今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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最後はローライ35系かな ? の巻

2024年12月27日 18時00分00秒 | ブログ

今日は今年最後の耳鼻科の通院でした。帰りに連れ合いと一緒にスーパーに寄って、正月用品の買い出しをしましたが、いよいよ押し詰まって来ましたね。で、feet機のローライ35 ブラック#3292XXXのシンガポールですがカバーはアルミです。しかし、外観が薄汚れていてメーターは動きません。

電池が入りぱなしで電解液漏れがあると思います。電池はナショナル(パナソニックじゃないですよ)のMR9です。液漏れをすると電池室の周辺のリングル黒塗装が溶けてしまいます。ここと内部の接点を見ればおおよそ液漏れの判断が出来ます。

あと。電池蓋ね。部品の接触部分に緑青が発生していて導通不良になっています。分解清掃をしておきます。

 

内部にガスが発生して巻き戻しレバーの化粧ネジが緩みません。何とか取り出して分離します。

 

カバーを外してみると・・惨憺たる状況です。水銀パワーかな? このように電解液漏れはカメラに重大な影響を与えるので、このような個体の購入は避けて欲しいけど分かりませんからね。

このような場合、樹脂が侵されていてメーターと電池室の間の部分から折れることが多いです。(この個体も) 不幸中の幸いでメーターとCdsは生きていましたので回路を作り直します。しかし、多くの場合、半固定抵抗が侵されていてトリマーを回すとポロッと分解してしまいます。(画像上) 昔と同じ形の半固定抵抗は入手できませんので現在のものを加工して使います。

オレンジの追針の位置にズレがあるので調整をします。

 

 

意外にローライ35Sはシルバーモデルが少ないのだそうです。この個体は早田カメラ様で販売された個体のようです。

 

シャッター羽根が閉じませんね。

 

 

ピントリングが∞まで回りません。

 

 

不具合の原因はヘリコイドグリスの劣化で、内部に浸透したためシャッター羽根が固着したものですね。

 

絞りユニットも油漬けの状態です。すべて洗浄脱脂をします。

 

 

組立を終えて新しいヘリコイドグリスと入れ替えたところ。

 

 

沈胴のフェルト調整をしますが、ローライ35と比べて35Sは分解が厄介です。チューブも全く別部品で左がローライ35で右か35Sです。

 

グリスの変質が今回の故障原因でした。大晦日も作業はしておりますが、今年のブログ更新はこれで最後になります。一年間お付き合いを頂きましてありがとうございました。では皆さん、良いお年をお迎えください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


PEN-Fと三光PENの巻

2024年12月25日 10時00分00秒 | ブログ

アッいう間にクリスマスですね。息子が通勤帰りに買って来たケーキ食べました。今年中にあと何台作業が出来るかな? カメラ店様からのPEN-Fです。外観はきれいな個体ですが付属の40mmが絞りが粘ってフリーズしてしまいます。

未分解機かなと思いましたが分解はされていますね。

 

 

経時的な劣化のみで部品の不具合はないと思いますので簡単に・・まずはすべて分解洗浄をして組み立てて行きます。

 

#2556XXと1966年1月製ですからユニットは変更後のものが使われています。プリズムに黒点腐食もありません。

 

問題もなく組み立て完成。

 

 

問題は40mm方です。絞り羽根に油がの回って不調になる個体は多いですが、この個体の場合は絞り機構の作動が重いのです。38mmとは設計が全く違っていて40mmは絞りの作動が渋い傾向にあり、完全に脱脂をすると作動不良となるものが多いので難しいです。ここで時間を取られました。

まぁ、いろいろな処置をして完成です。

 

 

次は久しぶりに三光PEN #1315XXが来ました。しばらく見ないうちにずいぶんと劣化していますね。絞りリングのメッキ剥げを何とかならないかとのご希望でしたが、ここは元々チープなメッキですし絞り指標とカシメられているので再メッキも出来ません。

トップカバー側面に打痕と駒数カニ目ネジがの孔が貫通していますので別の個体のものですね。

 

あら、巻き上げダイヤル軸に使われていました。ここは左ネジですがねじ込めたということは駒数ネジも左ネジで、初期(右ネジ)ではないということです。ここは純正ネジに交換してカニ目ネジは正規の位置に戻します。

 

ファインダーは何度も分解接着を受けています。まぁ、永い時間が経過していますので当然ですが・・打撃により駒数ガラスが剥離しています。

 

ファインダーの樹脂が以前よりもっと劣化が進んでいますね。もちろん保存状態にも寄りますが。成形型の形状が甘いのも三光の特徴。試作型をそのまま使用したのかな?

 

すべて分解洗浄をして組み立てて行きます。当然スプールの滑り機構は旧型。駒数ギヤはすでにウェーブワッシャーが入るタイプになっています。しかし、分解用の対角2孔はまだ空いていません。

コパルのこのシャッターがシンプルで一番故障しないのではないでしょうかね。ボロボロな外観の個体でもシャッターだけは動くという・・

 

カムを取り付けます。

 

 

リングナットを留めますが、歴代の分解キズが盛大についていますね。傷を付けることに何の躊躇もないのでしょうか? 

 

問題は対物レンズです。この頃は樹脂レンズが使われていますが、風化もあるのかなぁ? 表面が荒れて曇っています。何度もゴム系接着剤で接着されているので、それの溶剤が悪影響を与えている可能性もあります。研磨修正をします。この個体のレンズはアクリルなのかポリカーボネートなのか? ファインダー本体は軽く研磨をしてあります。

やはりレンズは拭き傷はありますが曇りはありません。初期のレンズは曇らないの仮説? 問題は絞りが固着して動かないことです。すべて分解すると油の固化と腐食ですね。ここまでのものは珍しい。

駒数ガラスを研磨接着をしてトップカバーを付けます。ファインダーがきれいになりましたね。

 

 

三光PENはこのストラップを付けなければいけませんので当方のストックを付けて記念撮影。

皆さんの御用納めはいつでしょう。年内は出来ましたら更新したいと思います。

 

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東京光学 PRIMO-JRの巻

2024年12月21日 17時00分00秒 | ブログ

年内に何台手掛けることが出来るかの時期になって来ました。簡単に作業経過だけUPしておきます。稀に入って来る4X4のプリモジュニアです。50年代のカメラにしては内部はきれいですがスクリーンに点々と腐食があります。

この頃のシボ革は剥離するとバリバリに割れるので過去の分解で別生地で補修してあります。これを剥がしたら、まだバリバリになって再使用不可となりました。

 

上部のネジ部も同様で欠損を補修してあります。

 

 

さすがに古いので繰り出し部のグリスが抜けていますので交換しておきます。

 

シャッターは粘って不動です。セイコーのMXLですからメンテナンスで良くなります。

 

裏からリングナットを開けようとした形跡がありましたが、あらら、緩んでグラグラです。

 

アキアサヒさんから交換用のシボ革が発売されているようですが、部分的な補修なので作りました。

 

裏蓋の4脚(画像左)が陥没しています。

 

 

修正をしました。

 

 

ベビーローライも実現していないレバー巻上げは立派。フードにシボ革が無いデザインです。テッサータイプのトプコールレンズは素晴しい写りのようですね。

 

プリモジュニアの作りも悪くはないのですが、本家ベビーローライと比較するとね。シンクロコンパーは不動なのでメンテナンスをします。

 

組立にコツ入りますがこの辺りの作りも一味違いますね。

 

 

ファインダーを清掃して組みます。

 

 

これで終了です。次はPEN-Fです。

 

 

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さらに難儀なPEN-FVの巻

2024年12月18日 21時00分00秒 | ブログ

クリスマスも近いので世の中せわしくなって来たようですね。修理の方もスムーズに行きたいところですが、PEN-FV の初期#1117XX (1967年5月製)が来ました。発売が2月だそうですからまだ生産が軌道に乗らない頃です。初期のFVはねぇ・・・。FTでも初期に多い駒数ガラスの内部劣化によるクラック。駒数盤の数字が読み取れません。その他、接眼枠の破損、リターンミラーの腐食などがあってさらに難儀が続くようです。

要するに現役機ではなく長期放置機を起こす作業です。シャッターダイヤルの色入れが劣化していますので直していきます。細かな部分の劣化を一つずつ改善することによって段々現役に戻って行きます。

シャッターユニットなどはメンテナンスをしていないための不動で、思いのほか悪くはありません。シャッター幕もきれいです。但し、初期のユニットのブレーキナットは真鍮製で、これが緩んでいることが多いですが・・やっぱり。

前板関係のメンテナンスを終えて本体に取り付けます。本当はリターンミラーに腐食がありますので交換したいところですが予算がありません。

 

接眼枠も新品は使えませんので中古と交換しておきました。

 

 

付属の38mmもかなりやばいです。F用の初期生産機ですから古いです。ヘリコイドグリスが変質して完全に硫化してベトベトな状態。すべて分解脱脂をします。レンズの清掃と欠損しているネジの追加をしておきます。

駒数ガラスも中古と交換して数字が良く見えます。これで現役復帰となったでしょうか。

 

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ドイツ製後期のローライ35の巻

2024年12月17日 20時00分00秒 | ブログ

暮に来てスムーズに作業をしたいのですけど、また変なのが来ました。ローライ35 #3145XXXとドイツ製後期でしょうか? 外観は悪くはありませんがシャッターが不調です。

 

通常のメンテナンスを実施しても改善しません。スローガバナーがコントロールされていないようです。前板を分解して点検します。の部分は本来接しているはずですが変形をして離れています。これですとコントロールが出来ません。

取りあえずスローガバナーは超音波洗浄します。右の部品はリン青銅のような材質ですが、スチール製もあります。の部分の曲がりを修正しておきます。中央はシャッターバネ。

 

画像のように接するようにして正常になりました。接する部分にはモリブデングリスを塗布しておきます。(潤滑が無くなると摩耗が進んでシャッタースピードをコントロールできなくなります)

心霊写真のよう。シャッターを切ると羽根残りがあります。観察するとトグルレバーを留めるネジが緩められた形跡があります。トグルレバーには寸法違いで多くの種類があり、適正よりも小さなものが使われているのかも知れません。

シャッターを作動させているうちに摩耗をするのでしょうね。羽根残りの症状はこの方式の宿命かも知れません。で、工場で選択取付けされているトグルレバーより大きなものと交換することになるので、私の手持ちがどんどん小さくなってしまうのです。

通常は1段大きいもので良いのですが、今回は2段上のものが適正でした。

 

 

シボ革を貼りますが、ローライ35のシボ革は側面に回り込む終端部の厚みが薄くなっていて0.4mmしかありません。側面に曲がってすぐに終端ですので、剥離しやすいための設計でしょうね。それだけに乱暴な剥離をすると容易に切れてしまうので注意が必要です。

ローライ35系は無駄な空シャッターは切らない方が良いのかな? 知りませんけど。

 

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