今年中の作業は終了する予定だったのですがね。予定していた腕時計の部品が到着しなかったり、オークションでは出物が落札できなかったりで暇となりましたので、二年越し覚悟でPEN-F #2131XXを始めます。「特に不具合は無い個体」とのことで、レリーズボタンが復帰しにくいとのことです。あら、ほんと。PEN-Fは多いトラブルです。PEN-FTになると、レリーズボタンを垂直に上下ストロークさせる目的で、ガイドピンが追加されていますが、PEN-Fはそれがないため、レリーズボタンは常に斜めになってストロークしています。長期に使用していると、一部、特にトップカバーと接触をしている部分のメッキが剥離して、真鍮が露出してくると、益々、復帰がスムーズでなくなります。(噛みこんでしまうので)その他の印象では、巻上げ感触のゴロツキ感。裏蓋のラッチの飛越がありますね。
トップカバーを分離してみると・・この個体は、過去にメンテナンスは受けていますね。全反射ミラーは汎用ミラーからカットされたものに交換されています。レリーズボタンは、ご覧のように、メッキが剥離していますね。リンケージの調整で症状が治まらない場合は、交換します。また、気になったのは、ビスの緩み止めにエポキシ接着剤を塗布してあるということ。接着剤は、再度の分離を想定しない材料ですから、間違った使い方ですよ。折角、緩み止めに対する神経を使う方なのですから、用法を考えるべきです。スリ割まで埋まってしまってどうするの?・・・
みなさんは正月の準備で忙しい方もいらっしゃるでしょうか? 帰省や旅行途中の方もいらっしゃるでしょうね。まぁ、大晦日に根を詰めて作業しても仕方ありませんので、お遊びもしながらです。これは、キングセイコーの5626-7121ですが、中身の機械はO/H済みなので、ケーシングをして完成させたいと思って保管してありました。但し、風防ガラスのキズがひどいので交換をします。純正品の場合は左のガラスと中央のリングは予め接着をされてASSYで出てくるのですが、すでに純正品は出ませんので、リングに接着されていた古いガラスを取り除いて、同じ規格の汎用ガラスを接着します。
こんな感じですね。現在、メーカーでは紫外線硬化の接着剤を使うようになっているようですが、紫外線装置がありませんので、通常の透明度の高いエポキシ接着剤を使いました。本物の平面ガラスの接着は、圧入作業はありませんので、プラ風防などより簡単な部分もありますね。しかし、新品の風防ガラスで見通しすっきり。来年こそは世の中もそう願いたいものです。では、2011年の更新はこれで最後にします。今年一年のお付き合いありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。(年明けすぐに始まりますけど・・)
新年おめでとうございます。元日も、あっと言う間に暮れて行きました。おせち料理とお雑煮、若干のお屠蘇は良いものですね。私は子供の頃から餅は大好きで、沢山食べてしまいましたよ。お餅を食べて今年一年健康に暮らせますように、ですね。この歳になると・・初詣は行きませんで、ちょっと酔い加減で作業を始めておりました。皆さん、今年もよろしくお付き合いください。
で、新年初めがボケた画像ですみませんね。Fのブレーキですが、この個体は変な分解は受けておらず、Oリングもきれいに残っていますが、ブレーキとしての機能は果していない状態ですね。左がOリングホルダーで、右がブレーキリング。バイクのドラムブレーキみたいな構造です。Oリングは交換になります。
Oリングを交換して組み込んだ状態です。真鍮製の締め付けナットは緩み止め機構は無いため、緩みやすいので、←のように2ヶ所(個体によっては3ヶ所)のポンチ加工を施し、緩みを防止しています。そのため分離する場合は、真鍮ナットが変形していますのでナットのスリットに完全に合致した工具でなければスリットを壊して開けられなくなります。再度組立てた場合は、ポンチ加工を追加しておきます。ポンチ加工で変形させる目的があって材質を真鍮としてあるわけです。しかし、この緩み止めの方法は、エンジンなどの機械で取られることが多いのですが、予期せぬ緩みの発生で、苦肉の策だったのかも知れませんね。
ほぼ組み上がっています。オーナーさんのご希望で、全反射ミラーも交換してあります。巻上げのゴリツキ感は改善はしていますが、もう少しというところですね。同じように作業を施しても、これが個体差というところでしょうか。問題のレリーズボタンの作動不良ですが、主な原因は、←のように、レリースバーが板をL型に曲げただけの構造のため、使用により曲がり角度が狂った(前にお辞儀をした)ことでしょう。Fの場合は、必要以上に強く押し下げない方がよろしいですね。FTは、全く設計が違いますので、変形の心配はありません。一応修正はして問題なく作動していますが、将来的までは保証出来ません。
で、二年越し機は完成です。新年の1号機ですね。この個体は汚れが多めで、シボ革の洗浄では茶色の汚れが出ましたよ。新年早々、すっきりして気持ちがよいですね。付属でついて来たF用38mmはシボリ羽根に油が回って動きが緩慢です。こちらも分解・洗浄をすることに致します。
特にF用となると古いですからヘリコイドグリスが変質して内部に流れ出ています。マウント側もベットリと付着していますが写りませんね。右側本体の外周部分が光っているのでお分かりになると思います。
本体の距離環ヘリコイドから流れ出たグリスは右の鏡胴へも伝わってベトベトになっています。それが最終的にはシボリ羽根へと流れて作動不良となっているのですね。これはシボリ羽根も完全に分離した後、洗浄脱脂をする必要があります。
これで全て完成です。じつは、どうしても巻上げの感触が納得できず、カメラ本体を再度分解して調整をしました。どうしても納得できないものはお出ししたくは無かったもので・・。今年の正月休みは曜日の関係で短いですから、明日(3日)で終わりの方も多いと思います。また一年頑張って行きましょう。