? 忘れました。広島に落とされた原子爆弾をテニアン島まで運んだ帰りのアメリカの重巡「インディアナポリス」を雷撃して撃沈した潜水艦として有名。橋本艦長の戦記も読みました。
で、本体は完成。ハーフミラーは再使用としてあります。トップカバーの文字の色入れをやり直しておきました。
次は#3278XXですが、巻き上げレバーとダンパーの変形によりレバーがトップカバーと接触変形しています。
トップカバーを分離します。未分解機と思っていましたが、過去に分解を受けていますね。巻き上げレバーがかなり内側に入っています。
基板に入る前のリード線に抵抗が追加されています。普通は経時的に感度低下となるので、逆に抵抗を追加した意味が分かりませんが、色々な方の考え方もあるのでしょう。
では、ダイカストボディーから組み立てをして行きます。巻き上げレバーに変形があるため、(修正をすると折れる危険性)オーナーさんのご希望で、シリアル№が近い不動のブラックモデルから部品を調達してブラックモデル仕様とします。
この個体は比較的長期に渡ってブレーキナットが緩んでいたようです。左側の分離したテンションハンマーの裏側にナットが接触していた形跡があります。ナットが緩んだ初期は巻上げが重くなり、その後完全に巻上げがロックします。
完全なブラック仕様となりました。別のセルフレバーを使うと必ず水平がズレますので調整をしてあります。今回は個体数維持のためジャンク部品を活用して仕上げました。気になったのは、トップカバーの角などが不自然に摩滅していて真鍮が露出していること。使用過程による自然な摩滅は問題ありませんが、故意の真鍮出しは賛成できません。
みんな大好き42mmが付いて来たのを忘れていました。大口径の絞り機構故に、状態の悪い個体はフリクションが大きくなっていて正常に作動しないものがありますが、この個体も同じ状態でした。42mmを正常に使用するためには、カメラ側とレンズ側の両方が健康な状態であることが必要です。
ローライ35系の作業が続いていますが、あと数台かな。販売のための通常整備なので特に書くこともないと思いますから簡単にUPして行きます。この個体をパッと見て感じたことはドイツ製の#3239XXX レンズNr5326XXX ですがファインダーがシンガポール製と同じになっています。普通はドイツ製はガラス製のファインダーと思っていましたけど・・
私のノート記録によると#3252XXX Nr5491XXXがシンガポール製となっていますのでドイツ生産の最末期と言うことでしょうか。ローライ35は研究されている方が多いので、私のような只のリペアマンが断定的に無責任なことも言えませんが・・接眼部分を見てくださいね。
右側面に打痕があります。これは修正をしておきます。当初、側面のネジもドイツ製の頃ならマイナスネジでは? 付け替えかと思いましたが、両側のネジが揃っていますので、最後期には+ネジとなっていたようです。
巻上げ部分はネジのすり割りが痛んでいますので過去に分解を受けているようですが、ガラス製のファインダーを組立式のファインダーに交換されたわけでもないようです。もしそうであれば、ファインダーの清掃をしてから組み込むと思いますが、画像のようにファインダーは手が加えられた形跡はありません。透明テープの劣化具合もドイツ製の頃で整合性はあるようです。
レンズのヘリコイドグリスが抜けている以外はシャッターとレンズの状態は非常に良好でした。沈胴調整をした本体に組み込みます。
次のローライ35は#3092XXX で完全にドイツ製です。接眼部分の形が違いますね。レバーアテの欠損がありますが、その他は定番の不具合があります。気になるのは巻上げが非常に重いこと。
巻上げが重い原因の一つがレバー戻し用のコイルバネがダブルテンションが掛かっていました。なぜ強いテンションを掛けたか? 通常ではレバーが復帰しないからでしょう。
レバーが戻らない要因の一つが軸部に入る調整ワッシャーが足りないため、化粧ネジが擦れて(真鍮が露出している)抵抗になっているため。その他、ギヤの摩擦抵抗など色々な原因を取り除いて軽く巻き上げられて確実にレバーが復帰するようになりました。
メーターは作動しているのは良いですが、メーターユニット側のガラスが無くなっています。ドイツ製の頃は本物のガラスですが、透明ポリカーボネート板から切り出して接着しておきます。
シンガポールなど後期の生産機はすべて樹脂ガラスですから同じ仕様でしょう。このガラスが無いとトップカバーに付いている樹脂ガラスの接着がトップカバーから外れて脱落してしまうのです。但し、いくら硬質樹脂ガラスと言えども拭くたびにキズは付いていきますので、定期的に交換した方がスカッとして気分が良いですね。
三台目はクラシックですね。残念ながら元箱はないそうですけど、目立ったへこみや傷はないようです。皆さんはこのモデル好きですか? 私は何となく悪趣味のように感じて「プラチナ」のようなモデルの方が好きですね。まぁ、好みでしょうけどね。
全体的には劣化は少ないと思いますけど、何故か沈胴がスカスカで、レンズを下に向けるとストンと落ちてしまいます。35Sがベースですから沈胴の調整は非常に面倒です。
ローライ35は非常に整備性の良い優れた設計と感じていますが、クラシックのようにトップにホットシューを持って来るために→のような部品を後付けで追加をしたりしてあるのが好きではありません。また、メーター窓ガラスはユニット側のガラスが省略されて、その分、トップカバーガラスの厚みを厚くして1枚仕様に変更されています。
他の部分に目立つ劣化がないのに、沈胴チューブ部分のフェルトのへたりが大きいようです。手にした感触は通常のものより柔らかで密度が荒い感じ。厚みを計測すると約0.65mmです。通常の中古を計測すると約0.7mmでしたので、生産が新しいのに劣化が早いようです。フェルトの下に入る紙片で調整をしますが、紙片が厚くなると摺動の感触が固い感触になります。この不具合は、他の個体にも共通して発生している不具合かも知れません。
シャッター(レンズ)は新しいので特に問題はなく、分解清掃とグリス交換をしてあります。
∞調整後、化粧リングを接着しますが、接着面のネジ頭が従来の丸なべネジ(通常はなべ平)に変わっているので接着面が少ないです。通常35Sでは「HFT」が12時位置に来るように接着しますが、クラシックでは画像の位置に貼ります。
トップ面にホットシューが付きましたので、巻き上げレバーのストッパーは↗部分で受けるようになり、従来のレバーアテ(ダンパー)は廃止されています。
クラシックの発売は1990(平成2年)とのことですから、新しいと思っていましたが35年ほど経過しているのですね。