今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

いろいろやってますの巻

2022年07月30日 22時10分00秒 | ブログ

ここのところ作業が続いて腰痛も出て来ましたので、お休みしていた鍼灸院へ行って来ました。針の効果は主に血行の改善で、楽になったところで作業に入ります。特にUPをするような作業はないのですが、簡単にしておきます。先日やりましたWALZオートマットのお客様ですが、同じモデルの別個体が来ました。余程のマニアさんですね。全体の程度は良いのですが、レンズの曇りとカビが多いです。ZUNOWレンズは前玉は外気流入による自然の曇りですが、中玉はイヤな曇り方をしています。

幸い、分解清掃できれいになっていますが、このような曇り方をするレンズは、早い段階で再発をすることがありますので注意が必要です。

 

シャッターはセルフタイマー内蔵のコパル製SVで、安定した性能を持っています。

 

問題は裏蓋の脚部(後ろ側)が激しく陥没しています。2枚重ねの板材が盛り上がっています。修正を試みると、ベビーローライなどより材質が柔らかい感じで、同じようなつもりで力を掛けると大きく変形してしまいます。見えないところの品質が違うようです。

メンテナンスでかなり良いコンデションとなりました。

 

 

これはPENですが、初期の生産機の場合、このスプールナットが固着していて緩まないものがあります。ダイカスト側のネジ切りが、かなりラフですので、締め込むと噛み込んでしまい緩まなくなるようです。この個体は過去に分解を試みて果たせず、工具を滑らせた傷があります。私の仕業ではありません。

これも厄介な症状。ファインダー部の樹脂の劣化によりグレー色が白化しています。工数が無い中ですが、これは一皮むく作業になります。

 

これも多いな。駒数ガラスを接着しているエポキシ接着剤が経時で利かず剥離をするものです。古い接着剤の除去は無理をせず丁寧にすれば画像のように新品同様で取り出せます。

 

では、ダイカストボディーを正常して組み立てて行きます。

 

 

シャッターはガバナーはギヤ軸が固着気味で戻りが緩慢です。分解して洗浄します。

 

本体側とトップカバー側が完成。取り付けます。

 

 

ファインダー樹脂の白化はきれいになっています。目立った傷や打痕のない良い個体になりました。簡単なUPでした。

 

 

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暑いけど頑張りますの巻

2022年07月24日 10時40分00秒 | ブログ

暑い時期の焼付塗装は避けたいところですが、ご常連さんからPEN-EE2のサイドカバーの塗装剥離を何とかできないかとのご希望。ここは剥がれやすいですね。

 

この部分は材質がスチールでクロメートのような表面処理がされていますので、チープなプライマー無しの1回塗り塗装では塗膜の密着が弱く持たないのです。そもそもシボ革側に剥離した塗膜が付いて来るという・・

で、PENのグレーは白/黒の単純なナチュラルグレーではありません。そこに経時劣化の黄ばみが入っているので尚厄介です。特に今回のような小面積の部分塗装では調色する塗料の量もわずかですので余計に精密な調色を困難にします。まぁ、夜目遠目ということで。

これは極初期型のPEN-F #1195XXですが、PEN-Fの生産開始は1963年9月とのことですが、この個体は1964年2月の生産と思われます。現状は全くの不動状態で来ましたが、応急的に作動を見るためにアンダーカバーを外そうとしても片方のネジが固着していて、さらにすでに緩めようとしてネジ頭を損傷しています。仕方がありませのでカバーを強制的に取り去ります。

残ったネジを削り取ってタップでネジ山を再生させました。これでやっと作動を見ることが出来ます。暑い時にやりたくない神経を使う作業。

 

不動の主な原因はブレーキの固着でした。殆どの個体はブレーキが利かないだけですので作動には問題は出ないのですが、逆に錆やOリングの膨張などで固着となると作動に問題が出ます。当初の予定にはないブレーキのO/Hが必要です。

プリズムには黒点の腐食はありますが、極初期型の古い個体としては、それほどひどい状態でもありません。再使用とします。

 

では、いつものように洗浄したダイカストから作業を始めて行きます。

 

 

日曜日の朝は部屋の掃除の日。ファイルを片付けていましたら若い頃のロードレースの写真が出て来ました。富士スピードウェイのレースで3位に入賞した時です。今見ると痩せています。確か53kgだったので長身でも小排気量クラスに乗れたのです。

画像を撮り忘れましたが、ブレーキを留めるリングナットに工具を滑らせた形跡がありました。あちぁ~、ここは緩み止めのポンチも打たれていますので、一発で緩めないと永久に緩められなくなるのです。で、Oリングを外してみると・・やはり激しく錆びていました。これが原因でOリングが盛り上がり、ブレーキの固着になるのです。

シャッターユニットのメンテナンスとブレーキの調整をして正常に作動するようになりました。

 

画像は撮ってありました。過去に工具を滑らせた形跡があり、結局緩められなかったようです。ここは正ネジですが、締め込む方向に傷がありますので、或は左ネジと思い込んで締め込んでいたのかも知れません。

三脚環のネジ孔が微妙に合っていませんね。良く観察すると右側の孔が小判孔に修正してあります。これはダイカスト側の穴位置が不正確と思いますが、製造ラインでは救済のためにヤスリ加工をしたのでしょう。それでは生産数が上がるわけがありません。

この状態ではプリズムの腐食は軽微に見えますが、ファインダーを通すと大きく見えるんですね。

 

初期型なので巻き上げレバーのバネはリン青銅の板バネ式です。この後はコイルバネ式になります。レンズマウントのバネが摩耗気味でレンズの合致が緩いのでバネの矯正をしてあります。手垢で数字が読めないほど汚れていたシャッターダイヤルを洗浄してこれでメカ部の組み立て終了。

最後に抜け掛かっていた彫刻文字の色入れを補修しました。極初期型はスローガバナーや各ユニットの摩耗などで信頼性を確保するのが困難の個体も多いですが、この個体は非常に安定した作動をするようです。外観のへこみやアンダーカバーが外れないなど、最初はどうなることかと思いましたけどね。一般的には敬遠されやすい個体を修理ご依頼頂きましてありがとうございました。

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PENとDemiの巻

2022年07月20日 21時40分00秒 | ブログ

PEN-Sですけどね。当時はカメラは時計と並んで貴重品で、カメラに名前を書く人が多くいました。マジックで書かれているバスなんですけど、各種溶剤を使っても薄くはなっても消えません。

 

何度も分解を受けていて、巻き戻しダイヤル下の真鍮ネジは頭が磨滅してネジを外さなくともトップカバーが外れるという・・柔らかな真鍮ネジということもありますが、カバーが浮いた状態でネジだけに頼って締めて行くのでネジ頭とカバーのネジ孔に負担が掛かるのです。

分解した方の技量が分かります。ネジの緩み止めを溶かさないからスリ割りを壊しても緩まないのです。

 

全部仕上げてトップカバーを締めます。

 

 

レンズの状態は奇跡的に良かったです。

 

 

数日前にカミさんが買って来た最中(もなか)を食べたのですが、皮とあんこが別々になっていて食べる時に皮に挟んで食べるというもの。このデミはへこみがあるので部品取り機から外装カバー(もなか)を交換せよとのことです。

巻き上げレバーが本体カバーと接触をしています。当初は巻き上げレバーか軸の曲がりを考えましたがそうではないようです。

 

ファインダーのプリズムは曇りは無く、良い状態です。

 

 

接眼レンズし対物レンズも分解清掃をしておきます。

 

 

デミは嫌いではないのですが、気が重いのはこれです。モルトの劣化だけではなく、下地の塗装まで侵されているのです。この部分の清掃で半日工数が掛かります。

 

で、このようにしてあります。

 

 

部品取り機から外装カバーを移植して、問題が無いか様子を見ます。

 

 

巻き上げレバーは先端部に向かって下がっていますね。

 

 

原因はの部分の摩耗と思われます。部品取り機でも同じ状態ですのでデミの持病かも知れません。

 

シャッターとレンズの清掃をします。

 

 

ヘリコイド部は洗浄の上取付けて新しいグリスを塗布します。

 

 

PENと比較して豪華だよなぁと思うのがストラップです。付属品のストラップにかなりコストを掛けています。彫刻文字に色入れまで・・

 

巻き上げレバーは何とか修正しました。メーターも正常作動で欠点のない個体となりました。

 

 

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真鍮製のローライ35Sブラックの巻

2022年07月17日 13時45分00秒 | ブログ

安倍さんの国葬が決まったようですね。しかし、奈良県警の警護要因は山本五十六長官機を守れなかった「六機の護衛戦闘機」パイロットと同じ運命を辿るのでしょうか。で、定番のローライ35Sブラック#2320XXXですが、この状態でニッチモサッチモ動きません。巻上げも出来なければレンズも沈胴出来ない。かなり厄介な個体のようです。

メーター窓を見ると内側のガラスがゴム系接着剤で汚く接着されています。トップカバー横のネジも規格外。カニ目ネジを外そうと塗装を傷にしています。かなり程度の悪い分解を受けているようです。

 

カバーを開けてみると・・巻上げギヤのタイミング違い、電池室からの配線断線があります。応急のテストで露出計はCdsが不良で動きません。

 

内部に小さな六角ナットが挟まっていました。これはパーツリストを見ても載っていません。メーターのカバーを留めるネジのナットです。シャッターダイヤルと絞りダイヤルを操作するとリンケージが動いて、このメーターカバーにストレスを掛けて緩むのです。

Cdsは交換して配線はやり直しました。

 

 

メーター窓のガラスは内側と外側の2枚があります。内側のガラスは初期のドイツ製などでは本物のガラスでしたが、以後は塩ビ製と思われる材質に変更されています。ガラス製でしたら清掃やゴム系接着剤の使用も可能ですが、塩ビ製では接着剤の溶剤分で材料が侵されて曇ってしまいます。この個体も塩ビ製ですので再使用は出来ませんので硬質の塩ビ板より切り出して使います。ただし、本来メータ窓に使われる材料は帯電防止の処理をされた材料が使われている可能性もあります。

底部を開けてみると、アルミの切り粉が多くあります。

 

 

これは沈胴用のレールが痛んでいます。現存の個体で無傷のものは少ないと思いますが、ここまで削られているのは珍しいです。たぶん、沈胴時の作法を守らないオーナーさんだったのでしょう。この状態ではスムーズな沈胴は出来ませんので手持ちから良好なものに交換します。

当然ですが上側も同じ状態ですのでセットで交換します。

 

 

内部も汚れがひどく、沈胴のフェルトも状態が良くないので分解します。

 

 

沈胴部のメンテナンス終了。シャッターレンズのO/Hも終わっています。新しいヘリコイドグリスを入れて組み立てます。

 

新しく製作した塩ビガラスをセットします。

 

 

まぁ、他にもいろいろありまして手間の掛かる個体でしたが、良いところは上下カバーの材質が真鍮製だということ。塗装が磨滅すると真鍮の金色が出て来ます。この個体のすぐ後付近から材質がアルミ製となったようですが、実用的には重量が軽くなっているので持ちやすいかと思いますが、私はどっしりとした真鍮製が好みです。ブラックモデルをお探しの方はその点にも留意されると良いでしょう。

中古カメラ店の店長様からのダンボールに修理機の他にカワサキMACHⅢ750(H2)のダイカストモデルが入っていました。ありがとうございます。若い頃に私が乗っていたのは500ccのH1でしたけどね。が私で、下のベタ焼きがMACHⅢです。今、所有していれば値打ちがあったでしょうね。

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いろいろやってますの巻

2022年07月14日 22時50分00秒 | ブログ

作業に集中していると前回のUPから日数が経過しているのを忘れますね。いろいろやっていて時間的な余裕が無いのです。ここ数日は梅雨に逆戻りのような天気で、私は気温が下がって作業し易いので助かりますが・・カメラ市用の整備を続けています。これはローライ35のドイツですが、レリーズボタン横にえくぼがありますね。修正をしておきます。

ドイツ製の初期型はスプロケット軸の巻き戻しクラッチ用バネはワッシャーをEリングで押さえる構造ですが、ワッシャーの隙間からバネが飛び出していますね。

 

これが正常な状態ですが、そもそもワッシャーもEリングもいらないのです。よって、以後の製造からは省略されています。

 

え~と、フィルムレールを留める4本のネジのうち2本が欠品していましたので追加したところ。

 

かなり良い状態になりました。買ってくださいね。

 

 

これはローライフレックス3.5Fのレリーズロック部の画像。クリックの位置でレリーズボタンがロックされない不具合。本来は6時のクリック位置で上のようにバネが出ていないといけないのですが、それが出ない。バネの劣化で変形気味ですので製作して交換としました。

これはPEN-Dです。PEN-D系は前玉のコーティングが劣化しやすいです。

 

 

それと、前面の化粧リングが緩まない個体がありますが、まず間違いなくシャッターリングのネジの緩み止めが乾かないうちに化粧リングを締め込んだためにのように接着されてしまっているのです。溶剤を滴下してしばらく待て。

この個体はスプールナットのネジ加工が深めに仕上がっているので救済で調整用ワッシャーが入っています。

 

基本的にはPEN-Sのシャッターと同じですが、この部分などは異なっています。

 

この基板は前期型に使われている基板です。

 

 

メーター窓部にアタリがありますね。それと外周が黄ばんで見えるのはエポキシ接着剤が黄ばんでいるためですので、一度外して清掃再接着をすると良いです。

 

へこんでいたカバーを修正してメーターガラスを再接着しました。

 

 

ローライコードⅤですが、多重露光用のレバーが取れています。

 

 

側板の中央部がへこんでいます。

 

 

材質がアルミなので簡単にへこんでしまいます。赤丸部分を板金します。

 

 

幸い多重露光用レバーのカムとナットは内部に落ちていましたので組み立ててネジロックを塗布しておきます。

 

このモデルのシボ革は本革ですが、接着剤が強固で落とすのは大変です。溶剤を付けながら削り落とします。

 

ASA表示板のテンション用板バネが欠落していましたのでリン青銅板から作りました。

 

スクリーンなどを洗浄して取り付けます。

 

 

その他、シャッターの作動不良修理やレンズの清掃などしておきました。

 

 

これで良いコンデションになりました。最近、腕時計をやる時間がありませんが、非防水型ケースで自動巻きのセイコー・スリムデートなどがありますので、そのうちオーバーホールをします。腕時計ファンの方はお待ちくださいね。では、また時間のある時にUPします。

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