今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

幻のPEN-Sブラック+PEN-EE初期型の巻

2014年10月30日 11時12分11秒 | ブログ

先日、PEN-WのO/Hに来ていたオーナーさんからマニアックな個体が来ていますよ。頑張ってますね。一般には市販されなかったというPEN-SブラックとPEN-EE初期型という取り合わせ。EEの初期型は最近ブームなんですか? まずはPEN-Sブラックですが、真贋の鑑定を依頼されました。おめでとうございます。本物ですよぉ。似たようなカメラは私も作って来ましたが・・状態は、PEN-Sの中でも初期の#1650XXなので正常に作動する方が稀ですが、巻上げ空転でシャッターは不調。お決まりの駒数ガラスにクラックというところですが、最も大切な外観の損傷は軽微でラッキーです。メカはどうにでも治しますので問題ありません。シャッターユニットの新品もあります。

内部を見ます。良い感じですよ。フィルムレールもきれいです。初期の個体はスプロケットアルミ地(アロジン処理?)スプールはグレーでセオリー通りです。シャッターユニットの留めビスにも分解の形跡はありませんので、たぶん未分解機だと思います。良く見つけられましたね。私も過去に10台ぐらいしかO/Hを手掛けたことはないのです。欲しいですね。

PEN-Wも良いですけど、PEN-Sのファインダーのリンクル塗装にブラックケースは迫力を感じますね。右吊環部に落下の陥没あり。カバーの留めビスがメッキとなっています。私の記憶ではPEN-Wと同じブラック塗装であったと思いますが定かではありません。で、このような希少なオリンパスカメラを収蔵するオリンパスの社内ミュージアム「瑞古洞」(八王子)の見学ツアーをMazKenさんが計画してくださいました。私も10年前に訪問したことがありますが、輸出用や試作カメラなど珍しいコレクションを見ることができます。私のお客様にも近郊にお住まいの方も多数いらっしゃいますので、参加してみたい方は、定員枠など参加が可能かを問い合わせしてみては如何でしょうか。

https://www.facebook.com/mazkenfoto/posts/698458546939494?comment_id=701370996648249&offset=0&total_comments=11

この個体は未分解機ですね。大変よろしい。駒数ガラスにクラックありで交換するか?

 

吊環部に陥没あり。修正をしておきます。

 

 

シャッターを分解して超音波洗浄をしています。

 

 

長くなるのではしょりますが、結論から言うと調子の悪いユニットでした。稀にBで一度止めると固着する時がある。スローガバナーの作動が重いです。アンクルの修正で調子を取り戻しています。

 

洗浄したダイカスト本体とカバー類。ここで何か気が付きませんか? PEN-Wのような塗装の剥がれが少ないと思いませんか? PEN-Wでも、保存の良好な個体では、びっくりするようなコンディションの個体も確認していますので一概には言えませんが製造はこちらの方が古いのです。PEN-Wの塗装は下地のプライマーの性能が悪いと推測されるので、別の外注先で塗装されたものかも知れませんね。今となっては分からない事ですが・・

この個体はスプロケット軸のナット部分に調整ワッシャーが入っていました。これを入れないとスプロケットが固着して回転しません。ダイカストの加工精度が規格に仕上がっていない個体の救済処置です。

 

メカの組立はほぼ終了。汚れと腐食の多いリング類を研磨洗浄してあります。

 

シャッターリングまで取り付けました。一番初めの工程で分解清掃でレンズを接着しておいたファインダーが仕上がっています。ふぅ、もう一息です。

 

特筆はレンズが素晴らしい。この頃の個体はカビや拭き傷は避けられないものですが、殆ど無傷の状態で拭き上げもためらうほど。フィルターが装着されていたと思われます。是非純正フィルターを装着してください。

 

モルトの汚れも多かった裏蓋内部もきれいになっています。

 

シャッターは快調、各リング類の操作感はスムーズに仕上がっています。#1650XXは、コパルにてシャッターユニット完成1961年3月で、本体完成は1961年-5月になります。すでに製造から半世紀以上経過したビンテージカメラとしては良好なコンディションの個体だと思います。

三連休だそうですけど、関東地方は朝から雨になりましたよ。中央高速も渋滞だそうですがご苦労様ですね。で、PEN-EE初期型です。最近ブームなんですか? 確かに初期型はシボ革がマニュアル系と同一パターンで重厚感? がありますので、コレクションのアイテム探しには良いかも知れませんね。しかし、セレンが不良となっている個体が多いので注意が必要です。

この個体#1557XXも全く露出メーターか振れません。メーターの不良も考えられますので点検します。初期のメーター部には真鍮製のカバーが付いていますが、前回の個体19万代にはついていませんでしたね。取付けネジ孔はそのままで、途中から省略されるのですが、果たして途中で撤去されたのかは不明です。セレンには調整抵抗がなく、撤去された形跡もないことから、工場組立時でも起電力が低めのユニットだったのかも知れません。

露出メーターは正常。セレンは殆ど起電していません。では、まずセレンユニットを作らなければO/Hをしても意味はないことになります。

 

じゃあ、しようがない。面倒ですけど作ります。左がオリジナルのセレンで右はEEの後期のもの。

 

残念ながら、初期とそれ以後では取付けリングの構造が変更になっていて、そのままでは交換することができません。セレン以外はオリジナルを使います。

 

初期型セレンユニットの完成。充分な起電力があります。では、本体側のO/Hをすることにします。

 

すべて分解洗浄をして組立をしていきます。

 

 

過去にシャッターユニットを分離してのO/Hはされていませんが、セレン部を分離して絞り関係とレンズの清掃をされているようです。ネジのスリ割りが壊れており、斜めに刺さっていてネジ山を壊しています。

 

レンズはきれいですが、絞り羽根にドライバーの先で突いたようなへこみがあります。スリ割からドライバーが滑ったのでしょうね。

 

シャツターは羽根が開いたままフリーズする状態でした。まぁいいや。全体のメンテナンスで調子を戻しています。

 

製作したセレン部とシャッターユニットを組み込んだところ。

 

 

ファインダーの清掃をしていたところ、ボロッと露出メーター指針が取れていました。ここは半田付けになっていますが、古い半田は簡単に剥離するものがあります。

 

半田付けをした後、ケースに収めたところ。

 

 

本体に組み込んでEEの感度調整をしたところ。

 

 

これでPEN-S2.8ブラックとPEN-EE初期型の完成となります。最近はコンパクト系のPENの人気は下降気味のような印象もありますが、オーナーさんは前回のPEN-Wに続き、非常にマニアックな機種を選択されてコンパクト系に情熱を傾けていらっしゃいます。次は何をターゲットにされるか楽しみではありますね。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


奇跡的に生き残っていた最初期型PEN-FTの巻

2014年10月25日 20時45分40秒 | ブログ

PEN-F系が続きますがご依頼順なので・・設計者の米谷さんのご著書「オリンパス・ペンの挑戦」によると、PEN-FTの生産開始は1966年10月となっていますが、この個体#1119XXは1966年11月の製造です。まだ、生産が軌道に乗らずに色々な不具合が発生していた頃ですね。何も好んで最初期型を入手しなくても、という考え方もありますが、歴史的には貴重な個体になります。幸い、各部の劣化は進んでいますが致命的な部分は無いように思います。

裏蓋を開けると汚れてはいますが、フィルムレールの腐食は少ないです。裏蓋のフィルム抑え無し、スプロケット上側にワッシャー無し、巻き戻しノブ(ローレット)カバー類の取り付けはまだスリ割りのマイナスネジになっています。少しすると、巻き戻し部分と底蓋は+ネジになりますが、何故か見えない巻き上げレバー裏は画像と同じスリ割ネジの仕様が続きます。スリ割ネジは大量生産には不向きなネジなのです。

外観は比較的きれいに保存されていましたが、古い生産分ですとリターンミラーなどに腐食が出ているものが増えていきます。

 

 

付属の標準レンズはこの個体のセットものではなく、少し後の製品でしょう。後玉絞り羽根側に曇りがあります。

 

奇跡的にこの個体は未分解機ですね。最初期の露出メーターの調整抵抗は単固定抵抗が使われています。但し、パターン部分の腐食が激しいので、調整をずらすと導通不良になってしまいますね。

 

電池はしばらく入れたままでしたね。リード線は腐食して、これからピンセットで触れれば断線してしまいます。

 

結局、初期型とその後の生産機との差異になってしまいますが、シャッターダイヤルと露出メーターを連動するウォームギヤですが、画像のように、ある条件の時に赤ペイントが水平になります。これは調整をしたギヤ角度をシャッターダイヤル取付時に合わせるようにしたものでしょう。しかし、以後の生産では、このペイントは無くなります。別の調整方法に変更されたのでしょう。

接眼プリズムがFの真鍮からアルミに変わって、以後、また真鍮に戻ります。遮光用のテープの貼り方が心細いというか慣れていませんね。Fでは専用にプレス抜きされたモルトが使われています。

 

すべて洗浄をしてから組み立てていきます。スプール軸のベアリング部ですが、以後のユニットに比べてスラスト方向のガタが大きいです。ラジアル方向にはガタはありませんので問題はありませんが、この辺りにも組立規格の差があるようです。

巻上げレバーユニット。右が初期型、左は前中期以降のユニット。駒数ギヤの留めネジが雄雌に変更されています。確かに初期のスリ割ナットよりはスリ割ネジの方が理に敵って作業性も良いと思います。地板の形状も変更して、駒数板のリターンスプリング掛かりも簡略化しています。初期型に駒数板の戻り不良が多いのは、単に古いだけではなく、軸が真鍮製のため腐食による回転不良があるのかもしれません。

露出メーターの感度低下は激しいですが、作動状態だけでも希少なので、回路は新製して動かすことにします。

 

PEN-FTの欠点、巻上げのゴリ付ですが、原因はシャッターユニットも当然ありますが、ミラーユニットが原因の場合も多いのです。特に、初期型で消耗したユニットは作動は正常でも、重くゴリ付が改善出来ないものが多いのです。

本体側と前板側を完成させてドッキングします。

 

 

で、ついものお約束の画像になります。

 

 

38mmの曇りを清掃して完成です。ハーフミラーは左がこの個体の初期型に使われているタイプ。右側はそれ以後に使われているタイプになります。因みに、TTL窓の見え方は初期型が圧倒的によろしい。それ以後は、TTL窓の回りが赤くボケてだらしなく見えるはずです。しかし、初期のものは、経時的に赤印刷のインクの退色とカビ汚れなどできれいに見える個体は少ないのですが、この個体は退色が進んでいません。暗所に保管されていたのでしょう。このカメラはオーナーさんの祖父様の形見だそうで、なるほど他人の手を転々と渡って来た個体のような荒れたところがありません。大切にされてください。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/

 


シャッター幕破壊のPEN-Fを復活させるの巻

2014年10月21日 22時22分09秒 | ブログ

すごいのが来ていますよ。PEN-F #2281XXは1965-11月製の個体分解歴はありますね。外観は悪くはありませんが、シャッター幕が破れています。開発の初期には、シャッター幕がクシャクシャに破壊する事故も有ったようですが、観察した限りでは回転中の破壊ではないと思います。面白がって鋭利なもので突いたのでしょうか? もったいないことです。

途中の画像は撮影しましたが、はしょって小枚数でいきます。オーナーさんからはPEN-FTを部品取りで、とのお申し出がありましたが、ファンの方でもご存じが無い方もいらっしゃるようですので書いておきますが、FとFTは外観にそれほど違いはありませんが、中身の機械は全くの新設計ですので互換部品は殆どないのです。当方のストックから見つけてきました。この個体よりも少し前の生産分で、チタン幕のエッチング処理の仕方が異なっています。

その他、問題ありはスプロケット軸のバネ抑えのネジが折れています。以前にも書いたことがありますが、この部分は設計変更をした部分で、M1.7のネジにこの大きな頭のスリ割りでは無理なんですね。苦肉の設計なのでしょう。工場での組立時、緩みを考慮して強力に接着剤を塗布されていますので、緩めようとすると30台に1台ぐらいの確率で折れますね。分解することを想定していないのです。

交換部品はストックしていますが、修正をして使うことにします。まず、スプロケット軸に中に埋め込まれたネジを削り出してからタップを通して修復しておきます。

 

バネ抑えの方は、センターに孔加工をしてM1.7ネジを植え込んであります。画像のように再生されています。簡単に見えますが時間の掛かる作業です。

 

洗浄した本体に、再生したスプロケット軸スプール軸を組み立てます。シャッターは低速不調(止まり)でしたのでオーバーホールと良品のシャッター幕を取付けて組み立ててあります。

 

こちら関東地方は一日中雨が降り続いていました。秋雨でしょうか? 外出していましたので作業はあまり進んでいません。プリズムには僅かに腐食がありましたが、Fとしては軽微な方です。ミラーユニットの洗浄注油をして本体にドッキングしました。巻上げのフィーリングも悪くはありませんが、最後でコクッと感じます。これは、ブレーキのOリングが膨張しているためですが、ブレーキとしては利いているので、今回はそのままとしました。アイビース枠欠けのため交換予定ですので、全反射ミラーを交換するかで悩みました。再使用は可能のレベルですが、折角ですから交換することに決めました。

欠けのあるアイビース枠を交換してメカの組立は終了です。

 

 

磨き出したカバー類を取付けてすべて完成です。通常はここまでのダメージがある個体を復活させることは費用的にも難しいところですが、オーナーさんのお考えにより復活させることができました。これからは、個体数維持のために、このような修理は避けられないものと思います。しかし、このシャッター幕すごい破れ方ですね。薄膜でもチタンは非常に強健なことが理解できます。まるで邀撃戦でP-38の攻撃を受けて被弾した隼みたいだな。アキャブ上空敵戦爆連合八十八機南下中かぁ。後はレンズがありましたね。

FT用38mmの後期のレンズですが、分解をされて程度は最悪ですね。お願いですから技量のない方は分解しないで欲しいものですね。マウントネジを緩めようとしてスリ割りを壊したのでしょうね。3本のうち2本が規格外のネジになっていて、しかも、マウントベースから飛び出したネジの頭をヤスリで削ったものだから、マウントベースも傷だらけです。なんてひどいことをするのでしょう?

で、ヘリコイドが∞まで来ない訳ですよ。最悪です・・

 

 

内部は汚れでドロドロでした。すべて洗浄をして組み立てていきます。規格外のネジは、2本とも正規のピッチ(M1.7 P0.35)ではなくて、無理やりねじ込んでありましたので、ネジ山を壊しています。ここはスペシャルネジですから、汎用ではだめなのです。正規のネジに交換しますので、タップでネジ山を修正しておきますが、今回は良くタップが出て来るなぁ・・ 

FT用の50-90mmZOOMですね。各レンズにカビが発生しています。ズームレンズは複雑さが標準レンズの比ではないので、実はあまり得意ではありません。この時代のズームレンズの写りはどの程度なのでしょうね。

カビが多く発生する部分は、やはり絞り羽根の前後ですね。1枚ずつ清掃をしていきますが、コーティングの劣化による曇り部分(外周)は清掃出来ません。

 

過去に分解清掃は受けていましたね。前玉の厚いこと。重いレンズです。

 

これですべて完成です。PEN-F本体のファインダーのピントをチェックすると、だいぶ行き過ぎていましたね。しかし、過去にピント調整をされた形跡はなし。リターンミラーを確認すると、ミラーの貼り替えを受けたものかも知れません。接着剤の層が厚くてミラーがホルダーに密着していない気がします。ミラーだけ貼り替えて、ピント調整を怠っていたものかも知れません。これで撮影していたんでしょうかね?

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


初期型PEN-EE+PEN-Wの巻

2014年10月17日 21時28分50秒 | インポート

Img_528685少しUPをサボりました。作業はしておりましたがPEN-FTが続くので省略しておりました。最近お問い合わせメールがスパムメールに誤判定されるケースが増えています。モバイルやホットメールなどからの発信にエラーが多いようで、ご返事のメールも帰ってくることがあります。小まめに迷惑フォルダーをチェックすれば良いのですが、ついつい溜まってしまって・・

で、このブログ(OCN)は間もなく終了となりますので、これからお引越しの作業をする予定です。そこで、しばらくの間、ブログのUP件数が減ると予想されますので、クリックは週に1回程度でよろしいかと・・皆さん、毎日律儀にクリックしてくださるので申し訳なくなりますので。本題です。PEN-EEの初期型が来ています。最近珍しくなりましたね。この個体のように程度の良いものは余計です。作業依頼をイラストで描いて頂いて、お上手ですね。赤マークの出方が不規則ですので、全体のオーバーホールをしていきます。

 

すみません、サムネイルのサイズ設定が変更出来ないみたいなんです。やり方が分からないだけかも? お引越しをしてから何もしないのにアクセスランキングが現在2.676.941中最初の44.000番代から3.113番に上がっていました。で、PEN-EEの初期はシャッタースピードは単速の1/60秒で、後の1/30秒+1/250秒の2速モデルはEENとして区別されています。

露出計の調整抵抗が大きいですね。

 

 

過去に分解を受けています。カバーの塗装が傷だらけ。

 

 

レンズも曇りを拭き上げてコーティングが剥離しています。

 

 

シャッター羽根の腐食と固着があってスムーズに動きません。

 

 

左は2速のEENで、互換性はありません。

 

 

赤マークも後のタイプのベロ型ではなく四角ですね。赤マーク不安定は安全レバーの作動不良があります。バネの後期のものより細いようです。単速なので裏側シャッタースピード切り替えレバーなどはありません。

 

洗浄した本体の組立をしていきます。

 

 

プレートにはシャッターユニット留めビスの緩み留め用塗料が塗られていますので、すべて剥離洗浄してあります。

 

完成したシャッターユニットを組み込んだところ。

 

 

吊輪部のへこみと真鍮製の吊輪が摩耗しています。

 

 

後期用のステンレス吊輪と交換をします。

 

 

ナット留めだけでは必ず緩みますので、接着を併用しておきます。

 

 

PEN-Wの方は、前面と裏蓋のシボ革に一部剥がれがあり、修理ご希望でしたので古い接着剤を清掃をして再接着をしておきます。

 

これで完成です。このブログは画像取り込み時の設定を保存できないようで、枚数をUPするのが大変です。なるべく小枚数で行くしかないみたいです。


SEIKOスピードタイマーのオーバーホール

2014年10月11日 23時13分58秒 | インポート

Photo北海道のINOBOOさんからスピードタイマーが来ていますが、その前に、ラリー北海道でのハチロクの画像も送って頂きました。ミラーレスでの撮影だそうですが、何を撮ってもお上手ですね。









Img_5254156139-7060ですが、文字盤はオリジナルではなくて、海外で流通しているアフターパーツです。腕から外すと止まるようになってしまったとのこと。秒針も12時位置に帰零しない ようです。








Img_525685
すべて分解したところ。超音波洗浄をしてから組立をしていきます。











Img_525721特に摩耗や損傷している部品はないので、さっと組立をしていきます。二番車をセットしてから香箱車を載せます。











Img_525826
作動カムの座が地板に固着して外れませんでした。やっと外して洗浄、グリス塗布で組んでいきます。











Img_525987クロノグラフ受けをセットします。後は、アンクル、テンプを着ければ動き出すはずです。











Img_526135

テンプを着けて作動を見ると、テンワが上下に歪んでいて、フラフラと回っています。精度に影響がありますので、修正を試みます。










Img_526259振れは完全に修正出来て、静止しているように見えます。












Img_526356

日の裏側を組み立てて日車、曜車をセットしておきます。












Img_526451文字盤と針を取り付けます。













Img_526634

問題発生。秒針を帰零させると12時から針がずれてしまう。四番車のカムの調整不良かと確認しても、四番車は正確に復帰している。原因は針の固定が甘くて帰零のショックでずれてしまうものです。普通の機械と違って、秒針軸が丸ではなく、角型として針がずれないようにしてありますが、何度も抜き差しをすると緩くなって固定が甘くなってしまうのです。本来は新品の針と交換なのでしょうけど、すでに部品は無いので、ピンバイスで締めてから取り付けてあります。


Img_526758このモデルは本来インナーベゼルは回転する仕様ですが、巻芯に付いている駆動用のギヤが摩耗をしているためギヤが噛み合わず回転は出来ません。このギヤは鉄製のため、水の侵入で錆びているものが殆どです。








Img_527068 機械をケースに収めてから自動巻機構を組み立てたところ。回転錘が接触した痕跡がありますね。ベアリングが摩耗をしているためです。










Img_527188_2取りあえず組立終了。この後、歩度調整をして完成となります。

 http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/