今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

2台の三光PEN

2011年05月20日 21時36分21秒 | インポート

Dscf266356 久しぶりのUPです。いゃ~、地獄を見て来ました。というかまだ脱出出来ていません。大学病院での治療が功を奏してか、今日の検査では回復しつつあるとの診断でした。午前中はダメだったのに、午後、車の運転の最中に回復を実感しました。しかし、道半ば状態ですので、もう少しお時間を頂ければありがたいです。

三光PENが2台来ていまして、両方とも程度は良くないです。ましと思われる方を作業中にここまで仕上げて、あとはカバーを組むだけとなった時に異変を感じました。もう少し養生してから作業を再開したいと思っています。

Dscf266885 みなさんからお見舞いのメールを頂戴しています。特に、ご常連さんたちからは、心温まる贈り物が届いたりで感謝に耐えません。

今は無理をしないようにしていますが、この作業は途中ですのでボチボチですが進めました。途中は全て省略させて頂きます。まぁ、両方とも時代相当で、いじり回されてビスなども欠品しており「あ~ぁ」というコンディションですから、本来は良いとこ取りのニコイチが良いのでしょうけど、簡単に個体数を減らしたくはないのです。そこで、2台とも、或いはオリジナルでない部分が出てもカメラとして生かすことを選択しました。特に左側のコンディションが悪くて、この初期型に使われているスプールは内部に拡張型のバネが挿入されているため、多くの部品でクラックが生じてスリップしてしまいます。それゆえ、以後のタイプに設計変更されたのでしょう。今回は応急的に以後の変更されたスプールを使用しておきます。そのためには画像の関連部品をセットで交換する必要があります。特にこの頃の駒数ネジは正ネジですが、以後は逆ネジとなるため駒数ネジも交換が必要です。ジャンク箱を探すと逆ネジでしかもカニ目孔が非貫通のものがありましたので、それを使用しました。良品の初期型スプールも在庫は無いことはないのですが、貴重なので使いません。オーナーさんで調達出来れば簡単に交換出来るようにしてあります。まぁ、私が作業が出来ればですが。その他ではこの頃の特徴である、ファインダーの樹脂製対物レンズですが、これがゴム系接着剤で接着されていました。これは厳禁です。接着剤に含まれる溶剤(アセトンなど)でレンズが溶けたり曇ったりしてしまうのです。細かなことですが、すべての知識を持って作業をしなければ、カメラの状態を悪くしてしまうのです。では、今回はこの辺で。しばらく回復に努めます。


水油のPEN-FTとお知らせ

2011年05月13日 21時40分50秒 | インポート

Dscf265951 ちょっとご無沙汰しました。じつは、作業はしておりますが、私ごとですが、目にトラブルがありまして、現在治療中です。特にパソコンの画面を見ることがきびしくて「今なに」のUP数も少なくさせて頂いております。しばらくの間、ご了承いただければと思います。また、どういう訳か、HPの掲示板へのご返事が表示されない状態が続いております。現在、管理会社へ問合せ中ですので、ご返事が遅れるか、ご返事できない場合がありますので、その点もお知らせとお詫びをしておきます。

で、このPEN-FT #1513XXですが、整備済みを入手されたようですが、巻上げやファインダーの見えなどでメンテナンスに来ています。分解していくと・・駒数板の載る部分に大量の水油がありますね。他の個所にも塗布されています。水油は困るのです。

Dscf266095 すべて分解してから組み直しています。巻上げレバーユニットが取り付く本体部分に帯状のシムが入っていますね。初期の個体に多いです。こちら側が低いのは珍しくて、殆どの個体は反対側(前面)のビス孔にOリングのシムが入っています。

Dscf266174 途中はしょります。タイマーレバーが水平でない。とのご指摘がありました。確かにね。レバーが下がっている場合は、調整ビスの緩みが殆どですが、上がっている場合は、他の個体から移植されたことも考えられます。個体によって調整が変わるからです。水平に調整をしておきます。

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ファインダーのピント合わせがしにくい。とのご指摘もありました。使われていたハーフミラーは、汎用品をカットして作ったものですね。このミラーは何度か見た記憶があります。交換をしてあります。

ということで、簡単にUPさせて頂きました。しばらくの間、ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願い致します。


リターンミラー剥離のPEN-FT

2011年05月09日 18時34分49秒 | インポート

Dscf265131 #3628XXと後期型のPEN-FTですが、リターンミラーが剥離しています。製造時期はあまり関係ないようですね。

Dscf265586 剥離の原因はホルダーの接着面の腐食です。よく観察すると、外側から湿気が入って少しずつ腐食が進行していることが分かります。接着面は外側の未接着部分よりへこんだ状態になっており、平滑性は失われています。

Dscf265677 もともと接着されていたリターンミラーの割れてはいませんので、再使用は可能でしたが、外周に白く腐食がありますので、ご希望により新品を使って接着してあります。ハーフミラーの交換していますが、流石に後期型ですので、プリズムなどの状態はよろしいと思います。

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トップカバーを取付けようとしたらね。シンクロターミナルの中心(絶縁)部分が抜けています。これは結構多いトラブルで、裏側からのカシメがあまいので、コネクターをねじ込まれると抜けてしまうのです。

Dscf265817 分解するとこのようになっています。左端の中心接点が抜けていますね。再カシメと接着併用で再び抜けないようにしてから組立てます。この後の完成画像は撮り忘れました。この個体のトップカバーはビスを外しても全く抜けてこず苦労しましたが、ここれは、工場でシボ革を貼った強力な糊がトップカバー裏にも付着していたもので、まれにあるのですよね。と言うことは、この個体は未分解機であったということです。


最近珍しいPEN

2011年05月06日 23時07分58秒 | インポート

Dscf263888_2 最近あまり見かけない只のPENですね。シボ革がかなり黄変していますが、これは手垢だけではないですね。素材自体が変色しているのです。オークションでの入手とのことですが、光線漏れの疑いを言われています。モルトは上下共、交換されており、特に光線漏れを疑うところは無いようです。

Dscf264159 ちょっとピンボケ画像になりました。分解をしてみると、本体上部側のモルトが端まで貼られていない部分がありましたが、これが光線漏れの原因から判断出来ません。巻上げダイヤルカバーのビス留め部分が折れていました。気になったのは、2回に1回巻上げをミスすること。オーナーさんからはご指摘はありません。点検すると、チャージ自体は完了していて二重巻上げ防止のロックが掛からないためと判明。ピンセット先の部分が異常に伸ばされて曲げられていますね。ある一つの現象に対する調整としては間違いではありませんが、それに起因する全体の調整を考えていないやり方ですね。観察すると、カムに接する接点部分が曲げられているようです。ここは曲げると折れてしまいます。はたして、先端部分を折らずに曲げ戻すことが出来るか心配です。

Dscf264366 では、全て分解してから洗浄しました。特に光線漏れの原因となるような変形などはありませんね。

Dscf264451 シャッターは画像を撮り忘れましたが、特に問題はありませんでした。全体のメンテナンスでOKです。この状態で巻上げなどの調整をしておきます。巻上げダイヤルカバーのラグ折れは接着して取り付けています。何故かスプールの樹脂が部分的に表面劣化をしていますので、全体的に再研磨をしています。この頃のスプロケットはアルミ製ですが、黒アルマイトに変わっています。

Dscf264615 人様の修理をしたカメラを拝見するに、細かな部品まで洗浄してあった例がありませんね。このリング類も古いグリスや手垢、それに腐食が入って汚らしいのが殆どです。そのまま組むと作動も滑らかになりません。第一、気分が良くありません。、ピカピカに磨いたものを組立てます。

Dscf264754 ファインダーはレンズを分離して清掃してあります。前回修理をされた方は勘違いをされているのではないでしょうか? ファインダーカバーには、外側に遮光紙が貼られているのが正規ですが、この個体は内側に遮光紙が貼ってあります。何か拘りなのかなぁ? 意味分からないなぁ・・

Dscf264987 最初の画像よりシボ革の黄ばみは取れましたかね。ファインダーのグレー樹脂は表面が劣化をして白濁ぎみでしたので研磨をして一皮むいてあります。ピカピカでしょ。同じように駒数ガラスも研磨をして視認性を高めています。とかくスペックからPEN-Sの方に人気が向いてしまいますが、シャッターの耐久性からするとPENの方が優れていると思います。PEN-Sが動かなくなってもPENは生き残れると思いますよ。


ちょっとお待たせPEN-FT(B)

2011年05月04日 14時34分35秒 | インポート

Dscf2630331 ちょっとお待たせしてしまいました。手の掛かる作業が続いたもので・・・このPEN-FT(B) #2797XXですが、有名中古屋さんで購入されたそうです。トップカバーの「PEN-FT」が例によって黄ばんでいますが画像では分かりません。触って気が付いたのは、巻上げレバーの樹脂製ストッパーが劣化して、レバーがトップカバーに当ってカチカチ言っている。よくよく観察すると、この部分のビスは皿ビスですが、ナベが付いていますね。巻き戻し側ののビスが1本だけ本来はナベですが皿ビスになっています。単純に組み間違えたのか、それとも巻上げレバーのストッパーとしたのか? まぁ、そんなこと考えてみても無駄なので分解して検証して行きます。

Dscf2631311 結構なお値段で購入されたそうですが、露出メーターが動いていませんね。画像のように固着しています。このユニットは基板別体タイプです。後年にSSにて交換されたものと思いますが、このタイプは製造は新しい(比較の問題)ですから、あまり不良はないと思いますが、の可動コイルのピボットネジがすでにいじられています。(通常はネジロックされています)と言うことは、メーター不良で分解したけど治らなかったという可能性が高いですね。

Dscf263216 メーター本体を点検します。幸いコイルの断線はありません。可動コイルのピボット調整が出たら目になっています。これではコイルは回転しません。再調整をして行きますが、構造は時計のテンプの天芯に似ています。時計で言う「あがき」が必要で、ピボットをギリギリに追い込んでしまうとスムーズに動けなくなります。かといって、あがきが大き過ぎても姿勢差によっても正確に動かないことがあります。画像のように、抵抗なく作動して、速やかに0点に復帰するように調整をします。

Dscf263588 シャッターユニットを分解洗浄して点検して行くと・・・巻上げの#1ギヤ軸の磨耗が進んでいますね。上下カバーの塗装も塗装の磨耗(てかり)がありますから、丁寧に使い込まれて、途中で露出計の交換も受けて来た個体でしょう。この軸の場合、#1ギヤの内径の磨耗具合にもよりますが、2回巻上げとなっても不思議ではない磨耗状態です。

Dscf263647 露出メーターは感度良好に復活させました。よって、ハーフミラーも新品と交換してあります。このタイプのメーターは作動不良は少ないため、いじり壊したというところでしょう。その他、セルフタイマーの作動が途中で止まります。これは、リンケージレバーの調整範囲を超えて帯板を開かれいてるため。理屈の分からない人はいじらないように。その他、ターミナル接片のリード線が欠品のため、部品取りとして付いて来たジャンクから調達して半田付けしてあります。ジャンク同梱のお心使いは大変助かります。

Dscf2637481_2 このように完成しています。そろそろトップカバーの角は真鍮が出始めのそれなりに使い込まれた個体でした。入手時の状態としては少しお高い買い物と思いますが、仕上がってみると多少のギヤ鳴りはありますが、巻上げも好調、シャッターの調子もよろしい。結果的に露出計ユニットも新しい基板別体タイプが正常に作動していますので、なかなか良い個体となりました。トップカバーの「PEN-FT」は入れ直してあります。横の時計は今いじっているセイコーマチック、ウィークデータ26石。ちょっと大柄ですが、この頃のセイコーデザインが完成された姿で存在感のある立派な時計です。特に曜日の窓が6時位置にあるのがデザイン的に気に入っています。何故か、この後のモデルは3時位置の日付窓と並んでメガネになりますが、標準的過ぎると言うか、遊び心がなくて好きではありません。グランドセイコーなどの基礎となった時計ですが、何故か評価は低くて安値で入手できます。私は好きですね。