今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

いろいろやっているのだがの巻

2021年06月30日 14時30分00秒 | ブログ

いろいろ並行でやっているんですけど、部品待ちなどなかなか進まないのでUP出来ません。まず、このローライ35Sはメーター針が不安定な動きをします。海外物ですが、過去に同じ不具合を解消しようと電池室の接点を磨いてメッキを剥がしています。

回路を点検すると接触不良はありません。ユニット単体で検査をしてみますが、良くあるのがメーターカバー(オレンジ)の留めネジの緩みですがそれはありません。しかし、触ると針は不安定になります。また、Cdsが低輝度から高輝度に向けると一瞬針がダウンしてから大きく針が振れます。厄介なユニットです。

ゾナーレンズ付きですがレンズ内にチリが目立ちますので清掃をしておきます。

 

 

これはスピードグラフィックと言うカメラですが、ホースマンのフィルムパックを取付けて連続撮影がしたいとのご意向。真鍮板を加工してクランプを製作してみましたが、留めネジの頭がホルターに接触します。しかも、このネジはユニファイネジでメートルネジで代用が出来ません。

もう一つ、ヤシカ・ラピードですが、例によってレンズが曇っています。

 

 

研磨をしましたが、中央の油シミのような部分が意外に深くて完全には消えません。

 

 

おまけにシャッターからレンズホルダーが外れない・・あ~ぁ、天気と一緒でスカッとしません。

 

オリジナルのユニファイネジ(#4-40X1/4)2本で固定して元の仕様に戻せるように。とのご希望ですが、直径約2.8mmネジの二点留めは強度的には少し弱いかも知れませんが・・また、ネジは皿ネジとしてフラットにしたかったのですが、クランプの板厚が薄いので意味がありませんから頭の薄いナベネジを入手し、さらに薄く削って使用しています。それでもフィルムバックがネジ頭に当たるので、フィルムバック側をエンドミルで落し込みを削って逃げています。

巻上げレバーがあるので強度的な心配はありますが意外にがっちりとしています。改造は頭で考えていた時より実際に加工をして行くと色々な問題や制約が出て来て、それを回避する方策を考えたりで意外に時間が掛かるものです。

 

 

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どこへ行ってたPEN-FTの巻

2021年06月21日 22時30分00秒 | ブログ

ここしばらくPEN-FTが来ていませんでしたね。取り上げる回数が減っていることも影響しているかと思いますが、最近PENのご依頼が少ないのです。その中で送って来られる方は若い世代の方が多く、世代交代を感じます。で、#3081XXと製造も新しく非常にきれいな個体で、気になるのは巻き上げのゴリツキ、ファインダーの曇り、セルフタイマーのロック不良ぐらいでしょうか。特にドラマはない個体と予想されます。30万台としてはハーフミラーの蒸着メッキ飛びが激しいと思いますね。殆ど抜けています。反射率が極端に落ちているので曇って見えるのです。以前にハーフミラーについて問い合わせを頂きまして、非常に専門的な性能項目を公開せよ。とのことでしたが、純正ミラーの規格は何世代も前の古い製法で製作されたもので、現在、全く同じ製法で作ることは出来ないのです。返って現在の製法の方が反射率等に優れているとも言えます。また、純正ミラーでも製造時期によって何種類か仕様を変えていて全て同じではありません。そのような事情からあくまでも純正の置換えとして使用できることを狙って製作していますので、その点ご理解の上ご利用頂ければ幸いです。

市販されているモルトキットが貼られていますが、古いモルトを取り除かないと返って弊害がありますよ。

 

 

本体洗浄の上、組み立てていきます。

 

 

30万台なので全体的な劣化は少ないのですが、テンションシャフトのガタが少し大き目かなぁ?

 

 

洗浄組立をしました。チャージギヤ軸の摩耗はありませんでした。

 

 

テンションシャフトの摩耗も軽微なのでブレーキ軸と地板側との部品嵌合によるガタです。シャッターバネの係り位置は標準でした。素性は良いシャッターと言うことです。

 

コントロールレバーが緩むとスローガバナーとの連動が外れることがあるので緩みをチェックしておきます。

 

本体にシャッターを組み込みましたので清掃をした裏蓋を取付けておきます。

 

前板関係を分解清掃しました。スクリーンに黒点汚れがありましたが清掃で取り除くことが出来ました。

 

 

接眼枠の表面が傷ついていましたので研磨をしてから取り付けます。

 

 

こんなにメッキが飛んでいるのです。当然、新品と交換になります。

 

 

細かなレバーカバーなどを接着していきます。

 

 

メカ部分はほぼ完成しました。巻上げもスムーズになっています。久しぶりにFTを組んでみると「え~こんなに組立に工数が掛かるカメラだったかなぁ」(すでに丸二日)と改めて思いましたね。しかも工賃に反映しにくいのが悩みの種です。

付属の40mmはレンズの汚れとヘリコイドガタが気になります。

 

 

過去に分解を受けているようです。

 

 

レンズを分解清掃をして行きます。

 

 

ピントリングの回転を逆にするとコクッとガタを感じるのはヘリコイドのアウター側のグリスが抜けているからです。グリスを入れ替えて改善しました。

 

最後に露出計の調整をしましたが、30万台機としては感度低下が大きいと感じました。これは湿気の多い場所に長期間放置されていたと推測します。このようなCdsの場合、感度を補正しても電圧の変化に対して非常に敏感になる傾向があります。この個体には電圧変換用のアダプターにアルカリ電池のLR44がセットされていましたが、すでにわずか電圧降下をしていて電池単体で1.47V、アダプターを介して基板直前の電圧は1.25Vでした。因みに新品の酸化銀電池SR44の単体電圧は1.58Vで、アダプター介すと1.36Vとなりました。この電圧差によりメーター指示が1段程度変化してしまうこともありますので、使用する電池は電圧降下をするLR44ではなくSR44を使用してください。

最近珍しいぐらい摩耗も少なく外観もきれいな良い個体でした。しかし、特殊な構造と部品点数の多さに加え、微妙な組み立て方の違いによって性能の安定性や巻上げ感触などが変化してしまう難しいカメラなんですね。

 

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金ピカコードⅠ型の巻

2021年06月18日 18時00分00秒 | ブログ

ここ数日、体調が良くないので簡単に。いつもの二眼レフのメンテナンスをしています。日本では「金ピカコード」と言われるローライコードⅠ型(アールデコ)です。このカメラ1933年(昭和8年)の発売となっていますね。昭和8年頃とすると、みんな大好き「赤とんぼ」♬若い血潮の予科練のぉ~。海軍九三式中間練習機が採用された時代ですからどんだけ古いですかね。確か30年前くらいに日模のプラモデルキットを購入したまましまい込んで製作していません。ではまずシャッター(コンパーCOO)が不調なのでメンテナンスをして行きます。先日のローライフレックス・スタンダードのガバナーよりは程度は良いと思います。

この時代のレンズは殆ど曇っていますので清掃します。前玉(トリオター75mmf4.5)は清掃できれいになりました。

 

 

このフィルムカウンターカバーがエッチング板の上に取りつけられていましたが逆ですよね。

 

レンズの繰り出しはカムに依っています。前進・後進の2つのカムが組み合わされています。グリスを交換しておきます。

 

どうも裏蓋開閉レバーを交換されているようです。本来リベット留めの三脚座がネジ式になっています。

 

 

三脚座の高さが4つの脚より高くなっているので4脚で座れなくなっています。

 

 

ビューレンズ(ハイドスコープ75mmf4.5)も曇っています。

 

 

前面のレンズナットが固着していてやっと分解しました。清掃できれいになりました。

 

 

スクリーンガラスの角が欠けていてひびが入っています。

 

 

時代を考慮すれば色々あって当然です。意外は拡大レンズを通したスクリーン画像がスッキリとしていてピントの山がつかみやすいと感じました。シャッター快調。

 

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残りのローライ35の巻

2021年06月16日 17時20分00秒 | ブログ

では、残っていたローライ35を3台仕上げて行きます。同じ作業なので画像も同じようになってしまいますけどね。この個体は初期型ジャーマニーですがカルテには記載がありませんでしたが露出計が動きませんね。回路の問題でした。

 

回路の修復で正常に作動しています。

 

 

角のへこみが気になりますので修正をしておきます。

 

 

巻上げ関係、ファインダーの清掃、トップカバー側はレバーアテの熱カシメ、メーター窓の研磨再接着をしてカバーを取り付けます。初期型なので巻上げギヤの歯は細かなタイプです。

 

「沈胴緩い」とのご指摘有り。沈胴下向きで降下するほどではありませんが、首を振るような感じです。フェルトの調整をきつくします。

 

スリーブスライダーで挿入します。

 

 

シャッターとレンズの清掃終えたユニットを組み込みます。

 

初期型なので裏蓋開閉レバーの形状が違うのと巻き戻しダイヤル基部が以後の黒色ではありません。

 

 

良い個体になりました。

 

 

2台目ですが、背面の化粧ネジが本来前面のダイヤルに使われるネジが付いています。これは交換します。

 

 

殆んどのメーター内側のガラスは本物のガラスですが、中にはこの個体のようにプラ製のタイプもあります。すでに傷汚れで視認性が非常に悪いです。

 

稀にこのような巻上げギヤを見ます。何か黒いコーティングを施されていたように見えます。一時的な仕様でしょうかね。分かりません。ファインダーはすでに清掃してあります。

 

メーターのプラガラスは研磨をして取り付けます。

 

 

トップカバー側のメーター窓はプラ製です。こちらも一度外して研磨をしてから再接着をします。レバーアテも熱カシメしてあります。

 

欠品の化粧ネジを試作してみましたのでそれを使います。

 

 

前玉の清掃とヘリコイドグリス交換します。

 

フィルムカウンターが動かない。結果的に原因は複合的な問題でしたが、そのうちの一つは樹脂のロック爪の取付穴が破損していたこと。極初期ではないので補強用の板バネは入っています。

 

これで2台目完成。

 

 

3台目です。こちらもジャーマニーですが、過去に分解されていて荒れています。例の化粧ネジが欠落していてワッシャーを介してネジで留まっています。これも交換します。

 

メーター窓ですが、過去に瞬間接着剤のようなもので汚く接着されています。分離が不可能のためこの状態で研磨をします。

 

一通りのメンテナンスを終えたところ。こちらも巻上げギヤの歯が細かいタイプです。

 

 

初期型はどうしても沈胴の繰り出しが緩くなっています。こちらもフェルトの調整をします。

 

 

この個体はレンズ内に侵入したチリとカビが多くありました。特に多いのは後玉の内側。画像は清掃後。

 

 

過去の分解時にスプロケット軸上部に入っているはずの遮光紙を紛失していますので製作して追加をしておきます。

 

このようにうちのオリジナルネジを取付けてあります。

 

 

初期型なので外観に多少の劣化はありますが、機能上は完璧な個体に仕上げてあります。これでおしまい。

 

 

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ROBOTⅡ をやっておきますの巻

2021年06月12日 11時10分00秒 | ブログ

ローライ35系はまだ続くのですが、ROBOTⅡがありましたので見ておきます。まずテッサーレンズが曇っていますので清掃をしておきます。

 

テッサー3 3/4cm f2.8となっています。

 

 

点検すると巻取り側のマガジンの連結用凹爪の片方が折れています。これは修復できません。

 

 

ロータリーシャッターが正常に作動していません。

 

 

スローガバナーが厄介な位置にあります。↑アンクルが見えます。

 

 

以前にやりました個体はトップカバーの分離にファインダー切換/レリーズロックボタンを外す必要のない形状でしたが、この個体の場合はボタンがねじ込み式なので緩める必要があります。しかし固着していて緩まない。φ4.5のメガネレンチを製作して取り外しました。ギヤ類の洗浄注油とファインダーの清掃。

90°アングルファインダーへはノブによってミラーの角度を変える構造。ミラーは劣化気味ですが使わないでしょうから・・

 

シャッターダイヤルの動きが重いので清掃とグリス塗布をしておきます。

 

 

シボ革の端が剥がれていますので接着をしておきます。

 

 

問題は巻取り側のマガジンです。折れた部分(凹)を機械加工で製作すれば補修出来ないことも無いと思います。

 

ガジンはこのようにセットします。

 

 

このボタンがファインダー切換。

 

 

左側のボタンはレリーズロック、指先の小さなピンを押し込んでフィルムカウンターをフリーにします。

 

 

このROBOTⅡはいつ頃の製造なのでしょうね。革ケースの状態から戦後の製造ではないかと思いますが良く分かりません。ROBOTはドイツ空軍に採用されたとのことですが、偵察用であればもっと大判(九九式航空写真機は(70mmX100mm)ですし機体に取付ける写真銃とも違い、操縦席からパイロットが戦果確認用に使ったのかなぁとか思います。航空時計の大型リューズと同じで厚手の手袋をした状態でも巻きやすいゼンマイダイヤルですからね。

 

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